続・御用籠の思い出

御用籠


御用籠とは今のようにプラスチック製品が普及する前の時代には、どこの家庭や会社などにも普通に置かれちょった竹の角籠ですぞね。竹虎では野菜籠とも呼んでいますが、あまりご存じない方でもご年配の皆様でしたら自転車やバイク(スーパーカブ)の荷台などに幅の広い丈夫なゴムベルトや紐で固定して荷物入れに使っていた竹籠と言えば何となく覚えがあるのではないですろうか?四角い形は積み込みなどにも効率が良く、場所を有効に使えるという事で重宝されて荷物を運ぶ箱として、いたる所で多用されてきた竹籠の一つですぞね。


それだけに、作りは堅牢そのもの極太の力竹を縦に横に、「これでもかっ!」と言わんばかりに入れて補強されちょります。毎日の暮らしや仕事に無くてはならない必需品として活躍しちょったのです。代替え品のプラスチック製品の普及で需要が滞ると共に、今では製作される職人さんの数も本当に少なくなって一番使い勝手のよい小さいなサイズが何種類か編まれる程度になっていますが、自分の小さい頃の竹虎の工場には、子供なら十人くらい入れるような大きな角籠があって、ゴミ入れとして使われていました。


そうそう、そんな昔でなくとも大人四人がかりで四隅を持って運ぶか、ホークリフトで持たないと、とても運べないような大きさの角籠を竹職人さんの所で拝見したことがありますぜよ。竹の端材が沢山入れられた籠を一人では動かす事もできないので、竹端材が溜まるごとに燃やしているとの事やったですにゃあ。


香港の竹籠


先日、香港の市場で竹籠が沢山使われているお話しをさせてもろうたがです。表通りでは野菜など商品の陳列籠として、お店の中や道路脇では選別用の盛り籠として、そして市場裏通りにはゴミ入れとしても使われちゅう竹籠を見つけることが出来ました。このような光景が懐かしく、温かく感じるのは、まさに日本でも全く同じような竹の使われ方をされていたからですろう。


一体いつの竹材料なのか?ずっと奥には何種類もの古い竹が立てかけられていて、まるでちょっとした迷路やった。あの古老の職人さんの工房にあった巨大な竹角籠は今でもあるろうか?今でも時々思い出すがぜよ。


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