RKCラジオ「ぐっど騎士(ナイト)RADIO」に出して頂きます

RKCラジオ局


毎週土曜日の夜9時~10時までの1時間放送されている、RKCラジオ「ぐっど騎士(ナイト)RADIO」という番組があるがぜよ。「good night」にもじった、一度聞いたら忘れられないエイ番組名なのですが、毎週、こじゃんと頑張っている騎士(ナイト)が登場して、60分間もトークをするという面白い内容の番組ながですぞね。実は今回、この番組に出演させていただく事になったのです。


自分は、騎士のような高貴なものでも、立派なものではなく、ううん...あえて言うなら野武士か?まあ、それでも出していただけるがやったらと楽しみしゅうがですぞね。その番組の中で、思い出の曲、元気になる曲を一曲かけてくれるそうながです。収録当日までに知らせてとの事やったけんど、忙しさにかまけて忘れてしまったら大変ですので、さっそく、色々と考えよりました。


誰しも、いろいろな音楽を聴いて来られたと思いますので、思い出の曲などは沢山あるがではないろうか?自分が真っ先に思い出す強烈な印象として残っている唄は、カーペンターズとビートルズなのです。こんな風に聞くと何か格好良く聞こえませんろうか?けんど、実はまったく違うがです。


この曲を聴いていた頃には誰の曲かも知らずに聴いていました。誰の曲だとか、何と言う曲名だとか、そんな余裕は全く感じられ無い頃やったのです。いつ聴いたのかと言うと、12歳の時、右も左も分からず、どんな学校かさえハッキリ知らずに入学した明徳中学。全寮制の生活がはじまった4月、朝6時30分の起床と同時にかかる曲が何故か、カーペンターズ、ビートルズやったのです。慣れない生活にボロボロになりながら、ホームシックになりながら、眠い目をこすりつつ、布団を畳む、点呼する、朝の掃除をする。その間、朝礼まで鳴り続けるこの曲が強く心に刻みつけられちゅうがぜよ。今でも、何かの拍子に、この曲を聴いた当時の事が蘇り、胸キュンとなる事もあるがちや。まっこと唄というものの力は凄いものですにゃあ。


虎竹の里のテーマソング


そんな思い出の曲達が沢山あって考えだしたらキリがありません。一曲だけ決めるというのは、本当に至難の業。簡単に決められるものではなかったのです。けんど、結局最後に残ったのは、「まっすぐ」でした。...知りませんろうか?「まっすぐ」...。いやいや、スミマセン、知らない方が多いと思います(笑)。実は高知で活躍されるシンガーソングライターの江口美香さんという方に、虎竹の里のテーマソングを作って頂いたのです。曲名の「まっすぐ」というのは竹が天を目指して真っ直ぐに伸びるところから来ちょります。この唄が自分にとってかけがえのない曲だというのは、もちろん、日本唯一の虎竹を題材にしてくださっている事もあるのですが、沢山の虎竹達に囲まれた当社工場で全社員が参加して録音した曲だからです。


虎竹の里のテーマソング「まっすぐ」


まるで観客のように思えてくる虎竹達に唄を聴いてもらいながら、職人もふくめて全員がコーラスに加わり歌い、それがCDになるなんて、本当に願ってもない幸せなことやったと思います。長い竹虎の歴史の中でも、こんな事はありませんでした。「真っ直ぐぜよ~!!!」自分の叫び声で始まる、この曲を是非かけてもらいたいと思っています。


えっ!?何々...、そうなんです高知放送局ですので、県外の皆様には残念ながら唄を聴いていただくことはできません。おっと、けんどご安心ください!この曲を聴いていただけるチャンスがありますぞね。と言うてもご購入いただかねばなりませんが、只今、日本唯一の虎竹自動車実現に向けたクラウドファンディングの中で、特典のひとつに「まっすぐ」をお届けするコースもありますぞね。曲を聴いて頂く事が、虎竹の車の応援をしていただく事にもなるがです。


是非、虎竹の里の歌声聴いとうせ~!!!



毎日新聞掲載!日本唯一の虎竹自動車プロジェクト

毎日新聞掲載、日本唯一の虎竹自動車プロジェクト


「竹は山で泣いている。」


これは、京大名誉教授であられ世界的にも有名で、ミスターバンブーと呼ばれた竹博士・故上田弘一郎博士の言葉ぜよ。この時、先生は京都の竹林をご覧になられていたようですけんど、今や、泣いている竹は、森林大国でもある日本中至る所にあるがです。


かっては日本人の暮らしと竹は密接に関係しちょりました。身近に豊富にあり、柔と剛の性質を持ち合わせた加工性の高さ、まっこと、こんな素晴らしい素材は他には見当たらないのです。だから、生活道具もあらゆるものに竹が使われ、親しまれてきちょります。常用漢字に「竹」の付く文字は140もあるがですぞね。これひとつ取っても、いかに昔から竹が身近であったかが分るというものです。


ところが戦後、まっことほんの数十年前までは、この国にあった竹文化が経済成長の中で猛スピードで変わっていき、そして、ついに忘れられて、今では放置竹林などと言われ、まるで悪者のように扱われる事さえある竹、まさに、竹が泣いているのです。


竹は驚くような生命力、成長力に満ちあふれる植物であり、たった3ヶ月で親竹と同じ大きさになりますぞね。継続利用可能な唯一の天然資源とも言われますし、伝統的な竹籠や竹ざるなど竹細工ばかりではなくて、近年よく見かける竹集成材は住宅用の建材や家具として活用が進んでいます。トヨタのレクサスの竹ハンドルは正真正銘日本の竹が使われちゅうがです。昔から活用されてきた消臭性、抗菌性など、まだまだ研究されていない分野が沢山ありますけんど、竹は稈(かん)だけでなく、竹根、竹葉、竹皮など、捨てる部分がないほど無駄なく活用されてきましたので、もっと人のお役にたてる何か力が秘められちゅう気がしています。


インターンシップ2015


ちょうと昨日、毎年開催させてもらいよります。夏のインターンシップの研修日程が終わりましたぜよ。今年は8名の大学生、専門学校生にお越し頂いちょりましたが、昔やったら何処の家庭にもあったと思います、青竹踏みをご存じだった学生さんは残念ながら一人もいなかったのです。こうやって次の若い世代が、どんどんと竹を忘れ、竹と離れていきます。


けんど、実は知らないから竹と距離を置いているだけだと言うことを、自分達は竹虎の若い社員を見て前々から知っちょります。入社する時には竹の事など何も知らない若い社員も、竹の良さを知り、竹を使いはじめると自然と毎日使う生活の道具に、竹がひとつ、またひとつと増えていくがです。だから、竹は忘れられているだけ、その良さをアピールできれば、きっと振り向いてくれる方は、若い方であっても、きっと多いはずだと思ってきたのです。


そこで、竹の宣伝には、うってつけの竹の自動車の企画を思いつきます。元々、数年前に試作された事のある竹の自動車を思いだしました。あの車を何とか日本唯一の虎竹で製作し、ただ自分が乗って走るだけではなく、更にお客様を乗せて走れたら面白いかも...そう思うたのです。実際に国道を走ることのできる車のボディに竹が使われるなど、普通は考える事すらも無いのではと思いますが、竹には、それだけの堅さ、しなやかさ、可能性が秘められちょります。それを一目瞭然、こじゃんと(とても)分かりやすい!そして、お客様ご自身にも車に乗っていただき、颯爽と走る風と共に、もし竹の未来を感じることに繋がるとしたら...!?


今回の日本唯一の虎竹自動車プロジェクトは、自分のそんな思いからクラウドファンディングという手法で広く告知をしながら、車完成を目指して模索しちゅうがですぞね。けんど、集めたいがはお金だけじゃあないがです。日本中の関心と、皆様の注目ぜよ。竹ほど日本人の役にたってきた素材は見当たらないのですが、そして、それ以上に竹には日本の心の故郷があると思うちゅうがです。


「携帯電話の電源を切って、30分黙っていたい」


都会から竹林にやって来られた方が、静かに腰をおろされて言います。通り抜ける風、小鳥のさえずり、小川のせせらぎ、そんなホッと心安らぐ、懐かしい日本の原音を竹が増殖させ教えてくれます。今の日本には「竹」が足りてないのではないですろうか?そう、問いたいがです。


今朝の毎日新聞さんには大きく掲載いただいて、まっこと感謝気持ちで一杯です。走れ!特産「虎斑竹」カー、まっこと走らせたいぜよ!日本唯一の虎竹自動車プロジェクトはコチラにありますぞね。


虎竹のお弁当箱

虎竹ランチボックス


それほど本が好きという事もないし、読むこともないのですが、大きな本屋さんというのは何やら楽しいものですちや。何があるろうか?と思うて別に目的もなしに入ってもワクワクしますぞね。最近では書籍の場合と特にインターネットでの買い物が主流かも知れませんが、広い本屋さんを歩く面白さというのは特別なものがあるがです。


あちら、こちら見てまわり、ふと足の止まったのはお弁当の専門コーナーぜよ。まっこと、こんなに沢山あるかよ?と思わず一人つぶやくほど、お弁当の本は一杯あるのに驚くがです。まっこと、それだけお弁当を持つ方は多いし、どんな料理を詰めようかと迷う人にとっては助かりますろう。これだけ沢山のお弁当の料理例が掲載された本が並ぶので、当然、その数だけお弁当箱も色々と登場しちょますぞね。


