ロンドンで開催される王立芸術大学のファッションショーで日本唯一の虎斑竹が使われることになって、しかも、そのデザイナーさんが高知県出身の方であり、自分のルーツとか色々考え抜く中でたどりついた和の世界。おそらく日本におったら竹など考える事もなかったかも知れませんけんど、外から故郷を思う時、そこに竹はなくてはならいものと気づいたのかも知れませんぞね。
まっこと、自分たちから見たら土佐の男が遠い異国で、土佐の素材で勝負するように思えて仕方ないですにゃあ。こりゃあ、どうしても応援したくなりますろう。地元の高知新聞さんも早速、竹虎まで取材に来られちょりましたぞね。けんど、今回の記者の方は須崎支局に着任間もない若い方なのです。
イカンイカン、須崎支局に来ちょってから、ここにしかない土佐虎斑竹を知らんかったら県外の方に笑われますぜよ!まっこと、余所から来られるお客様の方が高知の自然や人を、そして虎竹を、こじゃんと(とても)勉強して、ご覧になられよりますちや。今まで地元高知でも、あまり知られていなかった虎竹なのですが、せめて地元新聞の方には特産の竹の事も知っておいて欲しいがですぜよ。そこで、少しでも虎竹の里の事や、ここにしか成育ない日本唯一の竹の事を、この機会に知っていただこうと思うて色々と説明させもらうがです。
ちょうど今は筍のシーズンながです。筍は孟宗竹(もうそうだけ)が一番早くて、その次が淡竹(はちく)、最後に真竹(まだけ)となっちょりますが虎竹は淡竹の仲間なので、4月から5月半まで只今筍シーズン真っ最中なのです。皆さん、筍の美味しさは良く知っちょりますが、その筍がたったの3ヶ月で親竹と同じように高さに成長するなど、日頃あまり考えた事もない事かも知れません。まあ、無理も無い事ですが、お話すると本当にビックリされるがです。
「えっ?それなら筍は1日に、どれくらい伸びるのですか?」
「記録では1メートル20センチ伸びた事もありすまぜよ」
「ヒェェェ~!!!」
というような調子ですぞね。虎竹の色づきなどについても虎竹の里に育つ竹が全て綺麗な虎模様が付くという事ではなく、土場で選別され選り分けられた良い竹だけが油抜き加工され、こうして工場に保管されているというようなお話もさせていただきます。虎竹の里に生まれ育てば通学路に竹が積み上げられていたり、竹を見る機会も多ければ、触れる事もありますが、最近では田舎の方でも竹を知らない...というか忘れられちゅう、そんな方が多いように思うがです。だから、何も今回の記者さんが知らないという事でもなく、竹は、まだまだ皆さんに向けて声を大きくしていく必要があるがぜよ。
こんどのロンドンでのファッションショーが、どんな記事になるか分かりませんけんど、こじゃんと熱心に聴いて、メモを取っていただきましたので、きっと高知にお住まいのご家族の方にも喜んでいただけるような素晴らしい記事になると確信しちょりますぞね。
そして、その新聞記事を見た、高校生、中学生が、「おっと、高知にもこんな人がおるがやいか...」と思うてくれたらエイ。かつて自分が真っ暗闇のような中でインターネットに取り組む時にも同じ高知の方が、同じ田舎の条件の中で活躍されていたと聞いたからこそ、自分にも出来るのではないかと思うように、近くで刺激になるような方を見つけられるのは幸せな事ながです。今度の高知新聞の記事が、そんな嬉しい連鎖を産む事になるよう、自分も出来る事をしたいと心に決めちょります。
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