現在の背負い籠といえば布編みの背負い紐ばかりになっていますが、かって布や紐というのは高価、手に入りにくいものであったため身近な素材を使った背負い紐が普通だったと思います。最後までそんな伝統を残していたのが「かるい」と呼ばれる背負い籠でした、祖父の代から伝わる技をずっと守り続けられていた竹職人、飯干五男さんの工房で長い時間を過ごした事があります。
雨音の中、竹を割る音、竹を編む音だけが聞こえる工房で、一本の美しい青竹が見る見るうちに竹籠になっていく様に言葉を失って魅入りました。まっこと、このような撮影の機会をいただけた事に心から感謝するのです。
編みあがった竹籠には、やはり職人さん手製の藁編みの背負い紐を取り付けて完成するがぜよ。昔から紐やロープとして利用されてきた素材には藁の他にもカズラや藤蔓、そして竹など様々なものがあったと思いますが思い荷物を背負う強度と肩当たりの具合から結局、藁になったのだと思います。
竹と藁の組み合わせ、まったく違うようですが、藁と言えばお米を収穫した後の稲藁です。植物学的にいうと竹は何とイネ科なので、言うなれば親戚同士で協働しているようなもの、古くから残っている背負い籠も一心同体、誠にしっくり来ているのです。
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