虎竹弁当箱


さすがに日本唯一の虎竹を使うたお弁当箱は見つける事はできませんでしたが、白竹ランチボックスにサンドウィッチを入れたお弁当がありましたぜよ。竹のお弁当箱といえば網代編みのものなどが、まず思い浮かぶと思います。いずれにせよ、通気性に優れている代わりに、気密性という点ではプラスチックなどのお弁当箱とは違います。おかず等に汁気があると、こぼれてしまう事もありますので注意ですぞね。


だから、そんなおかずの時には、それ用の密閉度の高いものにして、おにぎりや、先ほどのサンドウィッチなど、あるいは汁気の少ないおかず等は、竹製弁当箱でも十分、いやいや、通気性がよいので、冷めても美味しくいただけるので絶対に竹製がオススメと思うのです。


サランラップやキッチンペーパーを使うたら綺麗にお使いいただけますし、お手入れも簡単です。中身が美味しいのは、もちろんかと思いますけんどランチタイムが楽しくなる、ちっくと気持ちが豊かになった気がする、竹のお弁当箱には他にない、そんな力があると思うちゅうがです。


リニューアル竹炭石鹸

竹炭石鹸


今はご高齢になられた菩提寺の住職さんも当時は若かったがです。小さかった自分は真っ裸にされて、燃えさかる炎の上に抱き抱えられました。そして、そのまま何やら祈祷を始められましたが、自分はそれどころでは無かったですぞね。そばで心配そうに付きそう母親に大丈夫と声を掛けてもらっていましたが、熱つさを感じた記憶がないほど怖かったのです。


一体何のお話しかと言いますと、こうやって神頼みしなければならない程、自分の皮膚病の酷かったという事ながぜよ。当時はアトピーなどと言う言葉は知らなかったと思いますけんど、原因が分からず、どういう理由か、いつも身体を痒がる自分を両親は、こじゃんと心配してくれちょりました。汽車に揺られ、バスや電車を乗り継ぎ、片道数時間もかけて、遙々と高知市内の専門の病院にまで通っていたので、自分のアトピーには一体どれくらいお金がかかったか分からないと、いつも母は笑って言うのです。


中学、高校、大学と進学する中でも、ずっとアトピーの薬は手放すことは出来ませんでしたけんど、竹虎に就職してからも、頻度の差はあれ、ずっと同じ皮膚科の病院には足を運ばねばなりませんでした。けんど、あの菩提寺での祈祷が、それほど特別な事ではなく、親としたら、そんな気持ちになるというのが理解できるようになったのは、自分が子供を持つ親になってからの事ながです。


痛い方がまだ良いと思えるほどの痒みの辛さを知る者として、我が子が同じようにアトピーの薬を使うようになって、はじめて本気で考えるようになったがです。出張に出た時に、ホテルで備え付けの石鹸が、肌にピリピリ刺すように感じる事があったのです。自宅では薬用石鹸や、できるだけ刺激の少ない石鹸を使いよりましたが、毎日のお風呂で肌を清潔にする石鹸大切さを思い、自分や家族が使う竹炭石鹸を作りたいと考えるようになったのは、実は、子供のアトピーを見てからながです。


竹炭石けん


思うたら、あの幼い日の菩提寺の祈祷の炎と虎竹の里炭石鹸は、まったく結びつかないものでしたけんど形は違えど、同じ親心からの全く同じものやったのかも知れませんぞね。皆様のご愛顧のお陰で25万個も販売させていただくまでになっちょりますが、もともとは、こうやって自分や家族が使えたらと思うて作ったもの。そして、更に使い心地が良くなればと思うて、高知工業試験センターさんはじめ沢山の方に、ご協力やご指導頂ながら薬用竹炭を開発させてもろうたがです。


竹炭石鹸にするのにも試作、試作と繰り返し、周りの人にも手当たり次第にモニターになっていただきましたぜよ。予定より大幅に時間もかかりましたが、少しも妥協する気にはなれませんでした。小さいサイズの試作用石鹸では、いつもの使い心地とは違う気がして、何個も同時に使ったり、竹炭の配分量の微調整をしたり、けんど、正直言うて自信が持てるようになったのは、試作で完成した竹炭石鹸を自分達が何個か使った後からながです。自分は頭皮から爪先まで全部、これ一つですきに一番よく分かるのです。少しづつ自信が確信に変わってきてリニューアルして良かったと、心から思えるようになった虎竹の里竹炭石鹸が、また、笑顔の輪を作っていけるとしたら、こじゃんと(とても)嬉しいがです。


かえたろうFAMILY 美KI=まりゐ<br>


高知県の伝統工芸品・伝統的特産品

高知県の伝統工芸品と伝統的特産品


高知県の伝統工芸品と伝統的特産品を掲載した冊子が発行されましたぞね。こうしてみると高知では土佐和紙と土佐打刃物が圧倒的に職人さんも多いし、よく耳にする機会もあるのですが、それもそのはず、この二つだけは高知県の中でも国の伝統的工芸品に指定されちょります。


高知県の伝統的特産品として指定を受けているのは、宝石珊瑚、土佐古代塗、尾戸焼・能茶山焼、土佐備長炭、安芸國鬼瓦、内原野焼、まんじゅう笠、フラフ・のぼり、土佐凧、土佐硯、そして、当社の虎斑竹細工の13品目なのです。


虎斑竹細工が伝統的特産品として指定いただいたのは、実はそんな古い話ではなく平成14年(2002年)の事でした。当時は橋本大二郎知事の時やったですにゃあ。受賞式には、仕事の都合を何とかつけて自分が行かせてもらいましたぜよ。表彰状を頂いて誇らしく思うと同時に思った事は、竹虎は100年以上この竹と歩んで来たのに、どうして今頃やろうか?そんな思いと、このような認定を頂いたものの、この先、竹や地域をどうやって守っていけば良いのだろうか?更に大きな課題を突きつけられたような気持ちにもなっちょりました。


伝統的特産品、虎斑竹


伝統的な工芸品や産業には難しい時代が続いちょります。何もこれは高知県だけの問題ではなく全国的な事でもありますろう。けんど、土佐和紙のメーカーさんが今まで蓄積してきたノウハウを活かして、新しい分野の製品開発をして成功されちゅう例はいくつかありますし、土佐打刃物にしても昔ながらの山仕事の刃物から家庭用品として、あるいはアウトドア用などのナイフに技術を転用して、世界を舞台に活躍されている会社様もあられるようぜよ。


虎竹はどうやろうか?変わらんとイカンとは思いつつ、どう変わるのか?自分は変わり者やとは言われますが、会社が変わるのは、まっこと大変な事ですちや。ずっと遠くの向こうに、小さな灯りか見え隠れしゆう気がしますけんど、まだまだ先の見えない暗い夜道が目の前に続いちょりますぞね。


懐かしい竹ベルト

竹ベルト


自分の小さい頃に一世風靡していた竹製品のひとつに、竹ビーズで作られた商品があるがです。「一世風靡」と言うても子供の頃の自分の目で見た大人達という事です。限られた人達であり、狭い世間という意味あいでもあるので、もしかしたら虎竹の里だけの事やったかも知れません。けんど、自分にとったら強烈な印象となって残っちゅう「竹」ですぞね。


久しぶりに見る懐かしい竹ベルトもそんな商品アイテムの中のひとつ、身の厚い孟宗竹から削り出された球形だったり、楕円形だったり、四角だったり、様々な形の竹ビーズを組み合わせてベルトにしちゅうのです。店の奥に残っいるものは地味な色合いのものだけでしたが、赤系であったり、緑系であったり、最盛期には色とりどりの製品がありました。


そんな派手な色目に染められた竹ビーズを使うて、ハンドバッグであったり、ショルダーバッグ、アクセサリーまで、幅広い商品が作られて、店の一番人気としてズラリと並んでいたのです。母や祖母は、もちろんの事、竹虎で働いてくれちょった店員さん、工場のおばちゃん達、そして、店舗に来られるお客様まで、誰彼なく、この竹ビーズで出来た製品を買い求め愛用いただいていたのです。


そうそう、ショルダーバッグには、この竹ベルトに使われているような、今にして思えば、少し安っぽく見える金色にメッキされた金属のチェーンが多用されちょましたにゃあ。着物でいる事の多かった祖母、出かける時には着物だった母、そんな女性達が、和装から洋服に代わり出したタイミングだったがやろうか?和の雰囲気があり、洋服にも合わせられる竹素材が受けたがやろうか?まあ、理由の程は定かではありませんけんど、今のように多様化した価値感では、なかなか生まれることのない、いわゆるヒット商品が自分の小さい頃までには、この竹業界にも多々あって、古い職人の語りぐさにも、なるのです。


竹虎インターンシップ2015前半終了

竹虎インターンシップ朝礼2015


今年も竹虎のインターンシップが始まっちゅうがです。まっこと一番最初に始めた2001年には全く要領が分からず手探り状態。自分がずっと付きっきりやったにゃあ。大学生の方が来られるとあって、何か学びになるものを用意せねばと、あれこれ考えあぐねちょったですけんど、実はそれが大きな勘違いで、インターンシップに来られるような学生さんは、皆さん意識が高く、どんな職場を見ても、仕事をしても、それぞれ意味を考えてくれよりました。


