竹繊維の紙というと意外に感じられる方もおられるかも知れませんが、実は昔から作られていたのです。竹を細かく砕いて繊維質にして和紙にする工程は、楮(こうぞ)や三椏(みつまた)等の自然素材と基本的には違いがないと思うがです。身近な植物ですので、それを加工して和紙にするのは、ごく当たり前の事やったかも知れません。
現在では、かなり大規模に竹紙を作られてる会社様があって、前にこのブログでも紹介しましたが、一度見学にお伺いする機会があって拝見させて頂きましたが広大な工場内には大きなトラックが砕いた原料の竹チップを運び込んで来て、そのチップのがまるで小山のように積み上げられちょって、こじゃんと(とても)驚いた事があるがぜよ。こちらの会社様で使うのは日本の竹の中でも最大級の大きさのある孟宗竹でしたが、自分達が作る竹和紙なら、やはり日本唯一の虎竹を使うて作りたいと思いよりました。
幸いな事に高知県の場合には土佐和紙の技術と伝統があり、手漉きの職人さんがまだまだ健在でもあり、和紙作りには願ってもない環境と言えるかも知れませんちや。そこで、虎竹和紙作りを始めて、レターセット、ハガキ、名刺などの商品を販売させていただくようになっちょります。全てが手作りの虎竹和紙作りで、これは面白いと思うた事が色々とありますけんど、本日ご紹介させていただきたいのが和紙を乾燥させる工程ですぞね。
もしかしたら前にも、ちっくとお話させていただいた事があったかも知れませんが、虎竹和紙を製作いただいた和紙工房には、三角柱の形をした見慣れない金属の大きな塊がありました。一体、何のための道具なのか皆目分らなかったのですが、実はこの金属の塊は手を近づけるとほのかに温かいがです。どうやら全体を温められる仕組みになっているようぜよ、そして和紙にどう使うかと言うたら、これが凄い、漉き上げたハガキや名刺を、この金属の上に整然と貼り付けて並べていくのです。
この金属の三角柱はゴロリ、ゴロリのと回転するように作られちょって、一面に和紙を貼り付けて終わったらゴロリ...回転させて次の面に又並べられるようになっています。つまり、この温かい金属版に和紙を貼り付ける事により熱で乾燥させていたのです。
ゴロリ、ゴロリと三回転した頃には最初に貼り付けた和紙は完全に乾燥されていて、そのまま商品となっていく、まっこと良く考えられちゅう機械ですちや。竹でも、一本、一本、大事に扱っていきますけんど一枚、一枚、手をかけ、愛情をかけて仕上げていく土佐和紙の伝統を垣間見る思いながです。
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