先日より、京都の図面竹のお話しを何度かさせていただきましたぜよ。梅雨明けの7月から8月上旬にかけて、お天気を睨みながら竹に薬剤を塗布していく作業は、雨が降ると薬剤が流れてしまうため、まっこと(本当に)その年の天候まかせやったです。また、お盆過ぎになると京都の盆地特有の暑さのため、竹の薬剤塗布部分には汗をかくと言うきに凄いものですちや。
けんど、薬剤塗布の作業が終わったら一段落ぞね。後は、11月まで放置しておくだけやそうなのです。できれば初霜が降りて竹が固まってから伐採するとエイとの事ですが、近年の温暖化では、なかなかその時期に霜は期待薄かも知れませんにゃあ。それにしても、虎竹も霜が降りると虎模様が付くと言われていますので、竹と霜との関係も容易成らざるものがあるようです。
さて、そんな竹林の中で一風変わった一角が所々にあることを、前のお話しの中でさせて頂いた事があったかと思うのです。先端を切り飛ばした上に、枝を全て打ち落とし、裸になったような竹の稈だけが、まるで棒のように突っ立ているがぜよ。
これは一体何かと言うたら胡麻竹を作っていたのでした。竹林で自然に立ち枯れした竹にアピオスポレルラ・バンブサエ菌という、何度聞いても覚えられない名前の細菌が作用して、自然に胡麻状のツブツブができる場合もあるのですが、京都のこの竹林では人工的に、胡麻竹を銘竹として生産しているのです。
明らかに他とは違う胡麻竹を作っている一角に歩いて行っていると、何やら普通の孟宗竹とも違うし、胡麻竹とも違うような、少し黒っぽくなった竹がありますぞね。不思議に思っていたら職人さんが教えてくれます。
「これはカラスや」
えっ?竹にカラスいう種類があるのかと思いよりましたら、何でも胡麻竹を作っている中で意図せず黒っぽくなる竹があるそうで、このままでは胡麻竹としては売る事は出来ません。そこで、カラス竹という名前をつけたとの事やったのです。自分の学生の頃には前進真っ黒な服装をした人達が、カラス族と呼ばれたりしちょりましたが、黒い竹に、上手な名前を付けられたものですぞね。
ほとんどの竹が胡麻竹に成っていく中で、熟練の竹職人さんでさえ思い通りにできないカラス竹とは、希少価値もあって値打ちがあるがではないろうかと思うがぜよ。黒竹という、黒い竹はありますが、細く背丈も低い竹なのです。孟宗竹のような立派な太さのあって黒く色をした竹など、自分達でも、あまり見る機会はありません。これが一体どんな色艶の竹になっていくのか?落ち着いた渋い感じで自分は好きな感じなのです。
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