竹ざる30年、40年、50年。素晴らしい素材

国産竹ざる


高知の古い竹職人さん達は竹ざるを「さつま」と呼ぶのです。一般的に、この辺りで「さつま」とい単語を聞くのは「薩摩揚げ」くらいではないかと思いますので、昔からどうしてだろうと不思議やったのです。土地の古老に聞いても誰も知らなかったので随分と前の時代の事かと思いますが、かってこの竹ざるの技術が鹿児島から伝えられた名残と知り、なるほどと納得した事があるがです。


「親父がそう呼んでいたから゛さつま゛だよ。」


何とも無邪気な笑顔で話す職人さんは、香り立ちそうな新しい竹を使うて竹ざるを編まれよります。


干し大根に使う竹ざる


思えば竹細工にも色々ありますけんど、このような平たい竹ざる等は誰もが知っていて、地域を問わず広く愛されている竹の一つですろう。使われ方は実に様々だったのですが、現在では主に干し野菜などに使わる事が多いのです。食材により天日干しすると、新鮮なものよりも保存ができるし旨味が増すので本当に不思議ぜよ。


干し筍と竹ざる


日本だけではなく東南アジア一帯で大活躍しよりますが、台湾で見かけた竹ざるには何やら見慣れないものを干していました。何やろうか?と思い近寄ってみましたら筍ぜよ。竹ざるに筍とは、さすがに竹の産地である南投県だと感心した事があるのです。


竹笊


もちろん、今でも収穫したばかりの新鮮な野菜や食材を入れたり運んだり、竹ざるの活躍の場は人の暮らしの数だけあると言うても過言ではないかと思いますぞね。


古いサツマ(竹ざる)


木の家具は温もりがあって大好きですけんど、木製チェアを見ていたら50年経った木材から出来た製品は50年、100年の木材から出来た製品は100年使えると木工職人の方に教えていただきました。さて、竹ざるは一体何年間くらい使えますろうか?もちろん使い方にもよるのですが大切に使えば10年、20年、30年、いえいえもっともっと長く使えるのではないかと思います。


職人が手にしているのは、長年の使用で縁が壊れたのですが竹に愛着があるからと修理を頼まれた竹ざる。こうやって手直しできるのが竹の良い所ちや、こうして使えば40年、50年使えますろう。木なら成長に50年、製品で50年。竹は同じ50年でも成長には3年しかかかっちょりませんぜよ。まっこと(本当に)効率の良い素晴らしい素材であるとしか言いようがないのです。


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