定番の籠やざるのサイズを違えるご注文や、修理であったり、今はなくなってしまった竹細工の復刻など、実に様々なご要望が寄せられる事があります。竹の素晴らしいところは、その高い加工性からそれらのご要望にひとつひとつお応えしていける所にありますが、今回の虎竹茶漉しも少しだけサイズを小さくした別注の商品でした。このような簡素な茶漉しも、出来のよい国外からの製品に押される形で、あまり国内では製作されなっていますがお客様の使い勝手により当然このようなお声は出てきます。
自分が何度かブログでもお話しさせていただくキンマ(虎竹を山から運びだす木製のソリ)職人さんのお話しを覚えらおられますでしょうか?仕事をするご家庭に何泊か泊まり込みでキンマを製作する職人さんですが、納屋に運び込まれた木材の状態からキンマを製作していきますので、仕事を発注された使う人の要望により長さや幅、形が微妙に違っていたに違いありません。
同じように竹籠職人さんも、その昔はお客様であるご家庭に何日か滞在し必要な籠、笊を修理したり、新しく編み上げたりする事があったそうです。そして、そんな時に製作される竹細工は、使う方の体格に合わせて籠の大きさや深さを調節する、担ぐ人の肩幅に合わせて背負い籠を編む等、ひとつひとつ全てがオーダーメイドと言ってよいものでした。誂えのスーツを作るように、背負い籠を編むなど今から思えば本当に贅沢な夢のような話でもあります。
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