白竹ランチボックスは、随分と息の長い竹細工の一つですぞね。「角物」と呼ばれて、ずっと愛用されてきちょります。一体どれくらいの歴史があるがやろうか?手付きの角物の籠は、かっては豆腐籠としても使われてきたものだけあって、分業化して沢山の職人さんが大量生産されていた竹製品でもあるがです。
かっては多くのご家庭でも使われていた竹製品だけあって、まるで色を染めたように黒ずみ、渋い風合いになった古い角物籠を結構、色々な場所で拝見する機会があるのです。大量に生産される聞くと、粗雑な竹編みを連想してしまいがちですが、毎日、毎日同じ製品を作り込む事により職人の手が育ち、早く出来上がるだけでなく、製品そのものの精度も上がります。もちろん、全てがそうではないものの、日本の職人さんの手仕事の素晴らしさを感じるのは、大量に作るものこそ細部を大事にするような、こだわりぜよ。
今、ふたつの白竹ランチボックスがあるがです。それぞれ色合いが違うちょりますが、白い方が出来上がったばかりで、少し色合いの濃くなった方が古いものかと言うと、実は違いますぞね、両方とも同じ時期にできたもながです。白竹は、真竹という青々とした竹を湯抜きという加工をして、このような乳白色の白い色艶をもった竹に生まれ変わります。熱湯に浸け、布で余計な竹の油分や汚れを拭き取り、冬の寒空の下で日に晒しますので「晒し竹(さらしだけ)」とも呼びます。竹の違い、竹伐採方法の違い、晒し加工の工程の違い、その年の天候など、色々な要素によって同じ時期の竹であっても、それぞれ職人の手により、このような色合いの違いが出来てきます。
それは、サイズにも言える事ながですぜよ。決まった大きさがありますので、それぞれ一つづつでご愛用頂くには、まったく感じる事はないかと思いますが、こうやって、違いの出たものを並べて比べてみると、サイズ感にも若干の隔たりが出来てきちょります。できるだけ詳しくお伝えしていく竹細工たちですが、自然の竹を使い、さらに竹表皮を活かして形にしていく場合には、それぞれ違うという事を是非お知りいただきたいと思うちょります。違うことは当然ある事だと、その妙味を楽しめるような心持ちこそ、もしかしたら、竹の心なのかも知れないと思うがです。
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