心意気、特大飯籠

飯籠


若い皆様、と言うても自分やち、まだまだ若いのですが(笑)、飯籠をご存じない世代が随分と増えているようなのです。小さい頃、軒先に持ち手の長い竹籠が吊られちゅうのをよく見かける事がありました。炊いたご飯を長持ちさせるために通気性の抜群の竹籠に入れて、風通しの良いところに吊っておいたのです。井戸のあるご家庭などでは、やはり涼しいという事で、その井戸に吊したりもしていたようですちや。


ところが現在になって保温できる炊飯ジャーが一般的になって、このような飯籠が不要になったかと言えば、やはり、今でも少しづつお問い合わせいただく事もあるのです。昔ながらの竹職人さんの中には、今だに炊いたご飯を飯籠に移す方がおられます。理由はやはり美味しいからとの事ですが、同じように昔の飯籠に入れて冷やしたご飯の味が忘れられない方がボツボツとおられるようなのです。


別注特大飯籠


お客様からのご要望で特大の飯籠を作らせてもらいましたぞね。ずっと前なら、このようなサイズで普通サイズだったかも知れません。当時は家族の人数も多かったですし、薪でご飯を炊くような場合には、面倒なのでその都度ご飯を炊くというような事はせず、何回かの食事の分をまとめて炊くのが一般的やったようです。しかも、白米だけを炊くのは年に数回のこと。そのほとんどは麦飯などだったそうです。麦飯は白米などに比べて傷みやすいので、涼しい所での保管できる飯籠は、どこのご家庭でも必需品やったがです。


特大の飯籠は直径が25.5センチのものを35センチにして欲しいとのお客様のご要望でした。違いは直径にすると10センチ程度ですので、人によれば、大きさの違いをあまり思われない方もおられます。ところが、実際に丸い竹籠に編むと、どうなるか?見た目だけでも、これだけ違います!直径にして1.4倍くらいなのですが、出来上がった竹籠の容量、大きさ感は数倍となります。竹ヒゴの長さも数倍必要ですので、手間や時間を考えると、このような別誂えの竹籠は安価すぎます。けんど、腕をふるえる職人さんがまだまだ健在である限り喜んでいただけるのなら心意気で作っていきたい、そんな竹籠のひとつなのです。


コメントする