名も無き竹林の逸品道具

 
名も無き竹林の逸品道具


虎竹の里は伐採の季節です、今年は天候が不順だったりしましたがお陰様で年末は好天が続いて仕事もはかどったようです。そんな竹林で使われているなくてはならない道具があるのです。必ず必要であると言われますが、木製のL字型に組まれたこの道具は一体どう使うのでしょうか?


同じ竹林でも山里の平地に生えているものもありますが、虎竹の里の山々はどこも急峻で足場の良くない所ばかりです。そんな場所を歩き回り広い竹林の中で伐り倒した竹を一カ所に集めて山出しせねばなりませんが、急斜面では一本づつバラバラの竹をまとめて結束するのが大変です。


日本唯一の竹林での伐採作業


そこで、活躍するのがこの道具なのです。L字型に組まれた木枠の内側に竹の切り株を突っかけるのです。滑りやすい竹を斜面や急な山道で束にするのは熟練の職人さんでも苦労しますがこうして、この道具を使うと元が揃って一束、一束に結束しやすくなるのです。


日本唯一の竹林にて山の職人


代々受け継がれてきた誰が考案したのかも知れない道具、実は名前がありません。この道50年の山の職人さんに聞いても「知らんにゃあ~」と笑うだけ。まさに、名も無き竹林の逸品道具です。


今年のニューヨークCOTERIE(コーテリー)展、来年のパリ、Premiere Classe

 
ニューヨークCOTERIE(コーテリー)展、竹虎四代目


今年もいよいよ明日までとなりました。アッという間に過ぎてしまった一年ではありましたが思い返せば2月には、ニューヨークのCOTERIE(コーテリー)展に初めて参加させてもらった年でもありました。


虎竹バックニューヨーカー(Tiger Bamboo bag"New Yorker")は、この展示会で色々な方からのご意見をいただきバージョンアップする事ができました。COTERIE(コーテリー)展があったからこそ、来年3月のフランス、パリで開催されるPremiere Classe(プルミエール・クラス)に繋がったかと思っています。


しかしCOTERIE展では、ニューヨーク在住のバックデザイナー中野和代先生が全て段取りしてくださり本当に楽でしたが、次回のパリでのPremiere Classe申し込みから始まり何から何まで自分達でせねばなりません。展示会と言っても費用さえ出せば誰でも出展できるとう訳ではなく、結構難しい審査もあって英文での準備出展するだけで力尽きてしまいそうです。海外というと大きな可能性があるようにも感じますが、ここで成果を上げるには日本国内での何倍ものパワーが必要だと感じています。


ニューヨークのCOTERIE(コーテリー)展、山岸義浩


さて、先のニューヨークCOTERIE展ではホテルに帰りがけにはいつも近くのコンビニに立ち寄っていました。ある夜、コンビニでバラを一輪買っている黒人の方と目があって彼が話しかけてきたのです。それが本当に流ちょうな日本語でビックリしていましたら何と古畑任三郎のドラマが大好きで、いつも観ているうちに言葉を覚えたと言われていました。


それを思い出してDVDでチャン・グンソク主演の「テバク」というドラマを観てみました。こういうのを韓流と言うのでしょうか、大ファンの方がおられるのが良く分かります、いざ観始めると何と面白くて一気見しまうのです。しかし、韓国語は全く覚えられずです。土佐弁しか知らず、標準の日本語すらおぼつかないのに海外の言葉など最初から無理なのかも知れません(笑)。


虎竹バックニューヨーカー(Tiger Bamboo bag


海外の言葉は難しいですが、虎竹バックも見るだけでは伝わりきらない部分あって、むしろそちらの方がずっと大きく自分が言いたい部分です。来年は、この言葉の部分を補える工夫を考えねばなりません。


「週刊文春」原色美女図鑑、ローラ撮影の写真家ミナモトタダユキさん

 
「週刊文春」原色美女図鑑、ローラ撮影ミナモトタダユキさん


コンビニで見かけるたびに手に取ってペラペラとめくる雑誌に「週刊文春」があります。実はあまり馴染みのない本でしたが巻頭に原色美女図鑑なるコーナーがあり女優やタレントの方の写真が掲載されているのです。


ただそれだけなら、毎回手に取るような事でもないのですがこの撮影には毎回違うカメラマンの方が参加していて、その中のお一人に今年の竹虎年賀状の撮影をしてくださった写真家のミナモトタダユキさんがおられるのです。


映画や舞台、テレビで活躍される方々を写真に収めるのは並大抵のご苦労ではないかと思いますが、今回の巻頭コーナーに掲載されているのはローラ。バラエティ番組でのひょうきんな顔とは全く違う大人の女性の雰囲気です。


年賀状2016


竹芸家の田辺小竹さんのご縁で虎竹の里にお越しになられてから、竹虎年賀状を担当いただく事になったミナモトさん。実は来年酉年の年賀状も撮っていただいており、年賀状は既に完成して全国の郵便局に集配されて出番待ちの状態かと思います。田辺さんのアート作品などもそうなのですが、普段ご高名な方から芸術作品まで凄い撮影をされている方が、こうして遠く虎竹の里にお越しいただけるのは奇跡のようなお話しです。


何を隠そう自分も、撮影日には本当に緊張していました。社内で撮影するときには「笑顔、笑顔」と言うのですが、今年は顔が引きつり笑えなくなりました、長時間の撮影時間でもなのに、こんな事もあるのだなあと初めて思ったものです。昨年の撮影は田辺さんご家族、竹虎の職人総出の大人数でしたので、そうでもありませんでしたが今回は自分だけだったせいかも知れません。


しかし、完成した年賀状は今までにない出来映え。驚きました、最初の画像が届いた時には社内が静まり返ったほどなのです。この年賀状は本日29日から新年4日まで竹虎WEBサイトでご購入いただいた方のお荷物にも同封させてもらう予定です。お楽しみに!


