土壁の家が建てられることは本当に珍しくなっていますが、この土壁の中に割竹が格子状に組まれて入っているのをご存じでしょうか?壁に使われる割竹なので壁竹と呼ぶ事が多いのですが、職人さんによってはエツリ竹、小舞竹等とも言われる事があります。竹にも色々な呼び名があるのだと思われるかも知れませんが、家屋の柱と柱の間に使う強度の高い幅広の割竹をエツリ竹と言い、そのエツリ竹に小舞竹という幅の狭い竹を留めていって壁の下地が出来上がるのです。
日本唯一の虎竹は全てに虎模様が入っている訳ではなく、色つきの悪い竹もありますので一本ごとに選別して選り分けられます。色つきの悪い竹をかってはこの壁竹用に3メートル切りして割竹にしていました。いくら割りやすい竹とは言えこの長さの竹を均一に割っていくのは大変な労力ですので専用の竹割り機械があります、大きな音をたてながら一日に小山になるほど製造していたのです。
「昔はエツリ竹専門の職人がおって、竹を伐る時期を曾じいさん達が習いよった」
そんな話を職人さんに聞かせてもらいます。竹は旬が悪いと品質が落ち、虫が入ったりするので伐採のタイミングは大事です。その昔エツリ竹は、お城や武家屋敷などでも多用していました、今で言うなれば軍事拠点のような施設です。そんな重要な場所で使用する竹に虫が食ったりすれば一大事、まさに切腹ものだったとも聞きますので、竹伐りの時期に一番厳しく真剣に管理されていた職種のひとつだったろうと思います。
代々竹専門でやられてきた職人さんが、エツリ竹の職人に竹伐採時期を教わるというのにも、なるほどと納得できるのです。
コメントする