昔の職人さんとのお話しさせていただく事は、本当に面白いものなのです。現代との一番の違いは、その技のスピード。竹製品が全国の家庭で毎日使われるのが当たり前の時代には、とにかく大量生産が基本だったようで豪快な製作工程の話は何度聞いても痛快ぜよ。
少しでも早く、良い商品を作りたいという思いは何処でも同じ事だったのかも知れません。みすず竹細工のヒゴ取り用には、このような見慣れない竹割り道具がありました。
片方にはスズ竹が入れられるくらいの穴が開いていて、もう一方には十文字の金具が取り付けられています。
こちらの道具には更に斜めに「×」が入っています。
これは一体何の道具かと言いますと、穴の開いた方にスズ竹の丸竹を突っ込み竹の太さによって四ツ割や八ツ割にする道具なのです。
実際にスズ竹を割って見せて頂くと粗割ではありますが思ったよりもスピーディーに竹ヒゴを取る事ができます。行李などには竹ヒゴが沢山必要だったと思いますが、このような道具をフルに使って効率適に作業をしていた活気ある職場がチラリと垣間見ることができた気がしました。
初めてなのに懐かしい一枚の写真に出会いましたぞね。小石のゴロゴロした感じは川原のように見えますが、広々とした場所いっぱいにスズ竹が広げられています。自分が幼い頃に遊んだ安和海外の浜辺にも、当時はこの写真のように一面に割った虎竹が並べられていた事を思い出しますぜよ。土手の向こうに見えるトラックが時代を感じさせます。
しかし、首に巻いた手ぬぐい、腕ぬき姿の職人さんは、まるで竹虎の古いアルバムに写った竹職人さんとあまりに似た格好!目が釘付けになりました。竹林で竹の根が縦横無尽に走りそれぞれの竹と繋がるように、遠いように思えるこの地の竹も、自分達とどこかで繋がっているのではないかと思わせてくれるがです。
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