竹虎インターンシップ花籠作り研修2015


思えば、会社も忙しく、こじゃんと大変な時期に取り組んだインターンシップ。いやいや、だからこそ始める事が出来たように思うちょりますが、初めて来られる学生さんにも恵まれました。こんな考え方をされる方が来るのなら当社もお役に立てる事があるだろうし、当社の職人や社員にとってもプラスになると感じて、それから続けて開催させていただくようになったがです。


竹虎インターンシップ油抜き研修2015


朝礼や、日本唯一の虎竹を使う花籠作り、そして油抜きの加工など、毎日の竹虎のそのままが、学生の皆様には一番の勉強になると思います。特別な何かをするのではなく、ありのままを見ていたたき、体感いただく、だから、インターンシップは、どこの会社様でも、その気になれば取り組むことができるように思うのです。


竹虎インターンシップ目打ち研修2015


今の日本では、竹に触れる機会というのは田舎にいても少ないですろう。竹林に足を踏み入れることも、筍を掘るなど余程の事がないと、あまり経験のない事だと思います。年配の方でもそうなので、若い皆様なら尚更ですろう。そして、卒業された後も竹に触れる事はあまりないのかも知れません。だからこそ、この夏の体験が、とても貴重なものやと言うのです。


竹虎インターンシップ目打ち研修2015


しかも、学生の皆さんが何気に触れている竹は、かっては土佐藩山内家に年貢の代わりとして献上されていた竹であり、イギリスBBC放送が遠く海を越えて取材に来た竹、竹虎が初代宇三郎から、ずっと100年に渡って守ってきた竹、そう思うたら暑い工場での作業も、また違ったものになりますろうか。


竹虎インターンシップ2015


ちょうど先日は安藤桃子さん始め、日頃から竹虎をご愛顧いただく沢山の方々が来られちょって工場見学をしていただきました。慣れない仕事に四苦八苦するインターンシップの皆様の頑張りも見てもらいましたので、これも、ひとつの夏休みの思い出になるかも知れませんぞね。


安藤桃子さんと竹皮草履

安藤桃子さん、竹虎四代目


安藤桃子さんが虎竹の里に来てくれちょりました。ちょうど発売されたばかりの週刊文春にはコラムを連載されよりますが、その中で竹虎の商品とは知らずに竹皮草履を絶賛してくちゅうがぜよ!移住される程、この高知県を気に入られちゅう方ですけんど、もともとは竹虎とは知らずに、ずっとご愛用されていたそうながです。室内用で履きはじめると他のスリッパは履けなくなりますけんど、すぐにEVA底の付いた外履き用もご購入いただいたそうぞね。


「海外で歩く時にも、足裏はいつも高知と繋がっている感覚...」


さすが、アーティストは話される事が違いますにゃあ。感心して聞きよりましたけんど、考えたら、高知の竹皮を地元の職人さんが昔ながらの編み方で作る、本物の竹皮草履であり、高知の伝統文化でもありますので、たとえ、遠くの外国にいても、どこに居るにしても、高知の大地を踏みしめているという事になるのかも知れませんにゃあ。そういえば、自分もパリに行った時には竹皮男下駄を履いたがです。歯下駄なので石畳の多い歩道は確かに歩きづらかったけんど、竹皮の足裏への感触は、いつもよりも更に心地よく、また、歩きだすと何とも誇らしく思えた事を思いだしましたぜよ。


安藤桃子さん竹虎来社


一緒にお越しになられた皆様の中には桃子さん以外にも、ずっとご愛用いただいている方もおられて、まっこと嬉しかったのです。やはり皆様足裏への心地良さを一番に言うていただきますが、都会でのマンションでは音が静かというのもポイントの一つやそうぞね。田舎暮らしの自分などでは、あまり思いがいたらない事で、お話しさせていただくだけで勉強になるがです。鼻緒にはあまり馴染みがないであろう海外の方も、満足そうにお履きになられちょります。竹を通して笑顔の輪が広がる、そして笑顔が笑顔を繋げていく、皆様の楽しそうなお顔を拝見していて、ふと昔の事を思いだしましたぞね。


この竹皮スリッパ作りに試行錯誤していたのは、仕事がうまくいかず、会社の経営が大変やった頃やったのです。何とか形にしたいと思うものの、昼間の仕事も忙しく、作業の時間は夜しか取ることができません。けんど、夜の仕事となると電気代すらもったいないからと、工場に明々と電気も使う事すら、はばかられるような状態やったのです。


竹皮スリッパはEVAスポンジ底を貼り付けてから竹皮の形にあわせて、グラインダーで削るのが難しいところなのです。打ち抜きなら手間も時間も必要ありませんが、今の竹皮の履き心地をどうしても活かしたいと思ったので、ひとつひとつが微妙に違うちゅう竹皮編みに合わせて加工するのです。その工程では、こじゃんとホコリがでるので、当時、会社の外に並んでいた自販機の灯りの下で試作しました。真夜中の道を行く方が、呆れたような顔をして通りすぎるがぜよ。けんど、こんな事、祖父が戦後はじめて虎竹の里に来た頃に比べたら何ちゃあない、そう思うて顔を上げる事が出来なかった。


そうやって完成させた竹皮スリッパを桃子さんが笑顔で手にされちゅう。まっこと報われた気持ちになってきますにゃあ。いつもお話ししますが「竹」と「人」=「笑」ですぜよ。竹虎は、こうやって竹で人の笑顔を作っていけたら、それでエイがです。


竹虎インターンシップ


工場では毎年夏に開催させてもらっているインターンシップの学生さんが暑い中、汗を流して目打ちの作業に取り組んでいます。油抜きの作業も700度の高温のガスバーナーでの工程、けんど、竹屋での仕事など一生できるものではありません。本当に貴重な思い出に残る夏休みの体験は、学生の皆さんが大学を卒業されて、就職され、後になればなるほど、その良さが実感として湧いてくるものだと確信しちゅうがです。そんな学生さん達をご覧いただけて、ちょうど良い機会やったと思うちょります。


週刊文春安藤桃子さんコラム


安藤桃子さんから頂いた、発売されたばかりという週刊文春のコラムを拝読させてもろうたがぜよ。鼻緒の履物が外反母趾(がいはんぼし)の予防に効果的というのは、ずっと言われてきていますので知っていましたが、骨盤矯正にまで役立つとは、文章を読んで初めて知りましたぞね。外反母趾も江戸時代にはなかった足の病気だそうですし、骨盤矯正にしても昔の人は考えた事もなかったのですろう。鼻緒の履物というのは、まっこと素晴らしいものだと改めて思うと共に、竹皮という竹の国が世界に誇る自然素材に感謝するのです。


虎竹の車

竹の車


もう何年も前の事ながですが、京都で竹の車が作られたというニュースを聞ききました。これは見たいと思って、何かの用事のついでに少し遠回りして、展示されちょった京都駅までワクワクしながら見に行った事があるのです。


白竹でヤタラ編みされた車体、ハンドルは籐巻きされちょりますし、シートなど内装も、まっこと凝った作りなのに驚きましたちや。さすが京都大学はじめ数社の企業が協力して創られたというだけあると、本当に感心しながらアチラコチラと拝見させてもらった事なのですが、何より、この竹の車がただの飾りではなくて、ナンバーが付いており、普通の車と同じように公道を走ることのできる実用車という事に感動したがぜよ。


竹の強さ、軽さ、しなやかさが実際に道路を走る事の出来る車のボディとして、十分に使える実用性の高さを証明しているという事なのです。こんなに分かりやすく、多くの方に知ってもらえる機会は無いにゃあ、そして、こんな竹の車を日本唯一の虎竹で創れたらどうなるかなあ、この竹の車を初めて見た時から、実はずっと思っていたのです。


竹の車本体


けんど、その思いが更に強く、確実なものになったのは、この竹の車に座らせてもらい、走らせて頂く機会があってからなのです。製造の中心になって実現されたのは祖父の代からお付き合いのある、東洋竹工さんという会社様でした。


はじめて竹の車を拝見させてもらってから、数年経っちょりましたので、白竹の真新しい色合いも落ち着いて、ちっくと渋い雰囲気ぜよ。まず、座席に座わった時から竹に包まれた感じが嬉しいがです。そして、少し走らせみると今まで、あまり感じた事のない爽快感ぜよ。ああ、これで虎竹の里など走れば、さぞ快適だろうなあ、楽しいやろうなあ。ただ、ただ単純にそう思うたのです。


光岡自動車Like-T3


けんど、もし竹の車を新しく虎竹で作るとしたら、今の一人乗りではモノ足りないだろうなあ...。できれば、誰かと二人乗りにすれば、ご一緒する方に、もっと竹の事を伝えられますろう。そう、例えばお客様にお越しいただいた時に、日本唯一の竹林に案内させてもらう車が、その竹林の竹で出来ていたら...?この虎竹の里で自分達と100年共に生きてきた竹を感じてもらえるのに、こんなにエイものが他にありますろうか。


