竹のセリ市 その1

竹セリ市看板


セリ市と聞くと魚や野菜など生鮮食品をまず思い浮かべると思うのです。だから、竹のセリ市...?最初はなかなかピンと来ないのが普通です。もしかしたら高知県で有名な四方竹のセリですか?せいぜい、そんな風に思われるのが関の山ですろうか。


滋賀県竹セリ市


ところが、今回の竹のセリ市は正真正銘の竹のセリ市。皆様が頭に思い浮かべる通りの長い竹のセリながです。ただし、竹は竹でも銘竹と呼ばれる値打ちのある竹ばっかり。現在では京都と滋賀の2箇所で毎年開催されよって、今年で何と63年目の歴史のある市でもあるがぞね。


滋賀県、田園風景


けんど、さすがに竹のセリ市ですちや。一般的に見本市とか展示会とかいえば都会の一等地などで開催しますが、こんな田園風景の広がる、のどかな所で開かれているのです。来場される方には、ちっとく便利とは言いがたいですが、竹の生産の中心地は、日本各地何処に行ったとしても、このような自然豊かな美しい土地という事で、まっこと嬉しいがですぜよ。


竹虎四代目と銘竹


更に嬉しくなるのが、長い竹をゆっくり立てられる天井の高い広々とした倉庫にズラリと並んだ銘竹の数々...!真竹や煤竹(すすだけ)、黒竹など馴染みの竹ですが、これだけの量が整然と並ぶのは、あまり見る機会はないがですぞね。こんな幸せな空間は無いですので思わず笑みがこぼれるぜよ。


竹セリ市の煤竹


同じ煤竹でも種類がいくつかあって、丸竹をワラ縄で縛ってつくる簾(ミザラ)に使われちょった竹や、忍べ竹(しのべだけ)というて細身の女竹が煤竹になったもの、これらの他にも芽付竹、しゅみ竹、矢竹、変竹、つる巻など、まっこと、こんな機会でないと絶対に見られない銘竹があるがです。


竹セリ市会場


会場の中央には長テーブルとバイブ椅子が用意されちょります。竹を見回って疲れたら思い思いに腰かけて、お茶やお菓子をいただけるようになっちゅうがです。なんか、虎竹の里にもある神祭のお客のような雰囲気で、これまた、何とも肌にあうエイ感じちや。


おもてなしのゆで玉子


最高に素晴らしいのが各テーブルに置かれちゅう、ゆで玉子ぜよ。庭で飼っている地鶏やろうか、遠くからも来られる方に、ご婦人方がこうやって、大事にもてなしてくれゆうのがしみじみ伝わります。竹の世界は、元々があまり広い世界ではありません。それぞれが知った仲同士のアットホームなセリ市は、まだまだ続くのです。



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