ガンダムから竹トラッカー

機動戦士ガンダム


今日は歳末という事だからか(?)仕事納めと言う事もあるのか(?)いつもとは随分と違う画像を掲載させてもらっています(笑)。そう、ご存じの大ヒットアニメ機動戦士ガンダムです。唐突に一体どうしかのかと思われるかも知れませんが、このアニメ番組の放映スタートは自分が高校生の頃です。当時は寮生活でしたが短い休みに映画にも行きましたし、大学ではプラモデルも持っていたのです。


しかし、実物大だから何だ...わざわざ見に行くほどの物でもないだろうとずっと思ってもいました。ところが、たまたま機会があり近くまで行ったのでふと思い出し、聞けば歩いて5分の距離だと言われて来てみると、そのスケール感!迫力満点!リアルの持つ力に圧倒されて動けなくなってしまいます。東京お台場のガンダムは大人の自分達にとっても本当に魅力的なのです。


明徳中学高校時代の恩師、吉田幸雄校長先生


さて、もしものお話しですが、もしも朝起きて家の外に巨大なマシンが立っていたらどうでしょうか?目覚めると、見上げるようなガンダムが虎竹の里の山々を背に神々しく光っています。なんじゃあ?と思っている暇もなく、緑色した大きな敵がマシンガンを手に迫ってきます。落ちていたマニュアル本を片手に「一体、どうやって動かすのか?」「早く載れっ!」「どうして自分がやらねばいけないのですか!?」そこで、殴られて


「オヤジにもぶたれたことないのに!」


という有名な台詞など言いながら操縦してみたい(スミマセン完全に妄想の話です...)


もちろん殴るのは自分のデスクの後ろで、この一年もずっと見守り続けてくれていました明徳中学高校時代の恩師、吉田幸雄校長先生。今の自分があるのは全寮制の明徳教育のお陰なのです。


竹の電気自動車竹トラッカー


今朝のブログは支離滅裂でまとまりがありませんが、しかし、自分の載るガンダムなら金属製ではいけません、やはり日本唯一の虎竹製でないとダメですな。竹トラッカーを製作したように、2017年は再度、クラウドファンディングで全国の皆様にお願いして...、いやいや職人が嫌がって絶対に無理でしょうな。


倉富敏之先生の竹への知識と愛情あふれる圧巻の木版画

倉富敏之先生の木版画


ずっと前の事なのですが竹職人さんの自宅で見かけた一枚の版画があまりに素晴らしいので一体誰のものですか?と作者をたずねて版画家の倉富敏之先生を紹介いただいていました。なかなかお伺いするチャンスがなかったのですが、ようやく久留米市にある工房を訪ねる事ができてズラリと並んだ作品群を拝見させていただいたのですが...ゴクリ、息をのみました。


木版画は何とも味があり、温もりを感じさせてくれるので大好きですが、特に倉富先生は日本の工芸の育成指導、技術支援に長く従事されていたためご自身でも竹籠を編まれたり、新しい製品を開発されるなど竹細工に造詣が深いのです。竹に精通された先生ならではの版画からは竹への愛情がビシビシと伝わってきます。


竹の編み方は基本的な四ツ目編み、六ツ目編みから始まり200種類以上もあり長い歴史の中で試された事のない編み方はないのではないかと言われています。そんな様々な竹編みの模様を木版画にされたり、口巻きの種類や、竹籠、ざる、そして仕事をする竹職人等いくら見ていても飽きないような圧巻の版画達なのです。


これは一人でも多くの方にご覧いただきたいなあ...時間を忘れて魅入っていましたが何枚か刷っていただく作品が出来ましたら又ブログでも紹介したいです。それにしても大きな木々に囲まれた気持ちの良い工房でした、今度はもっとゆっくりとお邪魔したいと思うのです。


竹虎へのクリスマスプレゼント

日本唯一の虎竹山出し


いよいよ今年の最後を飾る一週間となりました。今年は大晦日がちょうど土曜日、元旦が日曜日からはじまるというキリのよい年となりますが、さてこの週末はいかがお過ごしでしたでしょうか?3連休の方も多かったかと思いますが楽しいクリスマスでしたでしょうか、クリスマスといえばプレゼントです。自分などは、もうもらえる年齢ではないようにも思います、ところが、少し考えてみますと実は色々なプレゼントを沢山もらっている事に気づきます。


たとえば、この虎竹の里から伐り出されてくる日本唯一の虎斑竹。狭く急な勾配の道ながら先人が代々通ってきた山道を登っていくと、明るい空から日の差し込む竹林が見えてきます。気持ちのよい風の吹き抜ける林には小鳥の遊ぶ声だけが聞こえています。


そんな山間の遠くから、ザッザッと竹を伐る音...。自分達がこの竹と出会ってから100年という月日が経ちますが、毎年この時期になると、あちらこちらの、このような山々から出てくる虎竹こそ大自然からの贈り物です。


青竹踏みへのお客様の葉書


また、自分の机の上にはお客様から頂いたお便りの葉書が置かれています。このように、毎日届くお客様からの手書きのお葉書もプレゼントのひとつです。今回も小学生のお子様が青竹踏みを使う前と、使った後の違いを描いてくださりました。お電話やメールでも嬉しいお声を頂戴することがありますが、手紙には文字やイラストからお客様の人柄がそのまま表れているようで、より印象的に心に残ります。朝礼や全社会議で社員と一緒に共有させてもらえて本当に有り難い事だといつも感謝するのです。


今年もお陰様で沢山のお客様から竹虎へのお声をいただきました、来年も同じように社員一同か笑顔になるようなお便りが全国から届く一年になればと思っています。


クリスマスイブに、竹のリース

竹リース


籠は竹表皮部分を使って編みますので、剥ぎ取った後の竹身部分は使われる事はありません。ところが職人さんの工房にお伺いすると、この身部分を上手く利用してリースを作られていたのです。竹の柔軟性やしなりを活かせますし、そもそも捨ててしまう端材の活用なので、これは面白いと思います。


今日はちょうどクリスマスイブ、あちこちの店舗ではもちろんですがご家庭でも色とりどりのリースを飾られているかと思いますが、竹は自然な素材感、色合い、軽さ、加工のしやすさなど美しいリースを作っていくのにも適材ではないでしょうか。


竹虎工場、剥ぎ竹


実はこのアイデアは、たまたま工房に来られた一般の方から言われた事だと聞きました。竹虎でも枝折り戸の編み込みのために竹表皮部分だけを機械を使って剥いでいきますが、この時に竹身部分が沢山できるのですが今まで何かに利用しようと考えた事はあまりありませんでした。