もちろん、自分達が1985年から言うてきた「21世紀は竹の時代」は、竹の成長が驚異的で環境に優しく、エコな素材だからです。継続利用可能な唯一の天然素材である竹らしく、排気ガスは出さない電気自動車しか考えられません。ところが、電気自動車で二人乗りの車というのが、トヨタ、日産、三菱、ホンダ...など思いつく限りの各自動車メーカーさんを回ってみて、営業担当の方に聞いてみても、探してもなかなか見つからなかったのです。


光岡自動車Like-T3


どうも一人乗りの電気自動車しかないようだ...。ちっくと諦めかけた事もありました。いやいや、けんど、すぐに思い直します。竹の事を少しでも理解いただくために製造したいのに、一人乗りでは思いを伝えきれない、やはり、二人乗りにして隣にお客様を乗せて走りたい、竹の車に一緒に乗ってこそ、お伝えできる「竹」があるはずなのです。


毎年夏のインターンシップにやって来られる学生さんの半分が、昔から何処のご家庭にでもあると思っていた。青竹踏みを全くご存じない!?まっことビックリしました。これほど日本の竹離れは進んでしまっちゅうのか!?昔から身近で馴染みがあって、生活の中では無くてはならなかった竹への思い、日本の竹のある暮らしを再度見直していただくには何としても、二人乗りでないとダメだと考えたのです。


光岡自動車Like-T3


そしたら、その執念が実ったのかっ!?二人乗りで公道を堂々と走れる電気自動車が見つかったがです!!!それが光岡自動車さんというメーカーさんで、様々なユニークな車作りをされてきた会社様ぜよ。そういえば何十年も前の学生の頃に、大きな自動車メーカーさんの他にも車を製造している会社がある事を知り、カタログか何かを頂いたことがあったのを思い出したがぞね。


あの光岡自動車さんならと思ったとおり、Like-T3という二人乗りの電気自動車が見つかりましたぜよ。そうと決まったら、これは一度実際に乗ってみんとイカンちや。試乗できる車が大阪にあると聞いて飛んでいき乗ってみたら...


これは、いける!!!夢は大きく広がりゆうのです。



バンブードーム in ベルギー

バンブードーム


5月にベルギーのOPRINS社さんに見学に行ったお話しを前にさせてもらった事があります。実は、その時にちっくと不思議なバンブードームを見せてもらっていたのです。それは広大な農地の中に建てられた大きな大きな納屋の二階部分に、ひっそりと、随分と前からそこにあるかのように置かれちょりました。近くで拝見させてもらいたくて梯子をかけてもらって上に登ると高い天井部分から光りが差し込み、ちっくと神聖な感じがしますぞね。けんど、一体このようなバンブードームをどうしたがやろうか?不思議に思っている自分の気持ちを察していただいたのか、案内してくださったウォルターさんが説明してくれました。


バンブードームOPRINS社


OPRINS社さんは今ではヨーロッパの広い市場に竹をはじめ色々な植物を観賞用として流通させられている会社様なのですが、元々こちらの経営者の方が竹が好きで今の事業に繋がっているようです。なので、このバンブードームもイベントで使用したものをそのまま保管されているとの事でした。遠くから見るより近づいてみると、かなり大きなものですちや。中に入ってみると、よりその広さが分かります。この構造は気象観測用のドームか何か山の上に建っているのをテレビで見た事がありますにゃあ。


OPRINS社バンブードームジョイント部分


その構造を支えているのがジョイント部分に使われてちゅう金具です。六角形の形で、どの方向にも竹柱を伸ばす事ができるし、切り込みを長く取っているので角度をつける事もできる、このような金具が既製品であるがですろうか?まっこと、なかなか工夫されちゅうのです。竹柱の口部分には木材のような材質のものを稈の空洞部分にあわせて削り、一定の長さではめ込み、金属棒を出しているのではないかと思います。


バンブードーム金具


それにしても丸竹を使う場合の悩みというのは万国共通ですにゃあ。こちらの竹にも金属製の鉢巻きが、両サイドにしっかりと巻かれちょります。このような金具は日本にもあるのですが、実は、自分も竹割れ防止に使ってみたことがあるのです。ところが、こちらのバンブードームのように、竹と金属を組み合わせた作りですと違和感はありませんが、自然素材だけで造形を作りたい場合には、あまり格好のエイものではなく、結局、その後に使用したことは一度もないのです。


日本とベルギーと、これだけ遠く離れていて、言葉も文化も違い、今まで交流なども一切なかったにもかかわらず、竹に関しては同じ問題を抱え、同じ解決方法を模索していたとは...。本当にOPRINS社さんとの気持ちの距離が一気に縮まった瞬間でした。


竹は無限、そして、その世界は一つ。


来月、韓国潭陽で開催される世界竹会議に参加させてもらうのは、この思いを、各国から集う皆様と分かち合いたいからに他ならんがぜよ。


図面竹の竹林 その2

図面竹の薬剤


清水銘竹店の清水さんが硫酸と硝酸を混ぜ合わせた薬剤を作っています。


「あのブルーシートの養生でっか?」


「まあ、仕事を始めたらすぐに分かりはりますわ」


そう言うて笑いながら今度は軽四トラックの荷台に積まれた袋から、何やら取り出しているのです。


図面竹の薬剤


図面竹を創るのに塗りつける薬剤は硫酸、硝酸を混ぜた液体に、今度は砥の粉や近くの山から集めてきた砂混じりの土など、適量混ぜて作られているのです。液体だけだと竹表皮に固定されにくく模様は付きにくいのですが、ある程度粘度を持たせた液剤は竹に付きやすく、砂混じりの土が竹表皮に細かいキズをつけて薬剤の浸透を助けると言うがです。この薬剤などは当然職人さんにより分量が違いますが、その時々の気候や、その日の仕事の竹などにもより、薬剤の分量は微妙に加減をされているとの事やったのです。


図面竹薬剤塗布用の道具


この薬剤を図面竹に付けていく道具が又面白いがです。3メートル用と4.5メートル用の二本が用意されちゅうのは3メートルの高さまでと、それ以上の高さとで、それぞれ道具をやり変えるからぞね。


図面竹薬剤塗布作業


低い場所に薬剤を付けるのに、わざわざ重く長い道具は必要ありませんし、高い場所には短い棒では届かないのです。まっこと薬剤塗布ひとつとっても、このようなノウハウがあるがやにゃあ。


図面竹薬剤塗布作業


見上げていると首が痛くなるような高いところまで薬剤を付けちょります。だいたい5メートルくらいの高さまでを目安にされよりました。けんど、よくよく作業を見ていたら、薬剤を塗布するというより、先端部分を叩いているように見えますぞね。


いやいや、更によく見ていたら叩いてから先端を竹表面に擦りつけているような動きです。実はこれが薬剤塗布の技のひとつであり、あとで図面竹の模様の付き方にも大きく影響されるようながです。薬剤には砂が混じっているとお話ししましたが、擦りつける事により砂で竹表皮にキズをつけているのでした。


図面竹薬剤塗布の道具先端


薬剤塗布用の棒の先端部分に使われちゅうのは、トラックの古タイヤを短冊状に切ったものながです。これなら弾力に富み、仕事もやりやすいように思いますが、このような道具一つできるのにも、恐らく試行錯誤があってから、ようやくこんな形に落ち着いているのだと思うのです。


図面竹薬剤塗布


薬剤が塗られた後の竹を拝見させていただくと、まだ乾いていないので赤土が塗られたように見えるのですが、このままの状態で11月以降まで置いておき伐採して更に加工を重ねるのです。同じような薬剤で、同じように作業しても、その時々の条件によって色づきの出来映えが違うというのは、長年の熟練の技も大自然には、やはり敵わないという事ながですろう。


図面竹の竹林にて清水さん


竹林から出てこられた清水さんの顔面マスクには液剤が飛び散っちょります。よく見たら帽子にも、上着にも、ズボンにも、劇薬を混ぜた薬剤の跡か残ります。なるほど、これだから、薬剤塗布の際の仕事では、暑いと言えども肌の露出を避けているのだと納得するのです。


京都の銘竹


「ここ見なはれ」最初に見てビックリしたブルーシートの理由を清水さんが教えてくれますぜよ。


京都の銘竹作り


キッチリ養生していないと、薬剤がこのように隣の竹にも飛び散ってしまうのです。このようになった竹は、職人の思惑と違う模様が付いてしまいます。竹表皮を使わない製品にするつもりの竹だと良いのですが、京都の銘竹は竹表皮が命ながです。この竹は残念ながら、表から見えない袖垣の芯等に使うしかありません。


京都の竹は茶道、華道の発展と関係が深く、竹への美意識が、もの凄く高い方が多いがです。そんな土地で鍛えられた竹文化だからこそ、一環して感じるのは職人さんの竹への愛情と、竹への誇りぞね。もっと早くから気づくべきやったがです。あの、しっとりした茶室で静かに湯気をたてる一服のお茶も、見事な手さばきで活けられよった一輪の花も、京都の美しい、この竹林から既に始まってちょったのではないろうか?ようやっと思い至って、しゃがみ込み、ずっと向こうまで続く竹の姿をまた眺めてみたのです。


