ニューヨーク五番街、ティファニー本店の竹籠

竹虎四代目(山岸義浩、YOSHIHIRO YAMAGISHI、TAKETORA)、newyork Tiffany 、ニューヨークティファニー


自分は恥ずかしながら本当に田舎者で宝石だとか時計など高級装飾品を扱うブランドのお店かあまり好きではないがです。だからデパートの一階には、ほとんど用事がない男ながですぞね(笑)。高級ブランドのお店様は、気軽に入る事ができませんし、緊張するし、ウィンドウショッピングをしたり遠くから眺めてみたりすると純粋に美しいとは思いますが、そもそも買うあてがないし、まっことご縁がありませんにゃあ。


ただ、唯一このニューヨーク五番街にあるティファニー本店にだけは行かねばならいと思いよりました。20数年前にバンブークラフトの作家の方を頼って単身来た時にも、真っ先に訪ねた店がここでしたし、一昨年もそう、そして、今回もながぞね。せっかくこの大都会に来ているので他にも素晴らしい色々なお店があるかと思いますが、よく考えたら他のブランドのお店、いやいや考えたらデパートにすら一軒も行った事がないがぜよ。


日本にいる時にさえ、ティファニーのお店には入った事もないのに、何故ニューヨークの本店には行かずにおれないか?不思議に思われるかも知れませんが、どうしてかと言うたら昔からこの店舗の事を祖父から聞かされちょったきですろう。


この店にはオープンハートなどで有名なデザイナーの方がおられます。もう随分と前の事ですけんど、わざわざ日本にまでお越しになられ竹職人の技を活かした作品を発表された事があるのです。その竹作家の先生とは祖父が昔から、こじゃんと(とても)懇意にして頂いていましたのでアクセサリーなどには、あまり興味ありませんけんどニューヨークティファニーの名前にはずっと耳にしており親近感を持っていたのです。開発当時のプロトタイプ(試作)の竹パーティーバックを譲り受けて自分の宝物の一つになっちょりますが、丁寧に仕上げられたバックを桐箱から出すたびに行ったことのない、遠い異国の店舗を思い、この日本の極みの技が見た事もないアメリカの大都市の煌びやかな店頭に鎮座する姿を夢見て来たがぜよ。


だからですろうか、お店にはまったく似合わしない格好ですし、キラキラまぶしいほどに輝くきゆう宝石などには関心があるワケでもありません、入り口で門番をされている体格の良いスーツ方々は、あんな前掛けした料理人のような男が来る店ではないと思っているかも知れません。けんど、自分では、自分が来るべき店として勝手に思い込んでいるのです。


COTERIE(コーテリー)展


そういうワケでCOTERIE展にやって来た今回も、このお店にだけは行きたいと思うて閉店間近でありましたがタクシーを飛ばしてやってきましたぞね。今では祖父と懇意な竹作家の先生は引退されていますが、そのデザインを踏襲するような作品が2点陳列されています。そう言えば、竹籠に金箔を施す技を初めて見たのがティファニーの竹パーティーバックでしたにゃあ、竹編みに金とは日本の発想ではなかなか生まれません。しかし、何度拝見しても竹の編み目によくぞあれだけ美しい金をあしらう事ができると感心するがです。まっこと日本の技というのは凄いちや。


もうひとつの作品には漆で仕上げらた網代編みを底にして巾着をつけた手提げになっちょります。かっては、年間通して個数を限定した販売やったそうですが発売すると即完売という大変な人気やったと言う事を竹作家の先生からお聞きした事がありました。この場所で、こうやってアメリカのお客様に購入いただいていたのだろうか?今の人気はどうながやろうか?この店に置かれている竹を見たら祖父なら、どうするろうか?


世界中の人とモノが集まる中心地とも言えるような街、そして誰もが知る有名な宝石店で、日本の竹が見いだされ、そして輝いちゅう。本当に沢山の思いが駆け巡りますぜよ。お金で買えない大きな価値の幸せを感じて頂いて帰る事にしたがです。


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