地元の森林組合さん、婦人会、大学の先生などが発起人となって頂いて、今回の「竹虎四代目への道」の出版記念懇親会を開いて頂いたがです。地域あっての竹虎、近くの周りの皆様に支えらてれ今の会社があること、竹の商いをさせて頂けちゅう事を改めて思うたがです。
自宅に帰ると、その日に取った野菜が玄関に置かれちょったり、釣ってきた魚や貝を頂いたり、季節の果物を持って来て頂いたり、思えば地域の方々には、ことあるごとに良くしてもろうてきたがぞね。そして、自分はそんな環境の中、小さい頃から両親の大きな愛情の元、まっこと自由に育てて頂いてきちょります。何でも思う通りにやってきた事がいきすぎて新築の家に落書きをしたり、農家の方にご迷惑をかけるような、今思うたらとんでもない事ばかり。まっこと今、思い返したら赤面して穴があったら入りたいばあぜよ。
けんど、そんな自分を小さい頃から気にかけ、何かあれば、あちらこちらで声をかけて見守ってくれていたのは父や母、竹虎の職人さんたちだけでなくて、安和全体の皆様の、大いなる温かい気持ちの中にいつも居た、その事に、ようやっと気づかせて頂けたがです。
虎竹の里の皆様に一言づつ頂くスピーチは、まっこと心に響く。自分には、ここにしかない虎竹への愛の賛歌のように聞こえるのです。半年は農家をされて、半年は虎竹を伐採して暮らしてきた地域の事、虎竹のお陰で余所に働きに行く必要がなくて助かった事、江戸時代に安和から年貢として土佐藩山内家に運ばれた虎竹の事、30年前の竹虎の大火災の事や、虎竹の里の山道の事、竹の運搬機械に取って代わりなくなったキンマ(木製のソリ)の事、今は竹に携わっていない方も、家族の思い出と虎竹が重なっちゅう。
竹虎は初代宇三郎が大阪天王寺からこの地にやって来てから100年、二代目義治、三代目義継、そして四代目の自分までずっと、この虎竹の里のお陰でやってこさせて頂いた、その事のへの感謝の気持ちを改めて強く強く感じさせてもろうたぞね。竹には、こじゃんと(とても)素晴らしい所がいつくかありますけんど、そのひとつに地下茎があるのです。竹林に入ると、それぞれの竹が、ただ涼しい顔をして風にそよいでいますけんど、実は、地面の下では、それぞれの竹が、それぞれの竹と、しっかりと手を握りあうかのように根で繋がり、支え合うちゅうのです。
「地震の時は竹林に逃げろ」そんな事を聞いたことはないですろうか?天然の鉄筋コンクリートと言われるほどに地面の下には丈夫な竹根が縦横無尽に伸びて繋がる竹たち、だから、どんな強風が来ても負けないがぜよ。竹は一本づつ立っているのでは無くて竹林として一致団結して強いがです。虎竹の里は、本当に狭く、小さな地域ではありますけんど、まさに、このような竹のように助け合い、支え合うてきたがですろう。
自分は、虎竹を守ってこられた先人の皆様に負けないよう、もっと、もっと虎竹のために出来る事を、やはり竹に見習い、まっすぐにやる決意を新たにした一日やったがです。
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