秋の深まりを感じるようになりますと、ホッと心安らぐ温かな竹灯りが恋しくなってくるがです。粗めの繊維の入った和紙は、それだけでも風情がありますが、やはり竹ひごが和紙に作る影模様は素晴らしいぞね。見ていると時を忘れてしまいそうになることがあるがぜよ。
昔は竹の照明器具というのも一般のご家庭用としても広く普及しちょりましたので、専門に製作する職人さんもおられて、大手家電メーカーさんなどからの注文が来た時には、それこそ夜明けと共に仕事をはじめて夜遅くまで工房では競い合うようにして毎日のように製造に追われちょたのです。
大型の竹照明というのは、職人さんも少なくなり、その後、既製品と言いますか定番の形などというものは、ほとんど無くなりつつありますぞね。竹虎には丸筒ライトや丸傘ライトのご用意がありますけんど、これらのライトが最後の現役ではないかと思うほどながです。
先日、古くなった昔の大きな照明を見る機会がありました。その整った端正な出来映えに驚きましたけんど、やはり、同じ竹編みを毎日、毎日続けてこそ、到達する製品の域というものがあるのだと改めて思いました。よくぞ、このような竹素材を、これだけ効率よく使って質の高い仕事をされちゅうにゃあ...。そして、その当時の価格の手頃さもビックリします。これは、専門の職人さんの手が早かった証ぜよ。沢山作っていたから流れ作業のような工程がしっかり出来ていたのです。
最近、スタンドライトのような小型の竹照明が注目されちょります。和室など今のご家庭には少ないかと思いますが、フローリングの洋間にも竹というのは不思議と似合うがです。いやいや、むしろ落ち着いた洋間などの方がお洒落なくらいですかにゃあ。そんなにワイワイと騒ぐような事もありませんけんど、控えめに周りを照らす虎竹スタンドライトのように、静かな、静かなブームといように感じちゅうがです。
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