一昨年の秋にニューヨークに行く機会がありましたぜよ。その時にアポロシアター前の道路を挟んだ向かい側に、ハーレムのピカソと言われちょりますフランコさんにお会いさせて頂いたがです。この方はハーレムの目抜き通りのシャッターに絵を描き続けて街のイメージを変えた方やそうながです。様々なメディアに取り上げられちょりますし、日本にも招かれて何度も来日されていますので、もしかしたらご存じの方もおられるかも知れません。
今では多くの方に支持され、描かれた絵画を展示販売していた路上は、人だかりが出来ていて、まるで観光名所のようなっちょりました。けんど、最初からこのように街で評価され、人気者としてあられた訳ではないようですぞね、初めてシャッターに絵を描く時には、経営者や店主の方に信用されずご苦労されたようです。
「一人では何もできない、一人でないと何も始まらない。」
にぎやかな露店で、にこやかに笑われるフランコさんを拝見しながら、こんな言葉を思いだしちょりました。自分の出来る事など、ささやかで本当に小さな事ですろう。多くの方にとっては、どうでも良いような事であるかも知れませんが、日本でずっと続いてきた竹文化をこれからも伝えていきたいと思った時に出会った言葉でもあります。
だから又フランコさんにお会いしたいと思うちょったがです。今回のニューヨークCOTERIE展はJavits Centerと言うところで開催されていました。この時期は寒暖の差が大きくて年によっては雪で交通機関が乱れる事もあると聞いちょりましたのでホテルは歩いて行けるようにできるだけ近くに取っていましたが、フランコさんのおられるアポロ劇場前まではタクシーで20~30分くらいかかりそうな距離でした。
けんど、ちょうど搬入の日はフランコさんからおられるはずの日曜日、思ったよりブースの準備も早く終わり会場の外に出るとまだまだ明るいし、タクシーに飛び乗り向かう事にしたがです。ところが、到着してみますと路上にお店は何店舗かあるものの、フランコさんが前におられたはずの場所には誰もいないのです。念のためアポロ劇場側に渡って見て回りましたがやはりおられません。
元の場所にもどって近くの椅子に座られていた警備員らしき方に訪ねてみたら、今日は帰った後との事でした。ああ、残念...!けんど、またお会いしに来られる楽しみもあると言うものですろう。
自分は田舎の小さな竹屋ですので、フランコさんのように街全体を明るくするほどの華々しいことはとうてい出来きません。けんど、身の丈に合ったほんの虎竹の里の周りの一隅なら照らす事ができるのではないですろうか。こんど会いに来られる時まで、コツコツやっていきたいと思うちゅうがです。
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