さて、いよいよ日本唯一の虎竹の製竹作業の工程になりましたぞね。竹林から伐り出して来た竹を工場に運び込みます、ヒロタリアンさんは流石です、すでに職人さんのように竹の扱いが堂に入っているのです。
製竹には専用のガスバーナーを使いますがサイズに切った竹をそのまま炙っていけるかと言うとその前に、まず竹の目打ち作業があるがです。目打ちは竹の小枝の根元部分を取り除く作業ですぞね。鋸で小枝根元部分に切り目を入れ竹表皮が剥がれないように根元部分だけを打ち払うていきます。ヒロタリアンさんも大事な竹にキズを付けないよう、職人の指導に真剣な眼差しで取り組まれちょります。
目打ちを終われば、いよいよガスバーナーですぞね。虎竹は淡竹の仲間で竹表面には白っぽい粉が付着したようにも見えるのですが高温を加える事により竹の油分が吹き出してきて虎竹は見る見る美しい姿に豹変するがです。
拭き上げたばかりの虎竹達は青々として初々しい感じですけんど、時間が経つにつれて落ち着き渋い虎竹の色合いになっていくのです。
竹林でご覧になられた自然そのままの虎竹は、いったいどれが虎模様かさえも分からなかったと思うのですが、それが拭き上げ工程になると、本当に素晴らしく光沢のある別モノのような竹になっていきます。
拭き上げられたばかりの虎竹は素手で触れないくらいの熱さを保っちゅうがです。この熱を利用して竹の矯め直し作業が進められますぞね。竹は普通の状態では硬く、しなやかに曲がっていても、その曲がりは元に戻ってしまいます。ところが熱を加えている間は、まるで飴細工といえば大袈裟ですが、職人の手にかかればそれくらい自在に曲がりを矯正する事ができるのです。
矯め直しは、大きな矯め木に開けられた穴に熱した竹を差し込み、テコの原理を使うて矯正していきます。真っ直ぐなイメージのある竹ですが、実は一本たりとも真っ直ぐな竹などはありません、普通に目にされる竹が真っ直ぐで綺麗に並んでいるのは全てこうした工程を経ているからなのぜよ。
ヒロタリアンさんも一人で矯め直しに挑戦...。けんど、当然ですがなかなか上手くできませんぞね。
手助けしてもらいながら、時間をかけて矯め直しをしていきます。
竹の矯め直しなど初めての事ですので、もちろん簡単にできることはないと思います。けんどヒロタリアンさんとりましては竹の矯め直しなど、おそらく一生に一度の事かも知れませんし、当社社員にとりましても社外の一般の方に技を教える体験など、そうそうありません。
竹林での伐採から始まり、工場では目打ちや、矯め直し作業を教えたり、ヒロタリアンさんがされる工程を見たりして、自分達が毎日当たり前にやっている竹の仕事を改めて見直してもらえる契機になったのではないろうか?そんな思いをしちゅうがです。
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