虎竹の里にだけ生育する虎斑竹(とらふだけ)の命名が世界的に有名な植物学者であられた牧野富太郎博士とお話したら、少し植物や造園に詳しい方でしたら皆様けっこう驚かれる事が多いのです。やはり、それだけ有名でもありますし偉大な方やったがですろう。
高知県は佐川町のご出身ですが、晩年は東京に暮らし活動されていたからでしょうか?また、練馬区東大泉のお宅が牧野記念庭園となって様々な展示もあり、書斎なども残されていますので人によりましたら東京都の出身と思われちゅう方もおられるようです。しかし、紛れもなく土佐生まれ。生誕の年にはペリー来航、坂本龍馬脱藩などがあった、まさに幕末動乱と共に育ち、新しい時代に命をかけた志士と同じく植物に一生を捧げた「いごっそう」ぜよ。
おっと、「いごっそう」は高知の方言やった...自分の考えを曲げない頑固者の事を言いますが、ずっと植物一筋やった博士のような一本気な方は高知には多いがです。けんど、この山に一人で来て腰を下ろしちょったら思う時があるがです。静かな竹林の向こうから、あの少年のような方のザッザッと竹葉を踏みしめてくる音が聞こえてくるかも知れん。もちろん気のせいに決まっていますが、まぎれもなく、あの方もこの竹を見てきっと今の自分のように思うたはず。
そんな不思議な虎模様の入る竹ですが牧野博士に一つお聞きしたいにゃあ。その当時なら竹虎の工場は大阪の天王寺にあって、製竹はされていなかったですろう。けんど、もしかしたら初代宇三郎とは会うて言葉ばあは交わしてたがではないろうか?牧野富太郎博士は自らを「植物の精」と言われよったそうですし、曾じいさんの宇三郎は虎竹を求めて昔なら海外のように遠かった土佐まで船でやってきた、同じ変わり者同士のような気がするがぜよ。さぞ、話は合うたがではないろうか?
牧野先生、虎竹は山で見る模様は淡竹特有のもやの下で隠れちょりますが油抜きしたら虎模様が、こじゃんと(とても)浮き上がるのを知っちょりますか?糖質の多い竹から吹き出る竹瀝(ちくれき) の甘い香りを知っちょりますか?
先生も、きっと虎竹の里で今まで見たことのない竹を発見されて小躍りしましたろう(笑)自分も今度のニューヨークJAVITS CENTERで開催されるCOTERIE(コーテリ)展のために製作してもらった横幅270センチ、高さ200センチの虎竹バナーを吊り提げて見た時にいつも工場で見ゆう竹の美しさを、沢山の方に伝えられると思うて小躍りしましたぞね。
正式名称、土佐虎斑竹(とさとらふだけ)、まっことエイ(良い)名前を付けていただき今さらながら感謝します。展示会でご覧いただく虎竹バックニューヨーカーも、ようやく完成しましたぞね。いずれ、お会いさせて頂く時には、面白い土産話ができるようにしちょきます。
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