伝統の籠師、新たなる挑戦

伝統の竹籠職人(Bamboo craftsman)


孟宗竹を編組細工、つまり丸竹を細く割って竹ヒゴを作り、そのヒゴを編む事によって籠やザルを作る竹細工に使用する職人さんは結構珍しいのではないかと思います。ついでに言うたら淡竹(はちく)を使われる職人さんも少ない、真竹に比べると竹編みが難しいのではないかと思われがちですけんど、淡竹を使う職人さんはコレでないと使えないと言われますので面白いものながです。


ただ、淡竹を使われる方は九州にもおられましたが、孟宗竹を小さな籠編みに使う職人さんは他では聞いた事もないので、もしかしたら地元高知にしかおられないのかも知れませんにゃあ。まあ、そんな事など全然気にもとめず今日も竹職人さんは元気に竹籠を編みゆうがぜよ。直径も太く、身も厚い孟宗竹は重さもハンパでありませんので伐り出すのには骨が折れる作業ですが、それでも籠の力竹などには、どうしても強いこの竹を使いたいと職人さんは言うがです。


代々続けてきた竹の仕事の場合、往々にして新しい細工に挑戦したり、変化に対応できない事が多いのです。頑なに自分達のやり方に固執してしまいがち。けんど、今回ばかりは少し様子が違うちょりますぞね。ほんのちょっとの事ですが、今までとは変わった竹編みをする事になりました。「何だ、たったのそれくらい...。」もしかしたら、そう思われるかも知れません。しかし、何十年と同じ手仕事をされてきた職人にとって、ほんの少しでも新しい事を始めるのは周りが考える以上の労力を必要とするがぜよ。


伝統の竹籠職人(Bamboo craftsman)


古くある竹細工は、長い時間の中で品物が鍛えられ、何も足せないし、何も引けない、言うなれば究極の形であり、作りになっています。だから熟練の職人さんは、傍らの父親や師匠の技を見ながら教わり、恐らく先人もやって来たようにずっと続いてきた技を繰り返し、繰り返し、自らの精度を上げてきたと思うのです。


ところが新たしい品物にチャレンジしようとする時には、初めて編んだ籠が二回目、三回目となる度に自分自身の気づきや工夫があって変わっていく事があります。そして、そうこうしている内に、初期に編んだ竹籠を使ったお客様からフィードバックがあり生活の中の竹は更に完成度が高くなっていくのです。


コメントする