この竹籠の底編みをご覧くださいちや、まっこと、ゴツイですぞね。竹表皮を磨くこともなく、そのまま編み込む伝統の籠は、とにかく強さと実用性を一番に考えられちょります。これだけの幅があり、厚みもある竹ヒゴを底編みに重ねると、底中央部分が厚く盛り上がりますので、平面に置く場合には、真っ直ぐには立って居らず必ず斜めになるがぞね。
けんど、そんな事はあまり問題ではなかったのは青物と呼ばれる、昔からの人々の暮らしの中で役だって来た竹籠の多くがそうであってように畑で使われてきた農家さんの籠やきですろう。下が柔らかい土の地面なら、多少の安定感の無さは問題ではありません。それよりも堅牢さの方が、ずっと優先されてきたのです。最近では、籠の座りの良さも考慮されちょって、底部分に樽のタガに使われるような竹輪を編んで取り付けて、足として使われゆう竹籠も見かけるようになっているのです。
苺籠と名付けられた手付き籠は、別に苺の収穫にだけ使うワケではないがぜよ。持ち手の付いた、このサイズの籠はいくつあっても便利ですちや。あれこれ色々な用途に使われゆうがです。「一生もの」と商品名に付いているのは伊達ではないがです。
「ひとつ、どれっぱあ強いか試しちゃおう」
苺籠を手に取って両手でググッと押してみますけんど、まっこと、強い、強い。国産の竹籠でも最近のものなら力いっぱい押せば多少のたわみがあるものちや。何も硬いばかりが良い事でもありませんぞね。竹細工にも「柔」と「剛」があって、しなりがあるのも竹の優れた大きな特徴で、この特性が耐久性にも繋がる事もありますぜよ。
けんど、この竹籠は、ちっくと違いますちや。両手で押してみてもビクともしない、まさに「剛」の籠ちや。最近では特にあまり見かけなくなった力業でねじ伏せるような強さに、アッパレながです。
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