言われれば簡単な事にようにも感じますが、いつも身近にあって同じ仕事の流れの中では小さなリースひとつ思いつくことはできません。少し俯瞰した観点がいつも大事だと言いながら非常に難しい事なのです。竹の世界は来年も大きく動いていきます、今までを大事にしながら、今までを捨てていく一年はもうすぐです。


虎竹の里、伐採の季節と山の竹職人の山道

虎竹の伐採


虎竹の里では竹の伐採シーズン真っ盛りです、いつもは静かな竹林も竹を伐る音や運び出す機会のエンジンの音が谷間に響いています。一般の方は、ほとんど立ち入る事のない山道ですが道路の上の方の竹林を伐る場合には、竹が滑り落ちてくることへの注意書きが立てられていたりするのも、この地域だけの事ではないかと思います。


虎竹の里の山道


この竹林は細い山道を徒歩で登っていった先にありますが途中にツルハシと手箕が置かれていました。虎竹の里なら手箕は竹製では?と思われるかも知れませんが農作業用のすら全国的に見てもほとんど職人さんがおられなくなっています。


土や石を運ぶ用の作りの粗い竹細工は、自分の中学頃まででしょうか。野球部のグランド整備には竹製の箕を使っていましたが、今では作る職人さんはさすがにいません。自分は色々と好きで持っている竹籠コレクションの中に一つだけありましたが残念ながら虫が喰ってしまい今と手元にもありません。それくらい箕というのは無くなっていますのでプラスチック製のものを使われるのは仕方ないことなのです。


虎竹の里の山道


さて、このような山の竹職人さんとは少しかけ離れたように思える道具で何をしているかと言いますと、実は道作りでした。今年は竹を出す場所を少し違えたため、いつもの道の下にもうひとつ竹を出す山道を整備したと言います。ちょうど、この道の先には急カーブがあり長い虎竹は運びづらかったので運搬はスムーズになるかと思います。


出来あがった山道を見てもビックリしましすが、先日まで何もなかった斜面にこのような道ができるとは凄いです。完成までに2~3日かかったようですが、山出しの機械が通れるだけの道を造るとは、ちょっとやそっとの苦労ではありません。


ところが、虎竹の里から山頂に向かい細い血管のように何本も伸びる山道を登っていくと谷のくぼみに石を積み上げて道を通した場所などもあります。この道ひとつ思っても先人の血のにじむような努力の上に自分達は立たせてもらっているのが分かります。




青竹の鮮やかな色合い

草取り椅子


毎月の全社会議では休日に何をしているのか、最近あった楽しかった事、嬉しかった事などを話しあう時間を作っていますがベテランの社員の中には自宅の家庭菜園で野菜を作ったり花を植えたり、庭の草むしりをしているという話題が時々あがります。庭の草取りをしているだけで楽しいなどと聞くと可笑しく思われる方もいるかも知れませんが、実は結構土いじりというのは熱中できる面白いものだと言うのが最近少し分かってきました。


まあそれはさておき、そんな庭仕事で活躍しそうな竹製品が草取り椅子なのです。ガーデニング用品などでも色々な商品があるようでタイヤ付きの物もあったりしますが竹製のものは珍しいかも知れません。元々は苗とり椅子とも呼ばれて農作業用に昔から愛用されてきたものを現代風にアレンジした草取り椅子が編み上がってきました。香り立つような青々とした真竹の色合いが素晴らしいのです。


草取り椅子


ところが、青竹の気持ちのよい色合いというのは本当に生鮮食品のようなものです。青竹で編まれた草取り椅子も1週間たつとこの通り、すぐに色合いは褪めていき落ちついた本来の竹製品の色に変わっていきます。


せっかくの色合いが消えてなくなったと思われるかも知れませんが、青竹の色合いは、ほんの一瞬だからこそ良いように感じます、ずっとこのままの青さでは少しキツイ。色が薄れ、こんどは色合いが深まり、さらに長く愛用しているうちに艶のある飴色に変わってくる竹の色こそ本物なのです。


空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」天下の険、箱根旧街道

上空から見る富士山


さて、東海道最後の難所中の難所は天下の険とも言われる箱根峠でした。これは何度かお話しさせていただいた事があったのですが、実は箱根を甘く見ていたのが失敗の原因でした。その朝の出発地点の三島から小田原までは約36キロ、竹トラッカーでも平地ならば1時間の距離しかありません。


いくら急な勾配といえども自分もこのチャレンジラン横浜にむけて虎竹の里近くの七子峠で訓練していました。訓練と言えば大袈裟ですが曲がりくねった遍路道の難所と言われる287メートルの峠、竹トラッカーはここの曲がりくねった坂道を難なく登り下りできるだけの性能を持っていますので少し自信はあったのです。


箱根地図


ところが、上空から伊豆半島の付け根にある箱根峠を見ても、これは明らかに高い、そして険しいのが分かるのです。調べてみますと箱根の山は1438メートル、箱根峠も標高846メートルもあります。七子峠の3倍近い高さ!なるほど距離は航続可能範囲ながら、その高さは全く未知の領域であったわけです。


竹トラッカー


異常は箱根の山道に入ってすぐに分かりました。とにかく電池の減り方が激しいのです。竹トラッカーのボディ部分は光岡自動車のLike-T3という電気自動車ですが、電池目盛りが一目盛り減るごとに告知音が数回なります。この音がさっき鳴ったばかりなのに、又鳴った...又、鳴った...。


見る見る減っていく電池、辺りには人家はなく電源など皆無です。横浜まで1000キロ目指して来て、最後の難関でストップしてしまうのかっ!?


