先日からパリに行った話しばっかりしよりますけんど、そろそろ地元高知や虎竹の里の話題も言わんといきませんにゃあ。という事で今朝は自分が30年近く前から行きよります。高知県は安芸市にある国虎屋という饂飩屋さんのお話しをさせてもらいますぜよ。
そもそも「国虎」というネーミングがしびれますろう?この名前は安芸国虎という武将から来ちゅうがですが、長宗我部元親が土佐を統一するまでは安芸市一帯を治めちょったがです。「国虎」と「竹虎」、「虎」繋がりですきに名前だけで惹かれますが、饂飩のお味も抜群で虎竹の里から言うと高速の無かった時代なら、ゆっくり3時間はかかる道のりやったのですが、その遠さが、まったく苦にならないほどの饂飩屋さんやったがです。そんな、いつ行っても満席状態の人気店がパリに進出する...?かれこれ20数年前の事やったと思いますが、初めて話しを聞いた時には、どこか遠くの話しのようでした。自分は田舎の竹屋ですのでヨーロッパなど一度たりとも考えた事もないし、あまりに掛け離れていて想像もできなかったのです。
おっと高知のお話のつもりが、またまたパリに戻るのですが(汗)、今回、ひょんな事からパリに行く事になり、特に飲食店を数店お伺いする事になっていましたので、すぐにこの国虎屋さんを思い出して連絡させてもらったがです。高知の田舎から世界に飛び出された店主とは、どんな方やろうか?こじゃんと憧れや尊敬の気持ちが強くて、全く見ず知らずですけんどホームページのメールアドレスから、好きな事を書いてメールを送らせてもらいました。
けんど、いつになっても返信も何も全くないがです。考えてみたら、そりゃあ、そうぜよ。同郷とは言え見ず知らずの田舎の竹屋ですきに、突然行ってもご迷惑をお掛けしてしまうかも知れん。しかし、せっかく一生に一度パリに行くのなら、馴染みの国虎屋に足を踏み入れないワケにはイカンがです。そこで、作戦を立てましたぜよ、名付けて「いつも通り作戦」。
何かと言うたら、いつものように高知銘菓「かんざし」を持って行く!まあ、いうたらそれだけの事ですぞね。自分も坊主頭に作務衣でお坊さんみたいな風体ですので、坊さんかんざし買うをみた♪の歌詞どおり、坊主がかんざし持って来た言うて、店主の方にお会いさせて頂こうと思うたがです。
ちょうどお伺いした日は饂飩屋さんの方はお休みで閉まっちょりました。ああ、残念やにゃあと思いながら店の中を覗くと、一人の男性の方が何やら事務仕事をされよります。そこで、トントンと扉を叩いてご挨拶させてもろうたがですが、なんと、この方こそが店主の野本将文さんでした。お会いするのは初めてですが20数年前に羨望のまなざしを向けた方、長い時を経て、こうしてお会いできるだけで感激しましたぜよ。
その日は饂飩屋さんは定休日ですけんど、すぐ近くにオープンされちょります、もう一軒の方の、Restaurant Kunitorayaの方は営業されちゅうとの事で、お連れいただく事になったがです。歩いてすぐの所にある高級感ある店構えのお店がそうでした。お昼前とあって、どんどんとお客様が入りはじめた活気のある店内は、地元パリ方達ばかりのようでした。すっかり異国の地に定着して、自分の知る国虎屋さんではないにゃあ。饂飩とは、およそ掛け離れて思えた内装やお客様の姿...、そう思いよったところに運ばれてきたのが国虎饂飩ぜよ。
国虎饂飩は高知の店でも看板商品となっちゅうメニューで、自分も何度となく食べたことのある味噌味ベースの饂飩ながです。見た目は、さすがにお洒落なパリ風になって少し変わっちゅうけんど、肝心の味はどうやうか...?味噌味のお汁をレンゲで口に運んだ瞬間、店内に喜多郎のシンセサイザーの音が鳴りはじめたがぞね!!!
あの郷愁を誘うようなゆったりした調べ...どこから聴こえゆうろう!?実は、音楽が聴こえゆうのは自分だけながです。高知の国虎屋さんでは、いつも喜多郎がかかっちょります。自分がこの音楽を聴く機会は、ここで饂飩を食べる時ぐらいですので、パリのお店で国虎饂飩をいただいた時にも思わず、日本の店を思い出し、音が頭の中でかかり始めたいうワケながぜよ。
安芸のお店でも人気の饂飩が、こうやってパリジャンの間でも人気とは。遠い未知の国とばかり思いよりましたフランス。もちろん、今でも、その思いは変わる事はないがですが、決して都会ではない自分と同じ田舎の高知の味が、こうやって花の都で受け入れられちゅう事を拝見させてもらい、野本さんには、こじゃんと感謝しちょります。大きな力が湧きあがってくる気がしたがです。
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