テレビ「笑ってコラえて!」田辺小竹さんの竹

田辺小竹さん、竹虎四代目


今まで色々なテレビ番組に出演されてる事もあった田辺小竹さんですが、バラエティ番組だけは、ちっくと敬遠されてきたそうながです。四代に渡り伝統を受け継いでこられた竹工芸家です。ご自身が磨いてこられた技や、日本の竹についての事でないと、テレビだからと言うて好んで出られるという事はなかったようなのです。まっことテレビと言われたら何でもかんでも二つ返事で引き受ける田舎者の自分などとは随分と違いますにゃあ。さすがに竹工芸家のサラブレッドぜよ!


けんど、今回、日本テレビ「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」を引き受けられたのは、竹の技にスポットを当てて頂ける事と、スペシャル番組の中で長い時間をかけて紹介いただけるという事やったからと言われちょりました。現代の竹は、ますます日本人の心から離れてしまい、誰も里山に生えちゅう竹の事など無関心になっちょります。人気抜群の全国放送のテレビの力をお借りして、少しでも「日本の竹」の事を振り向いてくれる方がおるとしたら...。田辺さんも、そんな気持ちで出演を決めたのだと思うがぜよ。


けんど、想像したら愉快ではありますにゃあ(笑)。田辺さんが日本唯一の虎竹を使って創作された大作「水の恵み」など、日頃、竹の事などほとんど関心もなく、竹をご存じない方も沢山ご覧になられていたかと思いますが、知らずに、ずっと見ていて、あの迫力!インパクト!皆様の想像される竹の世界とは、かなり違う造形に、まっことビックリ仰天されたのではないかと思うがです。


ところで、竹は日本の山々の面積から言うと、一体どれくらいあるかご存じでしょうか?実は森林面積の、わずか1%未満しかないがです。思うより全然少ない気がされる方もおられると思いますが、けんど、それなら里山の荒廃とか、竹林整備とか言われるのはどうしてか?それは竹が里山に多く、人目にふれる事が多いからながです。皆様が竹を見る時、竹にふれる時、その竹はおそらく自然にそこに生えたものですろうか?誰かが、何かの目的をもって植えたものが、長い年月を経て根をはり広がった竹林である事が圧倒的に多いのです。それは竹の花が60年とも120年とも言われる気の長くなるような時間の中でしか花を咲かせる事がないためぞね。


だから、人里離れた、ずっと山奥には竹は、ほとんど無いがです。もし、あるとしたら、そこにはかつて人が住んでいて、人の暮らしがあったのではないかと思うちょります。だから竹ほど、人と一緒にずっと寄り添い、衣食住すべての場面で、それぞれ形を変え、機能を変え、役立ちつづけてきた素晴らしいパートナーながぜよ。


田辺小竹さんは竹の美を世界にむけて発信されていて、欧米でも個展など開催されて高い評価を受けちょります。そんなアートや工芸の世界の竹もあれば、さっき使うたお箸や、傍らのチリ籠など生活道具としての竹、昨日、軒先の竹籠に入れられちょった筍も竹、早朝は少し寒くてマフラーを首に巻いたけんど、それも竹、まっこと(本当に)竹は変幻自在、自由自在、そして無限。この素晴らしさを、お伝えしたくて21世紀は竹の時代とずっと言うてきましたけんど、そうなるために田辺小竹さんも竹芸士四代目、自分も竹虎四代目、同じ四代目同士でもありますので、田辺さんに負けないように頑張らんとイカンですにゃあ。自分ができる事を、竹のように真っ直ぐにやりますぞね。


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