竹トラッカーテレビ放映


顔面蒼白になった所で助けてくれたのはレストランを経営されているご主人さんでした。道ばたで困って居る竹トラッカーをしげしげと眺めながら「あっ、これテレビで観たやつだ」と止まってくれたのです。実は浜松で静岡のテレビ局さんに取材していただき放映してもらったニュースをご覧になられていたようでした。


フジミヤさん


急いで後を追いかけていき、成り行きをお話しさせていただくと遠く高知から走って来た事も知ってくださっていて快くコンセントを貸してもらう事ができました。


栗原、戸松さん


しかし、何より三島在住の友人お二人に竹トラッカーの前後を走行いただいてましたので助かりました。ナビでは距離が出ているので、おおよその事は分かるものの、あれだけ電池の消耗が激しいと先に進む事はできず、かと言って戻ることは更にできず立ち往生していたことは間違いありません。


箱根


それにてしも、箱根は凄いです。登った時も凄いと思いましたが、下りも凄かったです。急勾配と急カーブの連続で竹トラッカーは危なくて人の歩くくらいの速度しか出せません。


ずっとエンジンブレーキをかけての走行だったので何と坂を下りきってみたら峠の時よりも電気メーターが上がっています。Like-T3は、エンジンブレーキ時に発電しながら走るのですが、減っているはずの蓄電が反対に増えてるのを見ても、どれくらい急な道だったかというのが良く分かります。


箱根の竹トラッカー


あの山道を実際走ってみたいとずっと思っていました。もう2週間足らずで正月恒例の箱根駅伝が始まりますが、あの学生さんたちが駆け抜ける同じ道を走りたかったのです。予想を遙かに上回る迫力の坂道、今年からは箱根駅伝を観る目が全く違います。


本当に箱根は天下の険なのでした。


空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」富士市

竹トラッカー「チャレンジラン横浜」富士市


上空から見た竹トラッカーの旅をここ数日振り返ってきましたが、今年の終わりに改めて思えば、この「チャレンジラン横浜」は奇跡の連続のようなものでした。一回の充電で50キロ程度した走行できない電気自動車で1000キロを走破する計画です、しかも一回の充電で満タンにするには6時間もの時間が必要でした。


初めての土地で、一日3回の充電を決められた場所でこなして11日間走り通せたのは多くのご協力いただいた皆様のお陰です。それぞれの充電ポイントでの温かいおもてなしは今振り返っても感謝の気持ちが沸き上がってきます。


まだ夜が明けないうちに到着する事もあれば、お仕事で忙しい日中の事もありましたし、深夜近い場合もありました。本当に皆様にはご迷惑をお掛けしましたし助けていただきました。ありがとうございました。


竹トラッカー「チャレンジラン横浜」


はじめてお会いさせて頂く方々にも助けていただきましたので、もっとお話しさせてもらい交流させていただきたい気持ちもありました。しかし、兎に角、連日の猛暑と寝不足に加えて疲れのたまった上に難所続きで緊張の連続だった東海道は疲労困ぱい、ギリギリの状態です。富士市の小谷商店さんもは、ご紹介いただきお伺いさせていただく初対面の方でしたが何とも居心地のよいお宅だった事もあって到着するなり知らない間にグッスリ寝てしまっていました。


愛知県の渥美半島から富士市辺りまで飛行機の窓から見ているとアッという間です。見る見る富士山も遠ざかりますが、竹トラッカーでは8月8日(月)の早朝から翌日の朝まで一目散に走り続けてようやく辿り着く距離でした。


空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」一生忘れない由比

空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」


空からの画像を見ると、手前の広い平野部が島田市と藤枝市、山を隔てた向こうの平野部は静岡市です。隔てる山など本当に小さく見えますが、これを実際に走るとなると何と遠かった事か。


その先画像右側に白い頂で見える富士山に近づいていくと、遠くて少し分かりづらいのですが山が海までせり出している所があります。飛行機から見ても平野部がないのが分かりますが、ここが由比(ゆい)。切り立った大地と平地の狭さ故に海岸線部分に東名高速道路、国道1号線、JR東海道本線が所狭しと並んで走る交通の要所。


竹トラッカー「チャレンジラン横浜」


この由比の手前までは、静岡市を朝4時にスタートしてバイパス高架下の一般道を快調に走ってきましたが、先が行き止まりになっていて遂にここで立ち往生します。真っ暗な中、頭の上を走り去る車の音だけが聞こえてきました、とうとうこの高架のバイパスに上がらねばならないだろうか?後で地図で確認したら興津川という川に突き当たっていたのでした。


何とか迂回するルートはないのだろうか?しばらく動けずにいましたが、前に向かって走るしかありません。微かな潮の香り、右側はすぐ海のようでしたから兎に角左折してみると二車線の道に突き当たりましたので東にハンドルを切ります。少し進むと右手に灯りのついた店舗のようなお宅がありました。こんな早朝でしたが長靴をはいて仕入れに向かっている魚屋さんか何かのご夫婦をおられましたので竹トラッカーを止めます。


「バイパスを通らずに行く方法はないですろうか?」


ここから、すぐ先に合流地点があったのですがそこを通らねば次の富士市には行けないと教えてくれました。


由比から見た富士山


お礼を言ってバイパスの1号線合流地点まで行くと高架ではなく下道なので少し安心します。しかし海沿いの道、早朝なので通行量は思ったほどありませんが道幅が広くスピードを出した車が行き交っていました。


右のサイドミラーを何度も確認しながら走り、後続車が来るとみるや左側に寄せるのですが途中かなり広くなった駐車スペースがあって助かります。停車して、ふと前を見ると遙か向こうに見えるのは富士山か?そう言えば、この道路と富士山のアングルは何か見た事のある光景だと思い返すと台風の大波の時など気象情報の番組で、何度かテレビで見たことのある場所だと分かりました。


由比駅


後続の車が来ないうちに出来るだけ少しでも前に進みたいとアクセルを踏み続けていくとバイパスから脇の細い道に入れそうな所に来ました。実は、ここは先ほどの魚屋ご夫婦に聞いていたバイパスから脇道に下りられる場所でした、どうやらここからはゆっくりしたスピードで走れそうです。


夜明け前の由比駅、看板下で安心したのかドッと汗が噴き出してきます。さっき途方に暮れていた所から、ここまで地図で確認したら本当にわずかな距離、遠いと思っていましたが走ってみれば何ということのない距離でした。


富士山と由比


飛行機は伊豆半島の方に近づいてきました。こうして見たら、ただただ美しい日本の海と山の景色が続いているだけのように見えますが、あの忘れられない由比はあの富士山の左側にあるはずです。あそこから見た富士山、今日見ている富士山、おなじ山なのに随分違います。


富士川


富士市に入る手前には又このような広い川が流れています、四国にはこのような広い川はあまり見られないので東海道では橋の長さにも圧倒され続けました。逃げ場の少ないこのような橋も決して得意ではない竹トラッカーですが、辺りが明るくなってきたし、もう一息。この富士川を渡れば次の充電ポイントがあるのでした。


