完成した日本唯一の虎竹自動車の細部について その2

日本唯一の虎竹自動車、ステアリング


日本唯一の虎竹自動車のステアリングは円形ではなくUの字型をしています。前輪が一つの三輪車ですので小回りが効くのですが、その分ステアリングの形状の違いもあわせて少しだけ運転にはクセがあって慣れが必要なのです。このステアリングに巻き付けた虎竹は面取りをして素手で触れても手にやさしい丁寧な仕上げになっています。


日本唯一の虎竹自動車、床部分


乗り込むために足を入れる床は木賊(とくさ)張りです。木賊という節のようなものもあってミニチュアの竹のような植物からきた名前なのですが、均等に割り切りした虎竹をベニア板に張り付けた元々は室内の内装などに使うものです。竹は加工の仕方によって硬くもあり、柔らかくもあり、剛と柔の相反する性質を併せ持つ面白い素材ながです、今回はこのような竹の多様性をひとつの製品の中でわかりやすく表現するのも製作のねらいのひとつやったのです。


日本唯一の虎竹自動車、座席


何回かお話しさせても頂いておりますが、今回の日本唯一の虎竹自動車プロジェクトでは二人乗りの電気自動車にこだわりました。一人で走るよりも、お客様を乗せて一緒に竹の感触を全身で感じていただきたかったからですが、二人乗りの電気自動車は、この光岡のLike-T3だけやったのです。


座席シートはベンチシートではなく、それぞれ独立したシートになっています。まるでバイクのシートがならんでいるようですが、このシートにそれぞれ虎竹をヤタラ編みで編み込みました。三角形になったシートへの作業は大変だったようで、職人は何度も何度も編んではやり直しを繰り返し、かなりの時間を費やしてようやく完成した力作ぞね。


日本唯一の虎竹自動車、座席台座


シートがのる台座部分があります。ここは細く取った竹ひごを隙間無く編み込む網代(あじろ)編みという技法が使われました。網代編みの代表選手といえば竹弁当箱が思い浮かびますが、いずれにせよ、これだけ大きな網代編みをする機会はあまりありません。


六ツ目編みサンルーフ


さて、意外に柔らかな座席に腰をおろして上を見上げると明るい陽射しの差し込む事に気づきます。座席上部はヤタラ編みで編み込まず、ざっくりした六ツ目編みのまま残したのです。まあ、言うなれば「虎竹六ツ目サンルーフ」。南国土佐の真っ青な空が見たかったのです。


日本唯一の虎竹自動車、メーター


日本唯一の虎竹自動車の運転席は極めてシンプル。小さなメーターがひとつ付いているだけです。ヤタラ編みで仕上げた所に一歩虎竹をスッーと通しているのも職人の感性。柔軟に編み込まれる細い竹ヒゴ、真っ直ぐにのびる艶やかな竹肌、キリッとはいる竹節、浮かびあがる虎模様。本当に虎竹って美しい...メーターより虎竹に目がいかないように注意せねばなりません(笑)。


日本唯一の虎竹自動車、荷台


座席後部の荷台部分はヒシギ張りで仕上げられています。唯一この両サイドに使用した黒竹と対比を楽しめるように少し明るい色合いの虎竹を平たく叩き割り張り付けています。最近では新しい感覚で店舗装飾などにも使われるようになっていますが、竹虎では袖垣に多用する技法です。


紐をひけば蓋が開くようになっちょりますが、この下には動力の心臓部分とも言えるバッテリーと充電器が内蔵されているのです。


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