竹虎も竹材商として創業してから今年で121年という歴史を刻ませて頂いちょりますが、先日は更に古くからその道一筋にやってこられた会社様にお伺いさせて頂く機会があったがですぞね。こちら様は何と220年以上もの長きに渡って漆の技を継承し続け、伝統を守り続けられています。今では様々な塗装技術がありますが、かって漆も竹などと同様に日本人の暮らしには無くてはならないモノのひとつであった事が、この社歴を見るだけでも分るというものなのです。
漆は湿度が高いほど乾燥すると言う事はあまり知られていないようです。普通は湿気があると乾燥はしにくくなるのが常識ですので、初めての方はまずここに驚かれるがです。この適度な湿度を保つために漆の仕事場には室(むろ)と呼ばれる、木製の箱形什器のようなものが完備されちょりました。竹細工でも漆は使いますけんど小規模にやっている所でしたら、それこそ大きめの段ボール箱を室にする事もありますし、押し入れを改造した室を拝見したこ事もありますぞね。
けんど、さすがに専門の会社様だけあって、こちらの室は湿度の調節、測定までできるように機械化されているのです。また、漆を塗った後の液ダレできないように、一定期間が経てば自動で回転するような仕掛けがあったり見かけは古い室であっても常に先進の技術を取り入れて製品の精度を高める努力をされていると感じます。長い伝統を守ると言う事は同じ事を繰り返すだけではなく、常に変わり続け今があるがぜよ。
漆器というと、皆様はどのような品を思い浮かべますろうか?木製品の生地に漆を重ねてピカピカと光沢のある美しい鏡面仕上げにされたお椀などが最初に思い浮かぶのかも知れませんが、こちらの工房で職人さんの仕事ぶりを拝見させて頂いていて、ふと目につく竹籠があったがです。漆が製品になるまでの工程も長く様々です、それぞれの作業場に製品が運ばれて行くのに使われる竹籠との事でした。ちょうど、お椀が100個入れられる籠と言われよりましたので、まさに漆工房の椀籠と言うてもエイですにゃあ。
プラスチック製の籠が沢山並ぶ横で、こうして竹もまだまだ仕事の現場で使われ続けているのは、耐久性であったり、使い勝手であったり、それなりの理由があっての事ながです。実は手仕事の現場でも、竹はこうして道具としても活躍の場があったものなのです。それが近年、仕事場の竹も少なくなりつつあって、ちっくと(少し)寂しく思う事もありますので、こうした籠に出会える事は本当に嬉しい事ながぜよ。
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