空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」東海道の誤算

空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」


高知から愛知や静岡までは随分と距離があります、移動には飛行機かJRが普通です。自分は京都までは何度か車を運転した事はありますが、それより東の道路は走った事が一度もありませんでした。だから、この夏「チャレンジラン横浜」で竹トラッカーで走るまで、静岡県あたりの東海道は海岸線沿いの平野部ばかりを走っているものだと勝手に思いこんでいたのです。さすがに箱根の峠は名前を聞いて知っていましたが、そこまではの道程では山道など考えもしていなかったのです。


本当に浅はかとしか言いようがありません。普通の自動車でしたら別段問題もない勾配の道路も電気自動車である竹トラッカーでは航続距離に差が出ることは分かっていながら、あまりその事を深く考えていませんでした。一番大きな問題は人気のない山道での電池切れです。どこまで電池に負担のかかるか分からない初めての道で辺りに充電場所がない場合は本当に不安です、それが夜間などでしたら尚さらの事。


この画像では浜名湖は見えなくなっていますが、左から天竜川、大田川、そしてそのずっと右側に蛇行して流れるのは菊川です。竹トラッカーの走行ルートは、浜松から走って来て掛川城の横を通り、島田市を目指しましたので、この菊川の左側の小笠山の向こう側を東方面、つまり画像右方向に向かって走った事になります。


浜松では丸大鉄工さんで充電させてもらっていましたが掛川市内を通り抜け、だんだんと人家が少なくなる山道になる頃には電池メーターが心細くなってきます。まさか、静岡にこのような山があるなんて...しかし上空から見れば、なるほど平野部ばかりではないのが一目瞭然です。


次の充電ポイントである島田市には午後2時には到着せねばなりません。なにせ充電を満タンにするのには6時間かかりますので、次のスタートがそれでも午後8時になってしまうのです。


小泉屋さん


気持ちは焦るばかりですが、坂道を上りきった小夜の中山トンネル脇にある旧東海道筋でずっと営業続けられきた老舗、子育て飴が名物の小泉屋さんで充電させていただく事にしたのです。実は、この充電ポイントも、たまたま行き当たって飛び込みで行くのではありませんでした。自分の進む進路の沿線を先周りしながら社員がアチコチ電話で探してお願いしてくれていました。改めて、この「チャレンジラン横浜」はクラウドファンディングでの竹トラッカーの製作からはじまり、横浜に辿り着くまで本当に多くの方に関わってもらったイベントであったと思います。


この峠道でもヒヤヒヤしましたが、この後島田市の大村屋酒造場さんでの充電終了後に静岡に向かう夜間走行は更にドキドキハラハラの連続、ナビの道順がおかしくなり方向を見失います。暗くなりかけて来た道路の景色がドンドン田舎道になってきて、どうも変だと気づいてUターンします。地元の方に道を聞いたりして正しい道順を聞きますが電池と時間をロスしました。


大村屋酒造場さん


この旅を通じて、ずっと竹トラッカーで都会の高架バイパスを走るのは極力避けてきました。ここでは遅れを取り戻すべくと言うか、それしか道が分からなかったので意を決してバイパスに上がります。高架の道路幅は決まっていて左側に停車できるスペースがありませんので大型車が後ろについたりすると危ないのです。バイパスに上がる、あの心細い気持ちは今でも思い起こされます。


しかし静岡市に入るためには、どうしても宇津ノ谷峠を越さねばならないのです。この峠には長いトンネルがあります既にすっかり辺りは真っ暗です、ところが、ここで幸運の女神がほほえみます。


なんと、バイパス上がってすぐ前方に路線バスが走っているのが見えました。バスは山の登り坂でスピードが出ていません、「よしっ!」このバスの後ろに付かせてもらって走ることにしました。これらなら後ろから猛スピードの車が来ても安全に追い抜いてくれます。長い長いトンネルに感じましたが、このバスのお陰でこの難所をなんとか切り抜けられました。


安東米店さん


そうこうして静岡市の充電ポイントであった安東米店さんに到着したのは夜10時をずっと回っていました。


空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」浜名湖の早朝

空から見る、竹トラッカー「チャレンジラン横浜」


自分の特技のひとつに、寝ようと思うとすぐ寝られて、起きたい時間に起きられるという事があるのです。これは明徳中高の6年間の厳しい生活の中で寝られる時に寝て体力を温存する(?)という環境が育んだ技です(笑)まあ、それはさておき飛行機に乗っても離陸前に寝て気づいたら目的地に着陸するのが大方なのですが、この時には、たまたま愛知県上空で目が覚めました。


渥美半島は100キロ歩け大会に参加で夜通し歩いた思い出もありますし、特徴的な地形なのですぐに分かります。画像では少し分かりづらいですが、左側中央に写る三河湾を過ぎて中央寄りに見える大きな湖は浜名湖、天竜川、大田川の流れが見えます。そう言えば夏の「チャレンジラン横浜」で宿泊した浜名湖畔にある東海道本線鷲津駅前のホテルnanvan浜名湖はあの辺だろうか?と思い出しました。


「チャレンジラン横浜」は、日本唯一の虎竹自動車プロジェクトで製作しました竹製電気自動車竹トラッカーで高知から横浜までの1000キロを走破したものなのですが、実はこの浜名湖から小田原までの2泊3日の道中は苦労の連続だったので、そのスタート地点となった浜名湖は本当に印象的に今でも、あの朝の事は鮮明に覚えているのです。


竹トラッカー


前日、ホテルに辿りついてベットに入ることのできたのは真夜中近くですが起床したのは朝3時半頃だったでしょうか。そのまま飛び起きて準備をし、まだ真っ暗で夜の気配を残した暗闇の道路へ竹トラッカーのエンジンをかけて走りだします。


これからの東海道は交通量も増え、大型トラックの行き交う日本の大動脈です。小さな竹トラッカーは最大速度が50キロしか出す事ができず、後ろに自動車につかれたり、大きな車に追い抜かれたりすると結構危ないのです。


