先日の高知新聞をパラパラとめくっていますと近頃では見かけることの少なくなった木舞(こまい)竹を組んでいる写真に目がとまりましたぜよ。木舞は「小舞」と書かれる事もありますが、土壁の下地として割竹を柱と柱の間に組んでいくがですぞね。高知県は土佐漆喰などが有名ではありますが、県内でも建てられる住宅は大手ハウスメーカーの工場製造された家が多くなり土壁の家など、ほとんど無いのではないですろうか。そんな中、何と地元の須崎市に一人だけ残った木舞職人さんの特集記事が掲載されていたのです。
竹虎と同じ須崎市でも、この職人さんは浦ノ内の方のようです。虎竹の里とは東と西で一番遠く離れちゅうせいもあってか今まで存じあげませんでした。けんど50年以上もこの仕事に携わってきただけあって、とても70歳とは思えないような身のこなしが写真からも伝わってくるのです。
実は竹虎でも以前は木舞竹を大量に製造しよりました。虎竹の里の山々から山出しされる虎竹は、全てに虎模様があって商品にできる訳ではなく、色つきが良くなかったり、キズだったりする二級品の竹も大量にあったがです。そのような竹の多くは、規格の長さに切断し太さによって割幅を決めて全てこの木舞竹に加工しよりました。最盛期には毎週10トントラックに積みきれないほどの製造があり、ひっきりなしに京阪神の問屋さんに運ばれて行っていたのを思い出すがぞね。
住宅の変化に加えて、海外からも割竹が輸入されるようになって竹虎でも製造をやめて久しいのですが、こうして高知で木舞竹の文化が少しでも続いている事は、まっこと嬉しいがです。左官職人さんが入って壁を塗れば自分達の竹の仕事はすべて隠れて見えなくなってしまう、それなのに等間隔で並ぶ竹や見栄えにこだわるのは、さすがに本物の職人さんぜよ。
「壁の中を100年飾る」ご存じない方には少し分かりづらい見出しかも知れませんが、木舞職人さんの仕事を上手く表した素晴らしい見出しやと感心するがです。
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