犬矢来をご存じですろうか?言葉自体はご存じなくとも画像をご覧になられたら多くの方が見た事のあるものだと思います。京都の街角など古い町並みを残している地域では良く見る事ができるものですが、塀や軒下の足元部分に設えられている犬の小便除けのための物で駒寄と呼ばれたりもするがです。
竹を使うたものが一般的で、柔軟性を活かしてカーブを描いた割竹がずらりと遠くまで並んでいる姿は古都の町屋の象徴にようにもなってちょります。元々は実用性を考えて作られたものであるかと思いますが、まっこと風情があってエイものです。
さて先日、久しぶりに安芸の小京都と言われちょります竹原市に行く用事があったがです。NHK連続テレビ小説「マッサン」というドラマがありました。国産のウィスキー製造をはじめる物語の中に登場する、主人公の亀山政春の実家である造り酒屋もこの町にありますが、周辺には風情の趣のある街並が続いちょります。おっと、さすが小京都ぞね、犬矢来が続いちゅうにゃあ...と思っていたら、何と塀の際に深い溝がありますので、どうやら転落するのを防ぐ防護柵の役割をしているようでした。
けんど、それがずっと向こうまで続いていて昔ながらの街の景観と相まって素晴らしいのです。竹原という地名自体、もともと竹が多くて名付けられたと何かで読んだ事があります。自然の竹をそのまま使っていますので、金属や塩ビなど他の素材に比べますと耐久性では若干劣るものの、竹にまつわる地域で、こうして竹が活かされているのは本当に嬉しい事だと思いながら歩かせてもらったのです。
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