高知から愛知や静岡までは随分と距離があります、移動には飛行機かJRが普通です。自分は京都までは何度か車を運転した事はありますが、それより東の道路は走った事が一度もありませんでした。だから、この夏「チャレンジラン横浜」で竹トラッカーで走るまで、静岡県あたりの東海道は海岸線沿いの平野部ばかりを走っているものだと勝手に思いこんでいたのです。さすがに箱根の峠は名前を聞いて知っていましたが、そこまではの道程では山道など考えもしていなかったのです。
本当に浅はかとしか言いようがありません。普通の自動車でしたら別段問題もない勾配の道路も電気自動車である竹トラッカーでは航続距離に差が出ることは分かっていながら、あまりその事を深く考えていませんでした。一番大きな問題は人気のない山道での電池切れです。どこまで電池に負担のかかるか分からない初めての道で辺りに充電場所がない場合は本当に不安です、それが夜間などでしたら尚さらの事。
この画像では浜名湖は見えなくなっていますが、左から天竜川、大田川、そしてそのずっと右側に蛇行して流れるのは菊川です。竹トラッカーの走行ルートは、浜松から走って来て掛川城の横を通り、島田市を目指しましたので、この菊川の左側の小笠山の向こう側を東方面、つまり画像右方向に向かって走った事になります。
浜松では丸大鉄工さんで充電させてもらっていましたが掛川市内を通り抜け、だんだんと人家が少なくなる山道になる頃には電池メーターが心細くなってきます。まさか、静岡にこのような山があるなんて...しかし上空から見れば、なるほど平野部ばかりではないのが一目瞭然です。
次の充電ポイントである島田市には午後2時には到着せねばなりません。なにせ充電を満タンにするのには6時間かかりますので、次のスタートがそれでも午後8時になってしまうのです。
気持ちは焦るばかりですが、坂道を上りきった小夜の中山トンネル脇にある旧東海道筋でずっと営業続けられきた老舗、子育て飴が名物の小泉屋さんで充電させていただく事にしたのです。実は、この充電ポイントも、たまたま行き当たって飛び込みで行くのではありませんでした。自分の進む進路の沿線を先周りしながら社員がアチコチ電話で探してお願いしてくれていました。改めて、この「チャレンジラン横浜」はクラウドファンディングでの竹トラッカーの製作からはじまり、横浜に辿り着くまで本当に多くの方に関わってもらったイベントであったと思います。
この峠道でもヒヤヒヤしましたが、この後島田市の大村屋酒造場さんでの充電終了後に静岡に向かう夜間走行は更にドキドキハラハラの連続、ナビの道順がおかしくなり方向を見失います。暗くなりかけて来た道路の景色がドンドン田舎道になってきて、どうも変だと気づいてUターンします。地元の方に道を聞いたりして正しい道順を聞きますが電池と時間をロスしました。
この旅を通じて、ずっと竹トラッカーで都会の高架バイパスを走るのは極力避けてきました。ここでは遅れを取り戻すべくと言うか、それしか道が分からなかったので意を決してバイパスに上がります。高架の道路幅は決まっていて左側に停車できるスペースがありませんので大型車が後ろについたりすると危ないのです。バイパスに上がる、あの心細い気持ちは今でも思い起こされます。
しかし静岡市に入るためには、どうしても宇津ノ谷峠を越さねばならないのです。この峠には長いトンネルがあります既にすっかり辺りは真っ暗です、ところが、ここで幸運の女神がほほえみます。
なんと、バイパス上がってすぐ前方に路線バスが走っているのが見えました。バスは山の登り坂でスピードが出ていません、「よしっ!」このバスの後ろに付かせてもらって走ることにしました。これらなら後ろから猛スピードの車が来ても安全に追い抜いてくれます。長い長いトンネルに感じましたが、このバスのお陰でこの難所をなんとか切り抜けられました。
そうこうして静岡市の充電ポイントであった安東米店さんに到着したのは夜10時をずっと回っていました。