高知県では昔からエビラと呼ばれてきた四角い木枠の付いた使い勝手のよい竹編み平籠がありました。養蚕の盛んな当時にはカイコ棚に使われて随分と活躍したものですが、養蚕をされなくなった後も農家さんなどの庭先では野菜を干したり、椎茸を干すのに重宝されているのを良く見かけるのです。
このエビラの竹編み部分は、網代編みであったり、粗い四ツ目編みだったり、あるいは六ツ目編みである事もありますぞね。現在製作しているのは、梅干しなど小さなものでも干す事ができるビッシリと編み目の詰まった網代編みの物ばかりですが、竹には旬があって寒い時期に伐採した良質な竹を使って細工をします。なので梅干しの土用干しは、まだ先の事ではありますが今からこうして竹編みは沢山製造しておいてあるのです。
いつの事だったか、静かな山村を歩いていた時に、エビラを谷川の水で洗われている農家さんに行き当たった事がありました。主に近くで栽培しておられる椎茸を干すのに使われているとの事でしたが、そのエビラは竹編みが使われておらず、木枠の内側には金属製の網が使われちょりました。
身近に沢山ある竹を活用されていないのは、ちっくと(少し)残念には感じましたが、竹職人さんがおられなくなって仕方ない事でもあったのかも知れません。しかし、こうして同じ形のものが今でも仕事の道具として生活の中で生きている事を見かける度本当に嬉しく思うのです。
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