図面竹の竹林

図面竹


図面竹という銘竹も実は小さい頃から、ずっと馴染みのある竹ながです。京都で生産される竹で室内装飾などに広く使われてきた高級竹材ぜよ。竹の表面に虎竹と同じように模様が入った独特の風合いなのですが、大きな違いが一つあるのです。それは、日本唯一の虎竹は、安和の自然が創りだす天然の柄模様ですので、竹林の機嫌の成すがまま、人の手でコントロールできるものではありません。ところが、この図面竹というのは職人が竹に模様を付けてくいのです。つまり、職人技が創り出す竹という事ですぞね。


自分は、このような田舎にいながら、これらの美しい銘竹に触れる機会があって幸せやったです。そもそも竹虎は大阪天王寺が創業の地であり、取引先は関西が多かったという事もあり高知から虎竹を出荷すると、その帰りの空になったトラック便には京銘竹を満載させて入荷する、そんな行き来がずっと続いちょりました。


店頭に沢山立てかけられた図面竹は丸いモノもありましたが、四角い竹がほとんどで、一体どうしてこんな竹ができるのか?ツルツルした竹の表面を小さな手で摩りながら、子供心に、いつも不思議に思いながら見上げていたのです。


図面竹の竹林


人工の竹、図面竹が硫酸を使って竹表皮に模様を付けていくと知ったのは、それから随分と後になっての事ながです。けんど、本や写真で見たり、職人さんから話しを聞くなどして、知識としては知っているものの、実際に図面竹の色づけを見る機会はなかったがぜよ。


一つの理由に、その色づけの時期が一年でも本当に限られた時だけ。年にもよるようですけんど、だいたい2~3週間くらいの間だけの仕事なのです。それも、その年の気候や竹の成育などにより変化しますので、なかなか仕事を拝見するタイミングが難しかったのです。


しかし、そんな事を言うていたら、いつまで経ってもこの京都の誇る銘竹の現場に行くことはできません。昨年の冬前より昔からのお取引先様である清水銘竹店さんにお願いして、職人さんの仕事に合わせてでもお伺いしようと心に決めちょりました。そして、遂にその時がやってきたのがですが、前に、この30年ブログ「竹虎四代目がゆく!」でも紹介させていただいた角竹を創っている竹林がその現場でした。


図面竹の養生


けんど、一歩竹林に足を踏み入れると異様な光景が広がっちゅうのです。何?あれはブルーシートを竹に巻き付けちゅうがやろうか!?けんど、まさか...何のために竹に...近寄ってみると、まさに一本、一本にブルーシートが巻き付けられています。しかも、根元から4メートル以上も上まで、しっかり巻かれているのです。これは...今まで全く見た事のない竹林の景色に、ただ、ただ立ち尽くすしかなかったのです。


淡竹(はちく)と真竹(まだけ)と

淡竹碗籠


日本で一般的に竹と言うときに皆様が思われるのは主に3つ。一つが太く大きな孟宗竹、京都の美しい竹林を思い浮かべていただたいのですが、そのほとんどは孟宗竹である事が多いのです。そして、次に真竹ですが、この竹は考えてみたら呼び名がいつかあって、そのまま山に生えている状態で使う場合には青竹と呼ばれ、湯抜きと呼ばれる油抜き加工した竹は白竹(しらたけ)とか晒竹(さらしだけ)とか言う名前に変わるがぜよ。とても伸びがあって節間が長く、粘りとしなりがある事から、竹細工には一番多用される竹でもあるのです。


最後に淡竹(はちく)、何を隠そう日本唯一の虎竹も淡竹の仲間。竹林に生えている時には表皮に白っぽい粉がふいたように見えますので、虎竹の模様の付き具合も慣れない内は、なかなか分かりづらいのは、この淡竹特有の特徴による所が大きく、真竹とは太さや、高さは似ているものの、見た目や、竹の性質そのものは全く違う竹なのです。


さて、竹編みには孟宗竹はあまり使用されませんので、真竹か淡竹かどちからの竹で籠や笊は編まれることがほとんどながです。普通は真竹の方が、扱いやすく細工には向いている竹だと言われちょりますので、真竹でずっと竹編みをされてきた職人さんは、真竹が使いやすいと言い、淡竹は竹細工に不向きだと話をされて真竹しか使いません。


碗かごと竹虎四代目


ところが、不思議なことに淡竹でばかり細工をされる職人さんもおられます。そして、まったく正反対な事を言われて真竹を使うことはないのです。数で言うたら真竹を使う職人さんの方が圧倒的に多いですが、本当に少ないとは言え、淡竹こそ竹細工に最高に適した竹材とされて、素晴らしい竹編みを披露し続ける方もおられるので、まっこと日本の竹細工は奥が深い、面白いがぜよ。


そう言えば、はじめて淡竹の籠を編む職人さんに出会うた時には、積み上げられちゅう淡竹に見とれて時間を忘れた事がありましたにゃあ。たとえ多くないとは言え、虎竹の里以外で淡竹が大切に保管されている事など、それまで見た事がなく、何故か感動してしもうたがです。竹達が誇らしく、胸を張っているように見えたがぞね。


この碗籠は淡竹で編まれちょります。お使いに成られる皆様にとっては、真竹やろうか淡竹やろうが編み込みが丁寧であり、美しく、使いやすく、丈夫であるならば、どちらの素材でも、あまり関係無い事ですろう。また、恐らく見分けることもできないように思います。けんど、虎竹が淡竹の仲間であり、どちらかと言うと、多くの職人さんにとって扱いづらい難しい素材とされちゅう中、これだけ美しい淡竹の碗籠は自分にとっては、かなり特別なものに見えるのです。




かんじき、竹ストック、竹スキー

かんじき


いやいや、まっこと暑いですにゃあ、連日35度を越える猛暑ぜよ。外で油断して仕事していたら熱射病で倒れてしまいそうな毎日ですきに、せめて30年ブログでは、ちっくと涼しいお話しをしたいと思うちゅうがです。


「かんじき」とは深い雪の上を歩く時に使われてきた道具です。南国育ちの自分などは、あまり見る機会もなかったですし、使ったこともないがですが、これを履いていたら足を雪にとられることなく、比較的スムーズに歩けるとう事ながぞね。


かんじき


最近ではプラスチックなど新しい素材を使った、かんじきもあるようですが、昔ながらの身近な山の素材で作られたものは素朴で何ともエイ味わいぜよ。なんと言うても自分が感動するのが、厳しい自然の中で使われる、このかんじきに竹が使われちゅうという事ながです。足に付けるもので、かなりの力も掛かるかと思うのですが、そんなジョイント部分に竹というのは、竹の強さを証明してくれているようで、まっこと嬉しくなってくるがです。


竹ストック


ところが、雪山で竹が使われているのは足元だけではないのです。こちらにある竹は先端に何か黒っぽいものが見えていますが、一体何かと言うと、スキーの時に使うストックながぜよ。今では、さすがに日本中探してみても竹ストックを使うてスキーしている方は居りませんろう。けんど、その昔には身近に手に入れられる素材の中で、細く、軽く、丈夫な素材と言えば、それは竹しかなかったがです。


ストック先端も竹


竹ストックの先端部分、つまり雪に刺す側を見てみますと、これも、本当に凄いです!綺麗な円形にした細い竹が使われちょります。使われているのは、どうも根曲竹のようですが、こうやって厳しい自然の中で使う道具に竹が選ばれているのは、竹が一番適しているからであり、素材としての信用があったからですろう。まっこと、この当時の竹は輝いちゅう。スター選手のように輝いちゅうがです。


竹スキー


竹ストックといえば竹スキーはどうやろうか?昔は沢山製造されていたという事も聞きますが、竹表皮のツルツルした滑りやすい性質を活かしたら高性能の板ができたのではないかと思うのですが、本格的なスキー板ではなくとも、このとおり、今でも雪国の子供たちはこうして手軽に竹スキーを作って楽しんでいるのです。


竹ざるの愛らしい梅干したち

梅干し笊へのお客様の声


お客様の喜びのお声は、まっこと自分達の情熱の源ですぞね!少々忙しくとも、大変であろうとも、こんな気持ちのこもった手書きのお葉書いただくと全てが吹き飛ぶ思いぜよ。上手なイラストまで描いてくれちょって、新婚二年目の仲の良いお二人の姿まで、国産竹ざるの向こうに見えてきそうぞね。


梅干しは、どこのご家庭でも好んで食べられよりますろう。けんど、この便利な世の中、スーパーに行ったら、それこそ色々な種類の梅干しが並んでいます。今の若い方は、そうそうご自分で作ることなどないかも知れませんちや。けんど、嬉しいのは、竹虎で竹ざるを買ったので今年は初めて挑戦してみる、そんな事を言うていただく事がたまにある事ですちや。自分達の竹がキッカケとなって梅干し作りをされるとは、日本の伝統食の継承に、もしかしたら少しは役に立っちゅうような気がします。


新平太夫梅


それにしても梅と一口に言いましても、その実、色々な種類があるという事もお客様がお教えくださいます。こちらのお写真を送付いただいたお客様は、漬け込み前の洗いあげた梅を二種類撮影いただいちょりますが、一つは「新平太夫梅」というそうです。種が小さく肉厚という特徴のある梅やそうですが、木になったまま完熟させると甘みと香りが、こじゃんと引き立つそうちや。まっこと、梅干しに出来上がるのが待ち遠しくなってきますにゃあ。


