牧野富太郎博士の書斎

 
牧野富太郎博士の書斎


高知の観光名所と言われる場所で、自分が一番訪れる回数が多いのは何と言うても高知市五台山にある牧野植物園ぜよ。この植物園が、地元佐川町出身の世界的な植物学者牧野富太郎博士の業績を記念して開園されたものである事は昔からそれとなく知ってはいましたけんど、自分が小さい頃には遠足で行く事があるだけの正直あまりパッとしない退屈な施設でしかなかったのです。


ところが、この牧野博士が土佐虎斑竹の命名の父と知ってからは印象がガラリと違うたがぞね。遠い遠い存在の偉い学者さんとばかり思いよりましたけんど、実は虎竹の里にも足を運び、この竹林に入った事がある、そう思うだけで親近感が全く変わってきたのです。自ら「植物の精」と語られたというきに、明るい日差しが差し込む虎竹の美しい竹林では、きっと腰をおろして竹葉のサラサラと風にそよぐ音や小鳥のさえずりを聞かれた事やろう。谷川に流れる冷たいせせらぎに顔を洗ったかも知れんにゃあ。そうやって想像したら、それこそ牧野富太郎博士の見方が360度変わったぜよ!(360度いうたら元に戻っちゅう...)


1999年に内藤廣さんという高名な建築家の方が設計した新しい施設が開館し、2010年には温室がリニューアルされて益々魅力的で素晴らしい植物園として人気が高くなっちょります。若い方の間ではパワースポットとしても有名らしいですけんど、朝から晩まででもゆったり園内を歩いて居たい気分になってくるのは熱心に運営されるスタッフの方々が頑張って新しい企画や試みをされゆう努力の結果ですろう。何度かこのブログでもお話しさせてもらっているのですが、都会から来られた方に教えて差し上げますと、飛行機の便を遅らせてまで少しでも長く居たいと思っていただける素晴らしい場所ながです。


心地良い通路を歩いて一番奥の建物まで行くと、そこにも心安らぐ庭園があって又楽しめますけんど、建物の中に入ると牧野富太郎博士晩年の書斎がリアルに再現されちゅうのです。蝋人形の牧野博士が熱心に机に向かわれる、その後ろに注目ぜよ!竹のチリ箱置かれちょりますけんど、それが何と虎竹で編まれちゃあるではないですかっ!?


こちらの植物園には牧野博士の縁がありますきに、新館オープンの時に虎竹の里から日本唯一の虎竹を移植させて頂いちょります。外に虎竹、そして、中に入っても虎竹...。実は、職員の方に協力いただいて調べてみましたら、この展示のために東京の古物商から買い求めて来られた竹籠だったのですが、それが、たまたま虎竹とは、まっこと牧野博士の思いが通じちゅうがやろうか。


初めてこの竹籠を見つけた時の話しは「牧野植物園」として何故か、よさこい節でも唄われる、はりまや橋でかんざし買った純信が紹介しちょりますぞね。まあ、それはさておき、とにかくこの書斎に来る度に感激してしまうがです。


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