昔の竹細工、竹製品は何でも大量生産が多かったのです。以前、竹職人さんの工房で拝見させてもらった竹ヘルメットは、大戦中、陸軍の兵隊さんが使ったものなので、それこそ産地総出で協力して製造していたようなのです。今の竹編みとは比べモノにならないようなスピード感のある工房の様子は古老の竹職人さんから、いつもお聞きする事ではありますけんど、そのスケール、勢いは何度聞いても楽しくワクワクしてくるものばかりぜよ。
けんど、一体この竹ヘルメットはどんなにして使われたがやろうか?鉄製の重たいヘルメットは当然皆さんお持ちだったと思うのですが、猛暑の南方戦線での移動などには、防暑帽子として通気性バツグンで軽いこの竹ヘルメットが大活躍したのではないかと想像するがぞね。二度と繰り返してはならない不幸な歴史の中とは言え、かってこのように竹が活用され、人様に役立っていたというのは産地の皆様にとっては誇りでもありますし自分達にとっても嬉しい事ながです。
頭に竹をかぶると言うと時代は現代に戻って今の高知。細々とではありますものの製作の続く竹皮を使った素晴らしいまんじゅう笠と呼ばれる竹笠がありますぞね。時代劇に出てくる旅人が被りそうな笠ですけんど、かって幕末には坂本龍馬さんがこれで顔をかくしながら脱藩したというような逸話もある笠なのです。
竹で骨組みを組んで、その上に竹皮を張りつめ、最後に細く細くとった竹ヒゴを縫いつけて仕上げていく。この細く長い竹ヒゴは竹ヒゴ抜きと呼ばれる、丸い小さな穴を開けた鉄板に一本づつ竹を通して同じ細さの竹ヒゴにしていくがぞね。
こうやって近づいて見てみたら、竹ひごを糸でとめてある無数の多さに気が遠くなりそうですが、これを一つづつ丁寧に職人さんは留めていくがです。出来あがった笠は竹皮の耐水性で守られて少々の雨など気になりません。そして、何より軽い、自分の足だけが頼りだった時代の旅人には重宝されてきた逸品ながです。
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