紅映梅


そして、もう一方のこちらの梅は、ご覧の通り、青梅の表皮が熟してくると、紅色に染まってくる「紅映梅(べにさしうめ)」。こちらも梅干しには、こじゃんと適した種類の梅やそうぞね。梅と言えば、多くの方がまず和歌山県を思い浮かべるのではないかと思います。それもそのはずで収穫量は55000トンもあり全国シェアの61%を越してます。けんど、美味しい梅は全国各地にそれぞれあるようで、福井梅と呼ばれ親しまれちゅう「紅映梅」のような梅もあるのです。


小梅・白玉


あと、竹編み平かごで天日干しされゆう小梅の「白玉」。小粒な梅を一粒、一粒、丁寧に並べられちゅうあたりに、美味しい梅を作る方の愛情が伝わってくるようですぞね。


小梅・衣笠


そして、「衣笠」という種類の小梅やそうです。見ているだけでツバが口にいっぱいになったのではないですろうか?それぞれの、ご家庭で梅干しが作られて食卓に並ぶおじいさん、おばあさんから小さなお子様まで、どんな笑顔に囲まれるがですろうか?まさに、これが「竹」に「人」と書いて「笑」の一つの形。こうやって日本中で竹ざるが活躍させてもらいゆうと思うだけで、本当に幸せな気持ちになってくるのです。


あきらめるのは、いつも自分

「竹虎四代目への道」お客様のご感想


お客様から自分の書かせて頂いた「竹虎四代目への道」へのご感想を頂いたがです。竹虎はお陰様で今年で創業121年を迎えさせてもらっている老舗ではありますが、日本の山仕事が疲弊しつつある中で竹も間違いなく斜陽産業であり、将来性など全く感じることのできなかった、どん底からのスタートやったのです。自分では当たり前と思っていたり、あまり何も感じずにいることが、現在の竹虎しかご存じない方が、こうして驚かれたり、意外に思うて頂いたりするとしたならば、やはり恥を忍んで拙書を出版させてもらった甲斐があるというものながぜよ。


自分は学生の頃から何をやっても中途半端やった。イヤな事や苦手な事があれば、すぐに楽な方にばっかり逃げよりました。派手で居心地のよさそうな場所にばかり気をとられ、自分が誰かも知らんかったのです。一つの事を長続きさせられず、あきらめてばかり、挫折の連続ちや。ちっくとでもイヤな事、大変な事があれば、その都度、楽に方に曲がっていきますので、どんどん快適になるはすが、気がついたら自分の望んだ状況と全く正反対になっちょった。


竹虎四代目(山岸義浩)


自分がどうして生まれてきたのか、何を成すべきか、教えてもろうたのは、一人のお客様やったけんど、田舎の小さな竹屋ですきに、できる事はたかが知れちゅうぞね。まっこと、小さい小さい、皆様からしたら笑われそうな事ながです。けんど、これを日本で自分しか出来ないと思うたら...。


最初から竹が好きな人などおるがやろうか?竹に魅入られた祖父を見て、どうしてやろうかと不思議で仕方なかった。何が面白いがやろうか?何が楽しいか?何が美しいのか?どうかしちゅうぜよ、とずっと思いよった。こんな竹、こんな竹、こんな竹...。手にした竹を見ていたら泣けてきた、恨みたくなった、腹が立って力一杯蹴飛ばした事さえある。


あきらめて来たのは、いつも自分ながです。ここしかないと腹をくくった瞬間に世界が変わる、そんな当たり前の、ごく普通の話しをもしかしたら、まだ知らない、気づかいな方がおられたら、自分の経験の範囲でお伝えしたい、そう思うたのです。前掛けの「004」の数字か輝いて見えたのやったら、それは、ご自身が輝きゆうきですろう。人は、それぞれの場所で輝くために生まれちょります。


古老の片口ざる

片口ざる


学校を出るとすぐに父親について修行して、この道一筋に生きて来られた古老の竹職人が作る片口ざるは縦の長さが60数センチもある大型ぞね。磨かれた竹ヒゴが飴色に変わり始めちょりますので、こんなサイズでも持ってみると意外なほどに軽やかで、丁寧に巻かれた縁巻きの感触が手に優しく、一度持ったら最後、時間が許す限り、いつまでも握っていたくなるがぜよ。


片口ざるは、他の容器に笊の中身を移しやすいように片方に口を付けた竹笊の事ながです。毎日の生活の中でも、農作業にも広く使われてきただけあって、全国各地に色々な形であったり、様々な作りの片口笊がありますけんど、どこの竹笊にも引けを取らない出来映えの古老の笊の素晴らしさは、やはり、一番大切な片口部分ではないかと思うのです。


ズラリと並んだ竹片はすべて厚みのある節部分が使われちょります。横からみるとL字型になるように削られた竹片を竹編みに差し込む事により、これ以上は深く入り込まないように、しっかりと固定されるのです。表部分は竹節も表皮も薄く削り滑りやすく加工して使う方が少しでも扱いやすいような工夫がされちょります。


かって、このような竹籠は竹職人がそれぞれのご家庭を周り、そこに暮らす方の使い方や、要望によりそれぞれ作りを違えていたという、いわばセミオーダーのような時代があったがです。作り手と、使い手が今では考えられないくらい近くにあったので、お互いが高めあう良い関係ができ、竹細工の技はずっと磨かれ続けてきたがです。古老の片口ざるは、そんな日本の竹の歩みを話してくれゆうようですちや。膝に置いて竹を撫でながら、そんな良き竹の時代に耳を傾けるたび、日本の竹細工の素晴らしさを、つくづく思うがです。


ベランダでも土用干し

エビラで土用干し


先日は常連のN様が今年も庭一杯にお使いになられて、梅干しを干されている様子をご紹介させていただきましたが、今度はベランダでエビラ(竹編み平かご)を使うて土用干しされているお客様からも嬉しいお便りが届きましたのでご覧いただきたいと思うちゅうがです。


エビラには6キロ程度干す事のできる大きなサイズと半分の3キロ程度を干すこのとできるハーフサイズの2サイズがあるがですが、こちらのお客様は大きな方のサイズで土用干しされよります。どちらのサイズにも長い方の一辺に2個づつの穴を開けちょります。ここに紐を通して吊す事もできますし、エビラをしっかり固定させていただきますと安心して干す事ができるのです。


梅干しざる


太陽の恵みというのは、まっこと有り難いものです。不思議なモノで、こうして干していると色付きも良くなり、美味しさも増し、殺菌することでカビ防止の役割もあるそうですので、梅干しには、この季節の天日干しは欠かす事のできない工程でもあるのです。晴れた日で日差しが強い場合には2~3日で良く、曇りの天気で太陽の光が弱い時には4~5日程度置いて、梅干しの表面が乾燥してシワが出るようになるまで続けるのが普通のようです。天気を気にしながら太陽に当たらない部分を裏返してみたり、夜露に当てることで柔らかさが増すそうですので、そのまま置いたり、置かなかったり、いろいろと手間をかけ、愛情をかけた分だけ、美味しい梅干しが出来上がるがですろう。


雑誌「Free&Easy」和風アクセの男前活用法

雑誌「Free&Easy」


雑誌「Free&Easy」9月号に掲載いただきましたぞね。まっこと、いつも雑誌社の皆様には竹虎のような田舎の小さな竹屋にお声掛けいただいて、社員はおろか、山の職人や地域の皆様を代表して、こじゃんとお礼を申し上げたいがです、ありがとうございます!


さて、この雑誌様は確か8月号にも白竹八ツ目手提げかごを取り上げていただいたばかりながですが、今回の拍子に「DAD'S STYLE」と書かれてちゅうように、感度の高い男性向けのファッション誌であり、有名な海外ブランドというよりも自分の目で品質を確かめ、自分らしい魅力的な生き方をしていく提案が多いように思います。


雑誌「Free&Easy」虎竹手提げ籠


そんなファッション誌ですので和風アクセのと男前活用法などという他ではあまり見ることのない特集があるがですろう。ジャパンブルーと呼ばれる日本の藍色コーディネイトに、白山眼鏡店のメガネ、そして虎竹の手提げ籠。むむむ、悪くない。


特に白山眼鏡店は、昔から好きな眼鏡店で、学生の頃には、目も悪くないのに梅田に出るたびに店に立ち寄ってました。最後はにわざわざ東京までメガネを見に行った事もあるくらいぜよ。大阪とは、また違うお洒落な雰囲気に気後れして店に入ったものの、高価なものばかりで一本も買うことができず帰ってきたのも懐かしい思い出ですけんど、そんなメガネと竹虎の手提げが、何十年も経って一緒に雑誌にのるとは、まっこと嬉しいものですにゃあ。


ただ、一点、ちっとくモノ言いいたい事があるがぜよ。和風アクセの男前活用法という事やったら都会の格好の良いモデルさんも、もちろんエイろうけんど、和風のモデルと言えば、どうぜよ、この土佐の高知におりますろう?