まず当面の難関は、すぐに渡るであろう浜名湖にかかる長い大橋でした。ゴォォォォォーーーーー、早朝とはいえ遠くに車の行き交う音が聞こえてきていました。



「よし!行くぜよ」立ち寄ったコンビニで、竹トラッカー後部に取り付けた点滅ランプのスイッチをいれました。チッカチッカチッカ...。気休めにしかならないような小さな灯りかも知れませんが、あると無いとでは随分違います。小さな光に、大きな安心をもらって、ゆっくりと駐車場から走り出しました。


虎竹の季節

虎竹山出し


師走とは思えないような暖かさの日もありますが、虎竹の里ではこうして竹が伐り出されて来ると冬を感じるのです。まだまだ、これから山出しや選別、製竹加工などせねばなりませんが、虎竹の出荷を待ちに待っている商品たちがいます。里山を見渡せば竹はいくらでも生えているし、竹虎四代目の話を聞いても毎年タケノコがドンドン生まれて、たった3ヶ月で親竹と同じ十数メートルの大きさに育つのなら竹素材はいくらでもありそうに思われるかも知れません。


確かに単なる竹という事であれば、その通りで無尽蔵にある天然資源と言えるかと思うのですが自分達のように竹製品、竹細工に加工する「虎竹」となると伐採時期や成育年数、太さ、色づき、品質など厳選されていくので結局のところ量的には限られたものになるのです。


虎竹耳かき


虎竹名人作耳かきも新竹を待っていた商品のひとつ。こんな小さな竹細工がどうして?と言われますが虎竹は淡竹(はちく)の仲間で真竹などに比べて身部分が少し薄めな竹なのです。この耳かきのように持ち手部分を使いやすいように厚みをとって製作しようとした場合、できるだけ太い竹が必要となります。


「まっこと、たまらんちや」と言って気持ち良さそうに耳かきしていますが、この一本が出来あがるのにも結構大変な道のりがあるものです。


今年最後の歳末プレゼント企画、試作椀籠とストレートネックの竹首枕

椀かご


竹虎のWEBサイトでは、毎月のようにプレゼント企画を連続して開催させてもらっています。竹に囲まれた自分達からしたら不思議に思えるほど、実は竹が多くの方にとって知られておらず、忘れられつつあるようですので、本当に少しでも何かのキッカケとなればという気持ちで続いているのです。


定期的に開催しているとマンネリ化してくるのか、応募数も少なくなりがちですが今月の試作竹椀籠プレゼントには驚いています、何せ、いつも数倍の方が応募してくださっているからなのです。いくら無料で当たる懸賞とは言え、まったく関心のないモノや不必要なモノには手間をかけて応募する事もないと思いますし、そもそもそのような企画があったとしても目にとまらないもの、そう考えたら多数の応募は、やはり嬉しい事です。


ストレートネック、スマホ首の竹首枕


椀籠は歳末という事で特別にスタートしているプレゼントですが、もうひとつストレートネック・スマホ首対策の竹首枕も賞品として掲載しています。実は、これにも今までにないほどの多数の応募があって、もしかしたらスマホの普及で首の痛みや肩コリ等に悩む方が増えている証拠でしょうか。


うつむいてスマホの画面をジッと覗き込む方は都会に行くと多く見かけます。出張で、かなり混雑した電車に乗ったのでぐるりと見回すと、あの人、この人...周りはスマホ片手の方ばかりだったりします。それだけ便利な機械でもあり、多くの方に役立つ素晴らしい道具である事には間違いありませんがその分、いままでにない疲労がたまる要因にもなっているのかも知れません。


お陰様で沢山の応募をいただく今年最後の歳末プレゼント企画は、いよいよ明日が締め切りです。


30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」の言葉づかい

30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」


「言葉づかい」などと言いますと、丁寧な言葉とか乱暴な言葉とか思われる方も多いですので適切な言い方ではないかも知れません。昨日、エッセイストであり竹虎のお客様でもあられる山崎好志子さんが自分のブログを良く購読いただいており、ご自身の著書に竹炭風鈴を題材に取り上げていただいたお話しをさせてもらいました。


言葉づかいとは、このブログの書き言葉の事なのです。自分は高知生まれの高知育ちで、どうしても話す言葉は土佐弁が一番「のうがエイがです(調子が良い)」。ところが昨日、土佐弁のブログを楽しみにされているという山崎さんのお言葉に戸惑いも感じいると書きました。


これは、どうしてか?


30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」


実は、最近竹虎のサイトには最近自動翻訳のボタンが付けました。このボタンはGoogleが用意してくれている誰でも使用可能なシステムのひとつなのですが、このボタンを押すと何と英語でもフランス語でもイタリア語でも、竹虎では数カ国の言葉だけの対応にしていますが、その気になれば世界中の言葉にページのテキストが書き変わる事も可能なのです。


今年は春先にニューヨークの展示会に参加させてもらいました、来年はパリやミラノにも展示が予定されています。そんな中、もしかしたら海外からの方も竹に関心を寄せてページに来店され自分のブログをご購読いただけるかも知れません。


しかし、今のところ標準語ですら翻訳の意味が良く分からない事もあるレベル、そこに更に土佐弁で書かれた文章ですと、いくらGoogleが優秀で進化すると言っても翻訳は非常に難解になるのではないか?そんな思いがあって、ある日突然土佐弁控えめな標準語寄りの話し方(書き方)にしたのです。


昨日のお出紙は心に浸みました、土佐弁をそんな風に懐かしく、思いをこめて感じていらっしゃる方もいるのだと初めて知りました。さて、それではどうするか?思いながら、今日も、これは標準語ですぜよ。


山崎好志子さん著「ごきげんよう」

山崎好志子さん著「ごきげんよう」


自分が2006年1月から毎日書くと皆様にお約束している30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」を今日もくご購読いただき本当に感謝の気持ちでいっぱいなのです。30年ブログと、わざわざ書いているのは少なくとも30年間は続けようという気持ちの表れであり、そうやって長いお付き合いのできる皆様とご一緒したいという願いからでもあります。


さて、そんな竹虎四代目のブログに今朝は何とも嬉しいお便りを頂戴しました。達筆なその文章を拝読させていただきますと胸が熱くなります、実は毎日書いているブログですが実際どのような方が、どれくらい目を通してくださっているのか?疑問に思う事もあるのですが、こうして竹虎商品をご愛用いただくお客様からの心のこもったお手紙を頂くと、稚拙なブログでも続けてきた甲斐が少しはあったなあと実感できます。


