土壁の竹林

土壁の竹


土壁の家などあまり見かける事はなくなりました。前に若い方に土壁の話しをしたら、ああそれ知っていると言われます。珍しい方やにゃあ、こんな方もおられるのだなあと思っていたら、いわゆる、新建材を使って建てた家の中の壁から、シックハウスの原因となる物質が出ているというような理由で、上から珪藻土を塗るリフォームの事でした。日曜大工で家の壁を塗ると出来上がりの見栄えもよく、有害物質、ニオイや湿度調節まで出来ると言われていますので、なかなか良い物ではいないかと思いよります。何より自分の手で愛情込めて塗った壁の家は愛着も一際湧くのですろう。


けんど、自分達が土壁という場合には均一間隔にに割った竹を格子状に組んで、そこに赤土など固めた昔ながらの土壁を言うのです。10年一昔とは良く言うたものですが、ほんの15年、20年前までは、大型トラックに満載するほど、この土壁用の割竹を作りよりました。日本唯一の虎竹も全てに虎模様が付いているわけではありません。「白」と呼ばれる色つきの悪い竹も間引きながら伐採するので、このような細工には適さない竹は割竹などに加工していたがです。だから、漆喰壁の家を見ると、自分には綺麗な白壁より、その下に組まれた竹割が見えるような気がしてくるがですぞね。


さて、前にお伺いしたお店の入り口階段には、雰囲気のある土壁が施されちょります。そして、そこに埋め込まれているのは細い女竹(めだけ)でした。少し薄暗く、踊り場の足元を竹の照明で照らしちょった通路は、まるで竹林へ登る山道にも思えてきて、お店への期待がいやがおうにも高まったことを覚えちゅうのです。


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