図面竹という銘竹も実は小さい頃から、ずっと馴染みのある竹ながです。京都で生産される竹で室内装飾などに広く使われてきた高級竹材ぜよ。竹の表面に虎竹と同じように模様が入った独特の風合いなのですが、大きな違いが一つあるのです。それは、日本唯一の虎竹は、安和の自然が創りだす天然の柄模様ですので、竹林の機嫌の成すがまま、人の手でコントロールできるものではありません。ところが、この図面竹というのは職人が竹に模様を付けてくいのです。つまり、職人技が創り出す竹という事ですぞね。
自分は、このような田舎にいながら、これらの美しい銘竹に触れる機会があって幸せやったです。そもそも竹虎は大阪天王寺が創業の地であり、取引先は関西が多かったという事もあり高知から虎竹を出荷すると、その帰りの空になったトラック便には京銘竹を満載させて入荷する、そんな行き来がずっと続いちょりました。
店頭に沢山立てかけられた図面竹は丸いモノもありましたが、四角い竹がほとんどで、一体どうしてこんな竹ができるのか?ツルツルした竹の表面を小さな手で摩りながら、子供心に、いつも不思議に思いながら見上げていたのです。
人工の竹、図面竹が硫酸を使って竹表皮に模様を付けていくと知ったのは、それから随分と後になっての事ながです。けんど、本や写真で見たり、職人さんから話しを聞くなどして、知識としては知っているものの、実際に図面竹の色づけを見る機会はなかったがぜよ。
一つの理由に、その色づけの時期が一年でも本当に限られた時だけ。年にもよるようですけんど、だいたい2~3週間くらいの間だけの仕事なのです。それも、その年の気候や竹の成育などにより変化しますので、なかなか仕事を拝見するタイミングが難しかったのです。
しかし、そんな事を言うていたら、いつまで経ってもこの京都の誇る銘竹の現場に行くことはできません。昨年の冬前より昔からのお取引先様である清水銘竹店さんにお願いして、職人さんの仕事に合わせてでもお伺いしようと心に決めちょりました。そして、遂にその時がやってきたのがですが、前に、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」でも紹介させていただいた角竹を創っている竹林がその現場でした。
けんど、一歩竹林に足を踏み入れると異様な光景が広がっちゅうのです。何?あれはブルーシートを竹に巻き付けちゅうがやろうか!?けんど、まさか...何のために竹に...近寄ってみると、まさに一本、一本にブルーシートが巻き付けられています。しかも、根元から4メートル以上も上まで、しっかり巻かれているのです。これは...今まで全く見た事のない竹林の景色に、ただ、ただ立ち尽くすしかなかったのです。
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