日本唯一の虎竹で製作を進めてきた虎竹自動車の完成が間近となってきましたが、今朝の高知新聞の朝刊全面を使うて本当に大きく、しかもカラーで写真を5枚も掲載して頂いて驚くと共に感謝気持ちでいっぱいながです。もちろん、こうして高知県はじめ沢山の方にご披露させていただくのですから、少なからずプレッシャーも感じなくはありません。虎竹自動車は、完成したらそれで終わりという事ではなく、「チャレンジラン横浜」と銘打ち、この車で来月には虎竹の里から神奈川県横浜市まで走って行くのです。
車体に使うのは光岡自動車さんのLike-T3は二人乗りの電気自動車ぜよ。8時間程度の充電で約50キロの連続走行が可能です。つまり、道中は50キロごとに充電しながらの行程となり10日から2週間程度の時間がかかると考えちょります。まっこと、考えようによっては無謀この上ない計画であり、予想も出来ないような事も起こるかも知れません。
けんど、行かねばならないのです。今回の日本唯一の虎竹自動車プロジェクトは、忘れられつつある日本の竹を今いちど見直してもらおうと思って一人でも多くの方に「自分事」にしてもらいたかったがです。そこで、クラウドファンデングという手法を使い製作資金を全国の方から頂きました。
一番多くの支援をくださったのは横浜で会社経営をされているヒロタリアンさん。今年に入って虎竹の里に単身お越しいただき、虎竹を伐り、山出しを体験され、選別、油抜きなど一通りの製竹作業をしていただきました。当社の職人がサポートしながら一般の方がこのような仕事をするのは竹虎122年の歴史の中でも初めての事ではないかと思いよりますが、そうして出来た虎竹を、ご希望だった虎竹ランドリーバスケットに編み上げたのです。来月、横浜を目指すのは、ヒロタリアンさんご自身が虎竹の山から出した竹で作ったこの籠を虎竹自動車でお届けする為ぞね。
昨年の夏からはじまったプロジェクトには、色々な意味合いと自分のメッセージを込めているつもりです。最初に申上げたように竹が忘れ去られつつある今に奮い立ったのも、そのひとつ。一番知ってもらいたいのは、虎竹の里で虎竹に毎日、直接関わる竹人達へぜよ。自分達がいかに素晴らしく、最高の仕事をしているかという事、自分達は自信と誇りをもって持ってエイのです。小さい田舎の竹屋ながら、竹を扱い今年で創業は122年、この里にしか成育しない不思議な竹と初代宇三郎が出会ってから100年。日本だけでなく、世界で、どれだけ沢山の方を竹で笑顔しているか、心を満たしているか。自分達自身が一番知らねばならないと思うちゅうがです。
虎竹自動車にしても、製作する職人達にとっては当たり前の事をやっているだけだし、誰でもできる何でもない事だと思うています。しかし、本当にそうやろうか?きっと、それは違う。誰でも出来る事を、誰でも出来ないレベルで自分達がやっている。その事は、今朝の新聞での大きな記事に掲載いただいた事を見ても分ってもらえるがではないろうか。
だから、自分は虎竹自動車には全く手を触れず、現場の職人達だけに任せてきたのです。必ず、その日までに竹虎の職人はやり遂げると思うたし、それでないと意味がない。そして、完成した車には自分が乗って、すべてを背負って走って行く。
現在、電気系統のトラブルで動かなくなっちゅうのです、けんど何の心配があるろうか。虎竹自動車のエンジンはバッテリーでも何でもない、虎竹の里の燃えるような熱い気持ちで走るものなのです。
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