送り主はエッセイストであられる山崎好志子様。同封いただいた著書「ごきげんよう」の一番最後のエッセイは当社でお求めいただいた竹炭風鈴を取り上げてくださっています。毎日、楽しみにブログをご覧いただいているとの事ですが、関西在住に暮らしながら高知出身のご両親の影響で土佐弁は身近なものだったそうです。自分も高知に生まれ育ちながら祖父母のお陰で関西弁は第二の方言のように思っています。


竹虎四代目の土佐弁のブログを懐かしくお気に召して下さっているいうお便りに、飛び上がりたいほどの感激と同時に、実は戸惑いも感じているのが正直なところなのです。それは、どうしてか?明日の30年ブログで少しお話させていただきたいと思っているのです。

竹の蕎麦せいろと、竹の蕎麦猪口

蕎麦せいろ


蕎麦ざるや蕎麦せいろの季節は夏だけではなく年越し蕎麦のせいか、年末にも需要が高まるのです。竹製の蕎麦せいろには、やはり竹製の蕎麦猪口を合わせて頂たいという事でオススメしていますが竹は自然に生えているものそのままでは長く使う事はできません。


青竹の酒器やお猪口、あるいは盛り器としても使われる事もありますが色がすぐに褪せてしまうため多くの場合には一回限りの使用という少し贅沢なものとなってしまうのです。


蕎麦猪口


そこで、蕎麦猪口などには高温で炭化加工して耐久性を高めた竹材が使用されます。普通の竹材にくらべて茶褐色になっているのが特徴ですが、竹ならではの手触りも、ぬくもりも感じさせてくれるスグレモノです。


蕎麦ちょこ


竹は丸いというのが常識ではありますが、実は丸い竹は思うほど多くないというのが、こうした丸竹加工の製品をご覧いただくと良く分かります。竹は丸くもないし、真っ直ぐでもない、もっと言えば管理の難しい非常に面倒な素材です。だから面白いのです。


風邪知らずの生姜を竹炭飴に入れました。

竹炭生姜飴


冬の健康法として、昔からずっとしている事が生姜紅茶なのです。自分でポットに作る事もありますが、こんなに入れるの?と言うくらいの大きな塊を薄くスライスしたり、気分によっては更に微塵切りにしたりして入れるので生姜がほのかに香るというよりはガツンと生姜の辛みがくるのです。


生姜湯も好きですが、この調子なので市販のものはモノ足りず摺り下ろした生姜を入れたりもします。さすが生産日本一の高知県に暮らしているだけあって生姜消費量も結構なものかも知れません。しかし、そのお陰だと思いますが、この20年近く風邪をひいたという覚えはあまりないですし、寝込むというような事も全くないのです。


だから竹炭飴を新しくリニューアルした時に、地元の生姜を入れた竹炭生姜飴にしたかったのです。難しかったのが生姜の配分、自分の基準合わせるとかなりキツイ味わいのものになってしまいそうなので竹虎社員全員に食べてもらって意見を集めました。


最初の試作の飴は、自分ではちょうどの生姜の味わいだと思っていても辛くて食べられない社員もいます。なるほど味というのは人によって差異があり、大変だと感じながら飴メーカーさんに微調整をお願いして出来あがったのが今の竹炭生姜飴なのです。


ステファンさんデザインの竹ベンチ

ステファンデザイン竹ベンチ


一昨年から2回来日されて虎竹の里にお越しになられたドイツ人デザイナーのステファン(Stefan Diez)さんが、孟宗竹を使ってシンプルな竹ベンチをデザインされています。


Stefan Diezデザイン竹ベンチ


簡単な構造のように見えますが、脚の部分をロープのテンションを使ってカッチリと固定させるアイデアは従来の竹製品にはなかった新しさを感じたのです。


竹ベンチ


最初の作品は昨年2月にストックホルムで展示され多くの方にご覧いただく機会を得ましたが、先日までソウルの展示会で飾られていました。韓国は先の世界竹会議の開催された場所でもあり、竹の伝統が日本と同じように脈々と続いてきた土地柄でもあります。アジアはひとつの竹文化圏と考えた時、更にその評価などが気になります。


Stefan Diezデザイン竹ベンチ


新春の2017年1月には、台数を増やしてドイツのケルンで展示が予定されていて既に製造も完了して配送手配をしている所ですが、可能性と課題とがありながら世界のそれぞれの地域で竹を見て頂ける機会があるのは嬉しい事だと思っているのです。




厳選竹素材の竹炭皿

 
竹炭皿


常識で考えるならば竹炭は黒いとしたものなのですが、美しい銀色に輝く竹炭をご覧になられていかがでしょうか?竹炭にも窯の種類や燃焼温度により色々と違いがありますが、低温で焼かれた竹炭と1000度近い高温で焼かれた竹炭ではその色つやが大きく異なるのです。


普通は黒い竹炭が、高温で焼き上げられるとこのように銀色のツヤツヤとした輝きを放つのです。見た目の違いの次は、音です。普通の竹炭は叩くと鈍く低温の音なのですが、高温で焼いた最高級竹炭はキンキンとまるで金属のような音。




そういえば以前は腕の良い竹炭職人さんがおられて、風鈴を製作いただいていた事がありますが仕上がった竹炭の音色の美しさと言えばこの上無かった事を思い出します。




そうそう、木琴ならぬ竹炭琴まで作られていましたので今思えば本当に奇跡のような竹炭でした。


それにしても、この竹炭は料理の竹炭盛り皿として作っていますが長さが約30センチ、幅は約8.5センチもあります。竹炭は焼き上げると長さで約20%、幅は更に20~30%縮みますから元の孟宗竹のサイズがどれだけ大きなものを厳選しているかがお分かりいただけるかと思うのです。


棕櫚箒の季節

棕櫚箒


棕櫚箒に季節があるわけではありまんが、師走といえば年末の大掃除ですから登場する場面も多くなるかと思うのです。昨今、軽くて吸引力が強い高性能の掃除機が沢山ありますが、棕櫚箒の根強い人気の秘密は、まず音がしないことでなのです。


