竹は継続利用可能な唯一の天然資源と言われちょります。あまり言われることがないので知る方も少ないのですが、他の植物同様に表年、裏年が竹にもあるものの毎年のように筍は出てアッという間に親竹と同じ大きさに成長し、あたかも当然のように青々とした葉を風に揺らしります。
筍の成長の過程で、服を脱ぐかのように地面に落とされる竹皮には天然の抗菌作用があり、水にも強く、昔から格好の食品用包材としても活躍してきたがです。今では色々な素材のものがある事に加えて、輸入の竹皮が大量に入っちょりますので、あまり顧みられる事のなくなった国産竹皮ですが、やはり高級ブランドの和牛などには国産のものが選ばれ続けちょります。
掃除の行き届いた倉庫には所狭しと乾燥させた竹皮が丁寧に揃えられて積み上げられています。湿気を持たぬようコンクリートの地面から十分に離して通気性を確保していることを見るだけでも、大事に大事に竹皮達が見守られちゅうのが伝わるがです。
孟宗竹の竹皮もあれば、真竹、淡竹(はちく)のものもあるのですが、この竹皮達は食品の包材用ではありません。竹皮草履の材料ながです、時期になると毎日のように竹林に通い竹皮を集めて天日に干した後、数年保管して使っていく竹皮。乾いている時にはカチカチに硬くて、これでどうやってあの細やかな編み込みに出来るのか?初めての方なら、まっこと(本当に)不思議に思えてくるのではないでしょうか。ところが、これを水に戻すと、まるで柔らかな革のように、しなやかな素材になるがです。細く短冊状に裂くいた材料は熟練の職人の手にかかれば見る見る内に草履の形に編み上げられていくがぜよ。
人の手をまったく入らない竹林から生まれる竹皮は大自然の恵みそのものぞね。できるだけ活用せねばバチが当たると言うものです。綺麗に整理されて保管されちゅう職人さんの倉庫には、そんな自然への感謝と畏敬の念が感じられます。
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