飛騨高山は地名こそ有名で良く耳にすることはありますが、高知からは遠く離れちょって、まったく行く機会もなく、岐阜県の山深い所にあるという事以外知りませんでした。そんな高山市の小屋名(こやな)という地区に竹ザルの産地があると聞いたのは。いつの事やったですろうか?なかなか行く機会がない土地ですので、たまたまあったついでに、少し離れてはいるものの、ある時、小屋名しょうけを写した一枚の写真を拝見し、どうしても確かめたい事があったので、思い切ってお伺いしてみることにしたのです。こちらは高知などと違い、冬場は雪に閉ざされてしまう山間部です。小屋名のしょうけも、そんな冬期の農家の副業として発展したとの事でした。
自分がお伺いした時に編まれよったのは「片口しょうけ」と呼ばれる、片方に口のついた竹ざるで、洗ったお米など他の容器に移すのに便利な、まっこと実用的な竹細工ながです。このような竹ざるは、かっては日本の家庭ではどこででも広く使われよりましたので、その産地も各地に点々とあるものです。けんど、どこにでも同じような物があるからこそ、作り出される竹には気候、文化、地域性がでて、なかなか興味深いものながぜよ。
こちらの片口しょうけを初めて見た時に遠くでも見たいと思うたのは、口の部分に見えていたのが何やら木材のようやったからながです。四国や九州など竹の豊富な地域なら竹を使う細工でも、山の幸の多い土地柄なら、その素材を活かした竹細工が発展します。ここの場合は、ツタウルシの枝を火であぶり丸く曲げて芯に使われちょります。
竹は真竹や孟宗ではなく、スズ竹を使うというのも高地の高山ならではですろう。スズ竹は細く背丈も短い竹ですが、しなやかで粘りがあり、丈夫。竹細工として日常使いするには最適の素材と言えるがです。けんど、この竹ざるの素晴らしいところはこれだけではなかったがです。一枚の写真が気になって遠くやってきた小屋名しょうけ、やはり実際の竹ザルを見ないと分からない、こじゃんと魅力的なチャームポイントを明日は紹介しますぞね。
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