竹虎四代目、虎竹手提げ籠,作務衣,さむえ,SAMUE


今度の撮影ではオファーを待ちよりますぞね(笑)。


「世界でまとう虎斑竹」今朝の毎日新聞掲載

「世界でまとう虎斑竹」毎日新聞掲載


まっこと「世界でまとう虎斑竹」などと書いていただいて、田舎の小さな竹屋やのに、ちっくと大袈裟な感じもしますけんど、今朝の毎日新聞にロンドンの英国王立美術大学での虎竹を取り入れたファッションショーの事を掲載頂いちょりますぜよ!


虎竹は高知でも須崎市安和の、わずか1.5キロの間口の虎竹の里にしか成育しない虎模様の浮かびあがる不思議な竹ではありますが、どちらかというと地味な存在であって、華やかなファッションショーに使われる事など、そうある事ではないですし、それが遙々と海を渡ったイギリスとなれば尚更の事ながです。


高知県出身のデザイナー中山直哉さんから初めて連絡を頂いたのは確か、今年の3月の事やったと覚えちょります。日本から遠く離れた地でのコレクション製作の中で、自分の生まれ育った日本の、高知の美しさを改めて感じられたように思うたぞね。なんや、それやったら竹しかないですろう。ご自身の生まれ育った故郷、高知の大自然が育んだ世界でもここにしか成育しない虎斑竹を使わずして一体何を使うがぜよ?初めてご連絡をいただいた瞬間から、そう思いよりました。


だから、英国など行ったこともないので、一体、時間も費用もどれくらいかかるも分からず、英語も話せんきに、どうしたら辿りつけるのか見当もつかないものの、自分も必ず見に行くと最初から決めちょったのです。土佐の若者が海外で勝負するなら日本唯一の虎竹の他に素材はないがぜよ。けんど、自分にしたら、虎竹一本一本がこの地の若武者達ですろう。ジッと座っておることなど、どうしてできますろうか?


日程がタイトでパリからロンドンに日帰りせねばならず、飛行機とユーロスターという汽車を乗り継ぎ行ってきたのですが、実際お伺いしてみて、海外の異文化の中で一人になった時、今まで、あまり意識していなかった和の心が自然と湧き上がることが、やはり自分としては一番喜ばしい事であり、若い人達の奥底には伝統の感性が宿っていると知る事ができたような気がして、こじゃんと(とても)嬉しい気持ちで帰ってきたのです。


RKC高知放送ラジオのスタジオにて

RKC高知放送ロビー


RKC高知放送のラジオ番組に、ちっくと出演させていただく事になったがです。何かしゃべくるのなら、それは当然、竹の事と思いきや、いやいや今回ばっかりは少し違うていて、実は自分が会長を務めさせていただきよります高知e商人養成塾という勉強会で開催する合宿への参加者募集という事でお話しさせて頂くのです。何ちゃあ、竹の事やったら全く問題もないのですが、むむむ...勉強会の事となったら学生の頃から「勉強」は苦手ですきにラジオで上手い事話せるろうか?時間前に到着した高知放送さんのロビーでは緊張感がにじむがぞね。


相澤俊夫さんと竹虎四代目


打ち合わせにスタジオから出てきてくれましたのは、自分が小さい頃から高知放送では顔としてご活躍され続けてきちょります、パーソナリティーの相澤俊夫さんですちや。高知県民には、こじゃんと馴染みのある方です。何十年も前から存じあげちゅうのに、実はお会いさせていただくのは今日が初めてですきに不思議な感じぜよ。


相澤俊夫さん、井津葉子さん、竹虎四代目


静かにボルテージが上がりつつ、いよいよ本番数分前になって席についたら、これまた高知県民の方なら誰でも声を聞いて和んだ事のある、井津葉子さんがお隣におってくれるではないですか!?何を隠そう、十数年前までは車で高知県下を仕事で走り回りっていた時には、井津さんの優しくもあり、ほっこりするような、一度聞いたら忘れられないようなお声には、まっこといつもホッとさせられよりました。


これは今日は素晴らしいお二人にお話しを聞いてもらえると思うて、まっこと気合いが入りましたぜよ。なにせ、今回の合宿には日本経営品質大賞も受賞されて、高知県というより日本中でも有名なネッツトヨタ南国の横田英毅先生、「釣りバカ日誌」のハマちゃんのモデルとして知られ、高知に移住されちゅう南国生活技術研究所の黒笹慈幾先生、ニューヨークで30年も活躍を続けられゆうバックデザイナー、Kazuyo Nakano New Yorkのナカノカズヨ先生。


そして、震災の翌年の2012年福島でお会いしてから、何ちゅう凄い方やと思うてずっとラブコールを送り続けていた樋渡社中の樋渡啓祐先生、京都の紫野和久傳さんのデザインなどを手掛ける、株式会社長木デザイン室の長木幸生先生、くわ垣洋子先生など、まっこと、よくぞ高知にこれだけの凄い皆様が集まられたにゃあと、自分でも思うような講師陣の先生方ながです。この合宿は今年で9年目ですけんど間違いなく今までで最高ぜよ。


高知放送スタジオ


さて、そんな自分の熱い思いのたけを話させて頂こうと、いよいよ本番が開始されましたちや。スタジオの外からみたら赤い「放送中」のランプが付いて、まっこと、これは中に居るよりも外からの方が緊張感ありますにゃあ。


高知放送スタジオ


出演時間は15分やったがです。最初は15分もあるがやと思いよりましたが、なんの、なんと始まったらアッという間に過ぎてしもうて、もっともっと話したい事があったがですがタイムオーバーやったです。どれくらい皆様に、今度の高知合宿がお伝えできたか分かりませんが、このような機会をいただけて本当に幸せやと思いよります。


けんどスタジオで本番がはじまると、どうも、竹の事を話ししとうてウズウズしてきますぞね。自分は竹の事しか知りませんので、このような場では、いつも好きなだけ虎竹の事や自分達の竹の仕事の事しかお話しできることは無いがです。考えたら竹以外の事で、公の場に出していただく事など、今まで一度たりともなかったかも知れませんにゃあ...。改めて、竹虎には「竹」しかない事を思いましたぜよ。ガラスの窓の向こうにはラジオ局の方々が真剣な目でお仕事されているのが見えよりましたが、こんな大きな機材があって番組作りをされゆうですにゃあ。まっこと沢山の方に支えられて、無事生放送も終わりました。ああ、感謝だけですぞね。


世界一の上履き、竹皮草履

竹皮草履


決して大袈裟でも何でもないがですちや。フローリング履きで竹皮草履より優れたモノがこの世にありますろうか。そりゃあ、時代はドンドン進みます、もしかしたら凄い新素材が開発されて今まで想像もできなかったような快適なスリッパが出てくる事もありますろう、けんど、昔から日本人の身近な素材を使い、伝統の技で守り続けられ、愛され続けてきた履物という点では、この先人の知恵の結晶のような履物を越えることはできないと思うがです。


この整った美しい形、細かい編み込み、これらは全て熟練の竹皮職人が、竹皮とワラという田舎でしたら何処にでもあるような素材を活用しながら、卓越した手技で生み出す、芸術品というてもエイような手仕事なのです。里山には毎年時期になると筍が元気いっぱい生えてきます。竹皮はそんな筍が成長するにしたがって一枚づつ脱いでいく衣服のようなもの。現代では、ほとんど使われることなく朽ちていく資源を有効利用している事にもなりますし、この竹皮には天然の抗菌性、消臭性など、人に嬉しい機能性まで付加されちゅうきに、まっこと素晴らしいの一言に尽きるがです。


竹皮草履修理


自分こそが竹皮草履の一番の大ファンでもあって、夏がシーズンのようにも思われちょります竹皮草履を、本当に一年通して、ずっと愛用し続けているのです。暑い時には足裏への刺激がサラリと涼しく、風呂上がりなど、このスリッパでないと素足だとフローリングがベタベタしますし、布製など他のものは絶対に履くことはできないですが、実は、寒い季節はこの竹皮が自然のやさしい温もりを感じさせてくれますので、竹皮とは本当に人に寄り添う最高の天然素材やと思うちゅうがぜよ。


竹皮草履前ツボ


一足づつ手作りですので、それぞれに出来映えに差があり、耐久性などにも違いが多少あるのですが、長く愛用していて傷むのが前ツボと呼ばれる親指と人差し指の間に挟む鼻緒の前部分ながぞね。ワラを使い、しっかりと留めてられちゅうのですが、擦り切れて外れてしまう事もあるのです。


鼻緒の履物は前ツボが外れると全く歩くことができません。そんな時の修理にご家庭にあるものを使って簡単に直すには、外れた部分を竹皮の裏面まで通しておいて、その先端部分をガムテープで数回巻いて団子状にします。後は足を入れて、普通どおりに歩いて頂けばエイのです。


そんな簡単な事で大丈夫なの?外れる事はないの?そう思われるかも知れませんけんど、体重がかかるせいで余程無理をしない限りそうそう外れる事はありません。竹皮は水気にも比較的に強く、長持ちする素材です。鼻緒が先に傷む事が多いのですが竹皮部分はまだまだ使える事が多く、もったいないと感じられる方も多いかと思います。前ツボ部分の修理には是非お試しいただきたいと思うちゅうのです。


北海道の清流だいこんでダイエット!?

