一枚が二枚、二枚が四枚、竹ヒゴ分身の術

竹剥ぎ機械


竹細工を機械化する試みは昔から色々とされてきちょります。竹は、ご存じのように中が空洞となっています。丸いように思われていますが一本一本形が微妙に違いますし、堅さなど性質もそれぞれ違うていたりします。身の部分が薄く木材のように角材にして一定の規格にはなりにくく実は機械化が本当に難しい素材ながです。


それでも大量に製造する竹製品では職人の手だけでは、どうしても足らず何とか機械化をしたいと試行錯誤を繰り返してきたお陰で竹ヒゴを取る工程では実用化されている物があるのです。


竹剥ぎ機械


ところが先日は凄い機械を拝見させてもらいましたぜよ。竹ヒゴを取る機械は割竹をローラに挟んで刃物をあてがい一枚の竹を二枚に剥いでいくのですが、この機械は二枚に剥がれた竹ヒゴが、それぞれ別々の鉄製の四角い筒に吸い込まれていくがです。


竹剥ぎ機械


二本の筒は横にしたV字型になって、それぞれ筒の先には更にローラーが待ちかまえちょります。つまり、第一番目のローラーで二枚に剥がれた竹ヒゴは、第二番目のローラで更に薄く二枚に剥がれるという事なのです。


竹剥ぎ機械


同じような機械は多くの竹工場で見ることができますぜよ。竹虎にもあって枝折り戸に使う剥ぎ竹は、この機械を使うて加工されよります。竹を割ったままの一本の竹ヒゴは厚みがあり、そのままで細工に使う事はできません。竹表皮部分だけを使用しますので、身の部分を剥いで薄く柔らかなヒゴにしていくのです。


しかし、普通の機械であれば竹表皮部分、身部分がそれぞれ出てくる所が二段あれば足りますのに、ここの機械は倍の四段にもなっちょります。一枚の竹が二枚、二枚が四枚、まさに竹ヒゴ分身の術ぜよ。「必要は発明の母」と言われます。このような大量に竹ヒゴを取ることのできる機械が考案されたのは、それだれ製品が求められちょった証かと思います。フル稼働していた頃の、竹の黄金期を思いながら、この場所からなかなか動く事はできなかったがです。


コメントする