小屋名の竹細工の特徴的なのは芯に使われちゅう木材...。それがツタウルシとは知りませんでしたが、長い間の経験から自然と使われるようになった素材だと思うので、身近であり、柔軟性、強度にも富む木材ですうろ。表皮を剥いで置いておくと虫がつきにくく保管が効いところなど、竹職人さんからしたら、まとめて材料確保できるので、さぞ好まれた理由のひとつだと思うたがです。
そんなツタウルシの他に、竹細工には珍しい素材を組み合わちゅうのを知って、まっこと遠く小屋名まで来たかいがあったと、しみじみ感じたのですが、何と、縁巻きにマタタビを使われちゃあるのです。昔ならいざ知らず、今では竹細工の縁巻きといえば同じ素材の竹、あるいは籐、マタタビで巻くというのは、まっこと見た事は無かったのです。
マタタビと言えば東北にはマタタビ細工というものがありますぞね。これも堅牢な素材で、水にも強く、手触りも素晴らしい素材です。米研ぎザルをいくつか持っちょりますが、中でも名人と言われる方のものは薄く均一に剥がれたマタタビが、見とれる程美しく編み込まれ、軽いのに特有のしなりがあり、一生使えるほどの丈夫さながです。
マタタビの職人さんからお話しを聞くと、沢などによく生えているのを見つけては降りていって集めるそうです。黒っぽい木肌なのに、その下には真っ白な生地が隠れちょります。表皮が浮き上がってくるまで1週間程度も水に浸し皮を剥ぐのです。それをマタタビ割りという木の道具で四つ割りにしていきます。
こちらでは、使わなくなったナタや鎌を再利用するような形で、竹細工の道具を作られちょりました。このような道具をつかい竹ヒゴも作れば、マタタビの縁巻き用のヒゴも綺麗に作っていくのです。
マタタビの縁巻きを拝見させてもらいましたぞね。あの、しなやかで強いマタタビの縁巻きなら、実用的で毎日の台所仕事にも全くビクともしない竹ざるが出来た事やろう。スズ竹、ツタウルシ、マタタビという3つの山の素材で編まれた竹ざるは、美しい山々に囲まれた小屋名でこそ生まれた竹細工だったのです。
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