「竹は山で泣いている。」
これは、京大名誉教授であられ世界的にも有名で、ミスターバンブーと呼ばれた竹博士・故上田弘一郎博士の言葉ぜよ。この時、先生は京都の竹林をご覧になられていたようですけんど、今や、泣いている竹は、森林大国でもある日本中至る所にあるがです。
かっては日本人の暮らしと竹は密接に関係しちょりました。身近に豊富にあり、柔と剛の性質を持ち合わせた加工性の高さ、まっこと、こんな素晴らしい素材は他には見当たらないのです。だから、生活道具もあらゆるものに竹が使われ、親しまれてきちょります。常用漢字に「竹」の付く文字は140もあるがですぞね。これひとつ取っても、いかに昔から竹が身近であったかが分るというものです。
ところが戦後、まっことほんの数十年前までは、この国にあった竹文化が経済成長の中で猛スピードで変わっていき、そして、ついに忘れられて、今では放置竹林などと言われ、まるで悪者のように扱われる事さえある竹、まさに、竹が泣いているのです。
竹は驚くような生命力、成長力に満ちあふれる植物であり、たった3ヶ月で親竹と同じ大きさになりますぞね。継続利用可能な唯一の天然資源とも言われますし、伝統的な竹籠や竹ざるなど竹細工ばかりではなくて、近年よく見かける竹集成材は住宅用の建材や家具として活用が進んでいます。トヨタのレクサスの竹ハンドルは正真正銘日本の竹が使われちゅうがです。昔から活用されてきた消臭性、抗菌性など、まだまだ研究されていない分野が沢山ありますけんど、竹は稈(かん)だけでなく、竹根、竹葉、竹皮など、捨てる部分がないほど無駄なく活用されてきましたので、もっと人のお役にたてる何か力が秘められちゅう気がしています。
ちょうと昨日、毎年開催させてもらいよります。夏のインターンシップの研修日程が終わりましたぜよ。今年は8名の大学生、専門学校生にお越し頂いちょりましたが、昔やったら何処の家庭にもあったと思います、青竹踏みをご存じだった学生さんは残念ながら一人もいなかったのです。こうやって次の若い世代が、どんどんと竹を忘れ、竹と離れていきます。
けんど、実は知らないから竹と距離を置いているだけだと言うことを、自分達は竹虎の若い社員を見て前々から知っちょります。入社する時には竹の事など何も知らない若い社員も、竹の良さを知り、竹を使いはじめると自然と毎日使う生活の道具に、竹がひとつ、またひとつと増えていくがです。だから、竹は忘れられているだけ、その良さをアピールできれば、きっと振り向いてくれる方は、若い方であっても、きっと多いはずだと思ってきたのです。
そこで、竹の宣伝には、うってつけの竹の自動車の企画を思いつきます。元々、数年前に試作された事のある竹の自動車を思いだしました。あの車を何とか日本唯一の虎竹で製作し、ただ自分が乗って走るだけではなく、更にお客様を乗せて走れたら面白いかも...そう思うたのです。実際に国道を走ることのできる車のボディに竹が使われるなど、普通は考える事すらも無いのではと思いますが、竹には、それだけの堅さ、しなやかさ、可能性が秘められちょります。それを一目瞭然、こじゃんと(とても)分かりやすい!そして、お客様ご自身にも車に乗っていただき、颯爽と走る風と共に、もし竹の未来を感じることに繋がるとしたら...!?
今回の日本唯一の虎竹自動車プロジェクトは、自分のそんな思いからクラウドファンディングという手法で広く告知をしながら、車完成を目指して模索しちゅうがですぞね。けんど、集めたいがはお金だけじゃあないがです。日本中の関心と、皆様の注目ぜよ。竹ほど日本人の役にたってきた素材は見当たらないのですが、そして、それ以上に竹には日本の心の故郷があると思うちゅうがです。
「携帯電話の電源を切って、30分黙っていたい」
都会から竹林にやって来られた方が、静かに腰をおろされて言います。通り抜ける風、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、そんなホッと心安らぐ、懐かしい日本の原音を竹が増殖させ教えてくれます。今の日本には「竹」が足りてないのではないですろうか?そう、問いたいがです。
今朝の毎日新聞さんには大きく掲載いただいて、まっこと感謝気持ちで一杯です。走れ!特産「虎斑竹」カー、まっこと走らせたいぜよ!日本唯一の虎竹自動車プロジェクトはコチラにありますぞね。
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