自分達のような田舎ではあまり分かりませんが、都会のマンション暮らしでは掃除機の音が気になるとの声をお客様より沢山いただきます。


棕櫚ホウキ,作務衣,さむえ,SAMUE


当然電気代もかからない所も利点ではありますが、フローリングを掃除しているとツヤが出てくるのも自然素材の棕櫚を使っている箒の良いところです。


少し前なら、どこの家にも普通にあった箒です。段々棕櫚皮部分が短くなって、最後の最後に土間用に使われたりしていましたので竹虎の工場の掃除用には、職人さんが自宅から持ち寄った棕櫚皮が短い箒が何本もあったことを思い出します。




一年の感謝を込めて試作竹椀籠プレゼント

椀籠


椀籠を新しく製作しようとしています。椀籠には幼い頃からの「お客」の思い出があって大好きな竹細工のひとつなのです。あ、そうそう高知の「お客」と言うのは大人も子供も隣近所の方や親類が沢山集まってワイワイ賑やかにやる宴席の事です。


椀かご


高知の場合には皿鉢料理がいつもの定番で大皿には前菜からメインディッシュ、最後のデザートの羊羹まで盛り込まれていますので非常に合理的にできています。来客には小皿数枚とお箸とコップを用意していたら後は勝手にやってくれますが、やはり人数が人数だけに台所は洗い物で大忙し。


茶碗かご


洗った食器類を干す場所はすぐになくなりますので、登場するのが椀かごなのです。大きくザックリと編み込まれた茶碗籠に沢山の食器を入れた籠が2つ、3つと庭先に並べられ窓からの灯りに照らされている光景を思い出します。


椀かご


今回、浅めに作っていた淡竹茶椀かごをベースに考えていますが、一度竹皮を薄く剥いだ磨きの籠を試作してもらいました。思うより直径が大きくなってしまいましたので歳末という事もあります、ここは一年の感謝の意味もこめて椀かご無料プレゼントにさせていただく事にしたのです。


応募締め切りは今月15日(木)まで、抽選で1名様に当たります。今まで、このような竹籠をプレゼント賞品にしたことはあまりなかったと思いますが、大事にご愛用頂ける方に是非当ててもらいたいと思っています。




ストレートネック・スマホ首の竹首まくら

ストレートネックやスマホ首の竹首枕


ストレートネックやスマホ首をご存じですか?これはパソコンやスマートホンを操作する事の多い方に特にみられる症状で、一つの現代病のようなものかも知れません。


うつむき姿勢が首の湾曲をそこなって真っ直ぐになったり反対に逆アーチになる場合もあり、肩こりや首の痛みだけでなく頭痛やめまい、手のしびれ、吐き気などを引き起こす事もあるそうなのです。


ストレートネックやスマホ首の竹首枕


最近は若い方からお年寄りまでスマホを持ち歩いているのを見かけます。大変便利な機械ではありますが、その使い過ぎがここまで首に負担をかけているとは自分も知りませんでした。肩こりなどは昔からあまりない方ですが、そういえば、たまに首が動かなくなる事があります。これもストレートネックと無関係ではないように思っています。


改善する為の首枕は色々なものがありますが、極太の孟宗竹を使った首枕を製作しましたのは、半割する竹のカーブが首の矯正にきっと役立つのではないかと考えたからです。


竹のヒンヤリとした感触、竹の硬さが首の後ろに心地よい刺激です、何より竹林に真っ直ぐ生える自然の竹そのままの特性を活かした枕なので1人でも多くの方に知って欲しいとチラシもご用意しています。


朝の食卓に彩りそえる虎竹パン籠

虎竹パン籠


忙しい朝の食卓に、ホッとする彩りを添えてくれるパン籠が出来ました。実は自分が美味しそうなパン屋さん等があれば入らずにおられない程の大のパン好きなのです。ところが近年、良く耳にする糖質ダイエットなるものはパンやご飯などの炭水化物をあまり食べてはいけないとの事、大好きなパンを少しだけ控え気味だったのですが、この籠のパンを見たらもう我慢できません。


虎竹パンかご


もともと、このパン籠の原型となった籠は虎竹と真竹で編まれたものでした。


虎竹パンかご


フランスパンのような細長いパン専用に製作したスリムなパン籠に比べて幅が広いずんぐりした形でした。


虎竹パンかご


新しく出来あがった籠は、比べてみたらかなりスマート、そして一番の違いは虎竹と共にスズ竹を編み込んである点なのです。スズ竹はボールペン程の太さしかない細身の竹ですが、しなりと強さがあって今回のような細長い竹籠にも使いやすい素材なのです。


あの渋い雪駄、3年ぶりに帰ってきたのです。

黒革雪駄


本当に長い間お待たせして申し訳ありませんでした。3年ぶりです、遂にあの雪駄が帰ってきたのです。出来あがってしまえば何と言う事もありませんが、ここまでの道のりは長かった...。


手仕事の糸は、どこか一部分が切れてしまえば他が何とか繋がっていたとしても最終製品には辿りつけません。知っていたつもりでしたが、今回もイヤという程この事を思い知らされたのがリニューアルして名前も新たに登場したこの黒革雪駄です。


黒革雪駄


黒革雪駄の魅力は一針一針縫いつけて仕上げていく熟練の技。このステッチが、他にはないタフな表情と強靱た耐久性を産みだすのですが、この手縫いのために底材として使用する再生タイヤがなくなってしまった事が品切れの理由でした。


黒革雪駄


数ある雪駄の底材がある中、ずっとずっと昔ながらの古タイヤにこだわり続けていました。しかし、全国を探し回っているうちに思いがけない出会いがあり手縫いにふさわしい底材をゴムの状態から型を取り作っていくことになったのです。


堅さ、重さ、パターンを考えながら試行錯誤が続きます、コストは度外視していました。一番重要なのは、職人の手縫いの感触はどうか?そして、何より履き心地はどうか?


予想したより何倍も時間がかかってしまい雪駄の発売としては、もしかしたら季節外れかも知れない師走となりました。しかし、この雪駄の愛用者は自分も含めて夏だから、冬だからという事はないようにも考えています。沢山は製造できない少しづつ出来あがる黒革雪駄を、ジーンズに合わせて粋に履きこなしてもらいたいと思っています。