京都の銘竹市に行った時には普段あまり目にすることのない珍しい竹達に出会いましたぜよ。そんな中のひとつに根元から90度に曲がった珍竹があったのです。
竹は一日に最大で120センチも伸びた記録があるくらい成長力のある植物ながです。この竹は筍として生まれ、その驚異的な力で上を目指して伸びようとした時に、たまたまその進行方向に石があったのか?何があったのか?とにかく真っ直ぐに伸び上がる事ができず折れ曲がり、それでもその障害物を回避したところから逞しくスクスクと大きくなった、言うなればこじゃんと(とても)苦労した竹なのです。
人間にたとえるとするなら、ちょうど伸び盛りの子供の頃ぜよ。この竹も、もしかしたら思うたかも知れませんぞね「どうして自分だけ、こんな大きな岩の下敷きになって真っ直ぐ伸びられないのだろうか?」。同じ竹林では仲間の若竹がドンドン伸びて行っているのに、自分が望んだわけでも悪いわけでもなく、たまたま置かれた運の悪さを嘆き、悲しんだのかも知れんがぜよ。
けんど、その時にはマイナスとした考えられなかった事で、辛い思いもしたかもしれませんけんど迷いながらでも道を探した結果はどうやったろうか?朝の来ない夜は無いと言われますけんど、本当にその通りで大きな岩はどこまでも続いちゅうわけではなく、しばらく我慢したら上に伸び上がれる場所が見つかった!
望まない境遇で不幸にも思えなくもありませんけんど、そのハンデを乗り越えてみたら他の竹にはない魅力と価値がついて、数え切れないほどの竹が生まれて来る中にあっても選ばれ、竹の本場である京都の銘竹市のような輝かしい舞台に立つことが出来るちゅうのです。
この竹は希望です。人は皆が強く、順風満帆ではないと思うちょります。けんど、大きな壁を前にして泣くのか、笑ってみるのか。諦めない事の大切さと、いつでも人には明日がある事を教えてくれるために、この竹は此処にあるがです。
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