竹職人の物差し

竹職人の物差し


長さが同じような、違うような大小の丸竹が無造作に棚に並べられちょります。ご存じない方が見られると一体何かと思うてしまうかも知れませんが、良くご覧になられると端は切りっぱなしではなくL字のように残されカットされています。実は、この竹は何に使うものかと言うと竹職人の物差しなのです。


色々な竹笊や竹籠を作る職人さんは、それぞれの大きさのサイズをこうして竹に覚えてもらっているのです。編み上げる竹細工の種類が増えるごとに、この竹の本数は多くなっていきます。ホームセンターなどに行けば今風のメジャーなどはいくらでもあると思うのですが、ただ単に長さを測るという意味合いだけではなく、籠ごとに違う大きさを記録しておくという事でもありますし、そもそも長さを測るという事にしても何を隠そう竹ほど素晴らしいものは無いがですぞね。


竹職人(Bamboo craftsman)


自分も小学校から数十年ずっと使い続けている20センチの竹物差しを今でもデスクに常備しちょりますが、竹は気温や湿度で伸び縮みしないという優れた性質を持った素材なのです。そのため昔から身の回りにある物差しといえば全て竹でありました、小さい頃に悪戯して怒られる時には必ず竹の長尺物の物差しが登場しませんでしたろうか?どこのご家庭にも一本や二本は竹の物差しがあった時代ではなかったかと思います。


竹工房でエアコンのある所はほとんどありません、冬は暖をとるための器具があり、燃やす竹材には不自由しませんので薪ストーブがある所もあったりしますが、夏はとにかく何処に行っても暑いのです。けんど、そんな環境でも竹なら正確な長さでしっかりと期待に応えてくれるのです。暮らしの中で使う竹籠に、そこまでカッチリとした長さは求められる事はないのですが、とにかく竹は変わりませんぞね。そう思うて改めてみたら、ただ置かれているだけの竹が又違う顔つきに見えてきますろう。


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