体重64.9キロ


ダイエットが一番盛んになるのはやはり春先から夏にかけてだそうです。盛んというのも、ちっくと変ですけんど(笑)、薄着になるし、泳ぎにいって裸になる機会も増えますので、どうしても身体のラインが気になってくるがですろう。


けんど自分が痩せようと思うたのは薄着になるとか何とかは、もちろん、あまり関係はないがです。年中、寒くても暑くても作務衣ばかり着ちょますし、しかも動きやすいように、わざと少し大きめのものを着るようにしています。身体のラインなど、あまり分かりませんので気にしてはいないのですが、少し健康に注意しようと思いだしたせいかも知れません。まっこと、これはイカンにゃあ...と思うくらいズルズルと体重が増えつつあったがです。


前にもお話しさせていただきましたように、近年、良く耳にするようになった糖質ダイエットと言うのですか、炭水化物、つまりご飯やパンなど大好きながですが、ちっくと控えめにして、その代わりに野菜を多く取るよう心がけちょります。そしたら、結構効果があってから5月に74キロあった体重が、ついに65キロという大台を割りましたので、まっことビックリですぞね!こんな体重やったのは忘れるくらい前のこと。15年か...20年か...もしかしたら、もっと前かも知れませんちや。


鬼(大根)おろしダイエット


これも前にも言うたのですが、しんどいと長く続きませんぞね。あまりストレスもなく食べて良いものはお腹いっぱい食べよりますし、たまに美味しいスイーツの店に行く機会があれば我慢せずに、いつもの様に普通に食べるようにしよります。


それでも、こんな効果がでるのは無意識に食べていた間食を止めたのと、できるだけ、毎日のように食べるようにしている大根おろしのせいではないかと自分では思うちゅうのです。大根おろしがダイエットに効果的というのは何かで読んだ事があって、アミラーゼという物質が炭水化物の消化を高めて、イソチオシアネートが代謝を活性化させ脂肪がつきにくいそうですぞね。ただ、熱を加えてしまいますとこれらの有効成分なくなるので、どうしても大根おろしなど生で食することが大事ながです。


大根おろしさえ食べていれば痩せるとう事ではないぜよ。栄養バランスを考えた食事をせんとイカンですし、身体を動かすことも絶対に必要やと思うちょりますので、ただ、ただ痩せたいばかりに偏った食事はいけませんぞね。


清流だいこん


大根おろしは、おろしたてが良いと聞いたことがあります。夜遅く帰宅して自分の分だけ摺りおろすなど面倒と思われるかも知れませんが、いえいえ、ピーラーでササッと皮をむいて竹の鬼おろしで摺りおろす時間というたら手早くやれば全部で1分...?


正確に時間など計った事もないですけんど、竹の鬼おろしは、かなり早くシャキシャキの大根が摺れますので、気の短い自分でも全くおっくうに思うことなく大量の大根おろしが作れます。特別大きなドンブリに入れると大盛りのご飯のようにも見えますが、この大根おろしを野菜やら、肉やら、最近お気に入りの極太ソーセージと一緒に、その時の気分により、馬路村のゆずポンや胡麻ダレで頂くがです。もともと美味しく食べたいという理由から大根おろしを摺りだしましたので、実は、もし仮に痩せることに効果はなくとも大根おろしは大好きでもあり、健康には良い食べ物ですし、今のまま続けていきたいと思うちゅうがです。


さて、そんな矢先に北海道は大石農産さんから清流だいこんという、夏なのに辛味がすくなく本当にみずみずしく美味しい大根が届きましたぜよ。十勝というと大学時代に北海道自転車旅行を思いだしますが、広々とした素晴らしい大自然があり、そこで健康な土づくりから考えて育てられた大根は、まっこと生でかじると甘みがありますちや。冷や汁の具を食べた後に、大根おろしをタップリ入れてみましたぜよ。味噌味にも大根は相性がエイですにゃあ。これだけ美味しく食べられて、健康的とは言うことがないがです。


今年も土用干しの季節

土用干し(梅干し)


まるで毎年の恒例になったかのような嬉しいお便りが届きましたぜよ。梅干しの土用干し用の竹ざるを、いくつもご購入いただいたお客様が、今年も沢山の梅干しを漬けられている様子の画像なのです。まっこと、壮観な眺めですけんど、これだけ大量の梅干しをひとつひとつ丁寧に並べられているあたり几帳面な性格もあられるかと思いますが、梅干しに対する並々ならぬ愛情とこだわりを感じてしまうのです。


こちらのお客様のご家族の皆様も、梅干しが大好きなのかも知れませんにゃあ。土用干しをすると色艶も良い、美味しい梅干しが漬けられると言われて、梅雨明けの晴れ間には庭先に竹ざるを置く光景を見るとがありますが、マンションにお住まいの方でもベランダなどに竹ざるを使って干されています。


梅干しざるの竹編み


エビラ籠に梅干しを干した後の画像もお送りいただいちょります。白い竹ヒゴが所々丸型の梅干しの形に紅色に染まっていますが、このような干しざるは、もちろん梅干しだけに使うという事ではなく、シーズン以外では、これも最近は人気があります野菜干し用としてご愛用されゆう方が多いのです。


最近、人気と言いましたが、大根はじめ、ニンジンでも椎茸などでも田舎の方に行くと、庭の陽当たりの良い場所には、だいたいこのような竹ザルが置かれて、季節の野菜が沢山干されていたりするのです。先日も「干し野菜」を特集するお洒落な雑誌を拝見しましたが、野菜を干して活用する知恵は、ずっと昔から当たり前のように受け継がれ、今に残ってきた先人からの贈り物なのです。


「剛」の竹籠

竹籠の底編み


この竹籠の底編みをご覧くださいちや、まっこと、ゴツイですぞね。竹表皮を磨くこともなく、そのまま編み込む伝統の籠は、とにかく強さと実用性を一番に考えられちょります。これだけの幅があり、厚みもある竹ヒゴを底編みに重ねると、底中央部分が厚く盛り上がりますので、平面に置く場合には、真っ直ぐには立って居らず必ず斜めになるがぞね。


けんど、そんな事はあまり問題ではなかったのは青物と呼ばれる、昔からの人々の暮らしの中で役だって来た竹籠の多くがそうであってように畑で使われてきた農家さんの籠やきですろう。下が柔らかい土の地面なら、多少の安定感の無さは問題ではありません。それよりも堅牢さの方が、ずっと優先されてきたのです。最近では、籠の座りの良さも考慮されちょって、底部分に樽のタガに使われるような竹輪を編んで取り付けて、足として使われゆう竹籠も見かけるようになっているのです。


苺籠


苺籠と名付けられた手付き籠は、別に苺の収穫にだけ使うワケではないがぜよ。持ち手の付いた、このサイズの籠はいくつあっても便利ですちや。あれこれ色々な用途に使われゆうがです。「一生もの」と商品名に付いているのは伊達ではないがです。


「ひとつ、どれっぱあ強いか試しちゃおう」


苺籠を手に取って両手でググッと押してみますけんど、まっこと、強い、強い。国産の竹籠でも最近のものなら力いっぱい押せば多少のたわみがあるものちや。何も硬いばかりが良い事でもありませんぞね。竹細工にも「柔」と「剛」があって、しなりがあるのも竹の優れた大きな特徴で、この特性が耐久性にも繋がる事もありますぜよ。


けんど、この竹籠は、ちっくと違いますちや。両手で押してみてもビクともしない、まさに「剛」の籠ちや。最近では特にあまり見かけなくなった力業でねじ伏せるような強さに、アッパレながです。


竹があるから

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自分は田舎の小さな竹屋で、日本でここにしかない虎竹という虎模様の浮き上がる不思議な竹に囲まれ育ち、それを120年前から生業としているということ以外、別段特別な事も、誇れるような事も何もないがですが、ひとつだけ、ちっくと自慢があるとしたら、誰よりも竹に関わる人と会い、語らい、時間を費やしてきた事やろうか。


だからと言うて、知らない事が無いというワケではなくて、実は知らない事ばかりで、出会ったことの無い人ばかり、まだまだ竹の技や、竹の事で、日々驚きや感動が続きよりますので、竹はどこまで行っても終わりがないのではないかと思いよります。竹の人と会う度にますます面白く楽しく、今度は、どんな方にお会いできるろうか?ドキドキわくわくしてくるがやけんど、本物の竹職人に会うと時には嬉しくて涙が出ることがあるぞね。


竹包丁


「どうして竹をやっているかって?」


「竹があるからだよ」


親から譲り受けた刃物を器用に使いながら竹を割る、剥ぐ、その音と香りで幸せな気分になる。竹は、まっこと素晴らしいです、ずっと日本人と共にあった身近な素材。だから、竹を知る事は、日本の暮らしを知ることやし、日本人を知ることでもありますろう。もっともっと日本を知って好きになりたいにゃあ。


昨年から台湾や韓国の竹職人さんにお会いしたり、ニューヨークやヨーロッパなど海外で竹の仕事に関わる機会がある都度、実は強くなる思いは日本への思い、故郷にしかない竹への思い、離れるほど大切なものが鮮明になるような気がするがです。