「虎竹を使って車を作る」
ちょうど一年と少し前の事です、月に一度の全社会議で、こう話をした時の事はハッキリと覚えちゅうぜよ。社長にだから誰も面と向かって言葉にはしないけれど、また何を訳の分からない事を言い出すのか?馬鹿な大風呂敷を広げて...そんな雰囲気が部屋中に充満しちょったがです。
けんど、それは当たり前の事。誰も見たことのないモノ、知らないモノには興味を示すことはできないので何の話か分からなかったかも知れません。
しかし、この虎竹自動車製作には実はかなり長い準備期間がありました。環境に優しい電気自動車というのは決まっていたものの、複数のメーカーさんがあります。二人乗りにこだわったていましたが唯一の二人乗り電気自動車である光岡自動車Like-T3が実際どれくらい実用性があるものなのか確かめたくて大阪まで試乗に行きました。
市街地の道路を普通車と同じように走ってみて、加速やパワー、操作性など予想以上の性能を知ってこれが竹の車になったらどうだろうか?と急にワクワクしてきたのです。
製作コストの高さに費用が大きな問題となりましたが、クラウドファンディングという新しい方法に活路を見いだします。このスタートが、ちょうど一年前の8月末の事でした。
340万円もの資金を集めるために自分達にしかない価値を考えた末に発表したのが100万円の虎竹里のツアーやったがです。これも社員に話した時には、あまりにも諦め顔をした職人の表情にカツを入れたくなって「100万円どころか、300万円のツアー、500万円のツアーでも買ってくれる人は絶対にいる!」自信満々にそう話ましたけんど、一番不安に思いよったのは自分やったかも知れませんにゃあ。
クラウドファンディングは本当に素晴らしかったと思うちょります。このお陰で横浜の廣田さんのような一生出会う事がないような方とお会いさせていただく機会を頂けたのです。
竹トラッカーの製作には一切指示を出していません。職人の技とハートを信じて、時間はかかるやろうけれど必ず凄い自動車が出来あがると思い、待っていました。ただひとつ、天井の部分は明るい方が良いだろうと思って粗い六ツ目編みのままにしてもろうたがぜよ。六ツ目編みサンルーフなどと喜んでいました。
ところが、このサンルーフから直射日光が差し込んで暑い、暑い。何度か上を見上げて、こりゃあ自分の失敗やったなあと呟いていました。高知から横間まで実際に走ると1026.3キロあった、つまり地図上で計測した時と比べて100キロ余分に走りました。このカンカン照りの1000キロ走行時に強烈な太陽の暑さを感じましたが、自分の胸の内の熱さと比べたら、夏の陽射しなど涼しい、涼しい。最高の出会いと縁をいただいて、真っ赤に燃え上がっちょったのです。
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