煤竹(すすたけ)は、高級竹材としてお茶やお花の道具などに多用される竹ですけんど、孟宗竹や真竹などと同じように竹の種類として自然にあるものではないがです。昔は一般的であった茅葺き屋根には、骨組みとして竹材が沢山使われていましたが、この竹が100年、200年と長い時間をかけて囲炉裏の煙に燻されている間に自然な深みのある色合いに変わっていくがぜよ。
薪やバーベキューの煙などを思い出していただきたいと思うのですが火を入れると屋外であってもモウモウと煙が立ちのぼります。現在のご家庭では室内で火を焚くのはガスコンロくらいですが昔は調理をしたり、暖をとるのにも囲炉裏の火が大きな役割をしよりました。パチパチと音をたてて燃える火は心安らぐ物ですが、この室内での煙は差し込む光がハッキリ見えるくらい、普通に思う以上に充満しちょります。
この煙が竹の色づきを良くしますし、また茅葺き屋根の素材につく防虫効果などもあったと言われます。ただし、煤竹の場合には元々、虫が入っていたためですろうか、虫食いの穴がある竹材もあるがです。ずっと昔の竹材でありますので、虫穴があったり、乾燥しすぎちょって細工用として使えなかったりする事が煤竹の扱いが難しい部分なのです。
梁の部分に縄で縛られた部分だけが白く残っちゅうのも、この竹の景色に味を醸し出している所ですろう。使われた当時は青々としていた青竹が白っぽくなり、更に月日を重ねてこのような深みのある茶褐色に変わるがです。この色合いの違いは、時間的な事はもちろんありますが囲炉裏で燃やされてきたものに左右されると言われますので、地域によって竹の品質にも大きな違いがでてくるのです。
これは職人さんがご自身で使われちょった竹テーブルでしたろうか。煤竹の自然な色合いの違いは編み込まれると更に複雑に絡み合い、面白い模様となって見る人、使う人を楽しませてくれるがです。
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