孟宗竹(もうそうだけ)は、中国原産の竹で、仏教と一緒に日本に渡って来た竹なのです。一番最初に入って来たのが京都であるか、鹿児島であるか、諸説ありハッキリとした事は残念ながら分かっちょりませんが、一番自分が申し上げたいのは、いずれにせよ日本に来て数百年の竹ぞね。それが、現在では日本各地どこに行っても人の暮らす里山には見られるようになっているという所を注目してもらいたいがです。
現在日本には約600種類のもの竹類があるがですが、その中でも20数メートルの大きさに成長する最大級の竹であり、これだけ成育地域が広がっているという事が、昔から様々な用途として重宝されてきた証ではないかと思うがです。
京都を訪れた際に、美しい竹林に清々しい気持ちになられた方も多いのではないですろうか?手入れの行き届いた孟宗竹の竹林では筍が栽培されよります。今では安価な筍が輸入されるようにもなって、名産地やブランド筍以外の竹林では筍を掘ること少なくなり、いわゆる放置竹林と言われるような所が多くなりつつありますが、かっては日本中の孟宗竹の林では毎年季節になれば筍の収穫が行われ、伐採された竹は建材や農業、漁業用、竹細工用として有効活用され、美しい景観を保つと共に、人と竹との良い関係が続いてきたがぞね。
伐採しても毎年のように筍を生やし、驚くような成長力と、一年通して青々とした葉を茂らせる生命力は、昔から神秘的なものとして崇められ、様々な神事にも使われよりますが、人の管理ができなくなると反対にその逞しいパワーが仇となり、竹林の拡大などの問題とも言われる事がありますが、孟宗竹の放置竹林で悪いのは、もちろん竹の方ではなく、管理できなくなった人間の責任であり、竹の有効活用を出来ていない竹に関わる自分達の責任であるがぜよ。
孟宗竹は太く、身も厚く、竹としては実は様々な加工に適応する素晴らしい素材でもあるのです。虎竹の里には、当たり前ですが孟宗竹はあまり増やしていません。虎竹の竹林ばかりなので竹虎の細工で使う孟宗竹は、全て遠くの竹林までトラックで取りに行きよります。
しかし南方系の植物だけあって、やはり温暖で雨の多い気候の孟宗竹は育ちがエイですにゃあ。高知もそうですが、孟宗竹の竹林面積が日本一という鹿児島はじめ、九州の孟宗竹にはビックリするような太さのものがあります。反対に東北地方など寒い地域では同じ種類の孟宗竹であっても、もしかしたら違う種類?と思われるほど少し小ぶりなものが多いのです。
けんど、少し余談になりますが、雪の残る季節に東北の孟宗竹の竹林に行った事がありますぜよ。竹葉や節に真っ白い雪が積もる様は神聖ささえ感じられ、本当に心が洗われるように美しいものやったがです。とにかく雪の中でも竹の生命力は衰えることなく緑の葉を茂られちゅう、この白と緑の色合いのコントラストが、何とも素晴らしいがです。そして、雪の重みで大きく竹が曲がながらも、じっと耐えている竹の姿、雪の竹林は、まっこと感動に溢れちゅうと思うたのです。
さて、話しをもどして孟宗竹の太さをそのまま活かした竹ワインクーラーの事なのですが、こちらは、ずっと前からずっと定番でご愛顧いただく、天然の孟宗竹の特徴をそのまま活かした商品の一つですけんど、一番大変なところが自然の丸竹をそのまま活用する所ぞね。丸竹となれば、太さや形にバラつきがあるという事ながです。一つの竹林でも竹の太さ、形、性質には違いがあり、伐採した竹の、ほんの極一部しか材料として使える竹がないのです。
竹ワインクーラーは少しリニューアルして風合いを変えちょります。日本最大級の竹の迫力をご家庭や店舗様でも感じていただきたい、そんな思いは前々から何ら全く変わりません。沢山伐採する時に、太い孟宗竹だけを特別に選別して、工場内に大事に保管するようにしちゅうがですが、乾燥による割れや虫害などを選り分けて加工していくと、広大で無数にあるように思える竹の中から、製品としてお届けできる竹は意外なほど少ない事が分かるがです。
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