根曲竹は、竹と名前が付いてはいますがボールペンほどの太さしかなく、高さも1.5~2メートル程度の笹の仲間なのです。竹と笹の違いは背丈と、もう一つが稈についた竹皮ですぞね。成長するに従って竹皮が全て剥がれ落ちるのが竹で、大きくなっても稈に皮がついたたままのものが笹という分け方をします。
笹の一種である根曲竹は、竹皮が付いたままなので、伐採して山から運び出された状態では細工に使うことはできません。職人さんの工房では、まず根曲竹を一本づつ丁寧に磨いて、表皮の汚れと共に、竹皮など余分なものを落とす作業から始まりまるのです。寒い地方に多い竹なので四国、九州ではあまり見かけませんが、その堅牢さから、実は昔から様々な籠に多用されてきた素材の一つぜよ。
農家さんや、漁師町でも仕事で多用されていた実用重視の竹籠ですので、消耗品として沢山の製品が作られていた事を偲ばせるように、今でも残る古い籠に、この竹素材を見ることも少なくありません。ただ、仕事で使われる籠なら強さと機能性があれば十分なのですが、それぞの台所や、居間でのご愛用ならやはり見栄えが必要ながです。職人さんの手により磨かれた竹は青々として美しく、その竹肌は時間の経過と共に落ち着き、色合いが渋く変わってくるのは他の真竹や淡竹などと同じなのです。
手付き部分に使われちゅう竹が、無骨なほど太く、昔ながらの職人さんの伝統の名残をも感じさせる根曲手付きかごですが、持ち手に巻かれた竹、口巻きに使われちゅう竹は、特別に伐採した柔らかな若竹を使い細工されています。この縁巻きは、真竹など他の竹にはない独特な雰囲気を醸し出していて、本体の整った細かい六ツ目編みや、バランスの良い全体の形を更に魅力的に見せているのです。
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