どこまでも続く蓬莱竹

蓬莱竹(ほうらいちく)


これは見事な蓬莱竹(ほうらいちく)が続いちょりますぜよ。思わず立ち止まって見てみますが、ずっと向こうまで続いているようながです。そんなに大きく広い川ではありませんが水深は深く水量は豊富のようなので、かっては大雨で氾濫する事が多かったのかも知れません。防災用に植えられたであろう蓬莱竹の連なりを見ながら思うがです。今のように護岸工事の技術も機械もない昔には、川岸に竹を植えて防災用とする事が多かったのですが、この蓬莱竹は東南アジアや中国南部の熱帯地域が原産の株立ちの竹ぞね。いわゆるバンブー属に含まれる竹で、いくら大きくなったとしても外に根が浸食していくことがない竹ながです。


普通の竹なら手入れによっては、地下茎が外に伸びていって竹林が広がる事がありますが、植えられて100年近い蓬莱竹の写真を拝見したことがありますけんど、背丈が高くなり、株回りは大きく立派でしたが、根が外に広がる事はありませんでした。だから、田畑に地下茎を伸ばして来ない事が農家さんなどから好まれて、西日本の川岸の護岸用としては、この竹がまっこと(本当に)よく見られるがぜよ。


竹は海外から持ち込まれたものが何種類かありますが、この蓬莱竹も繊維を縄にすると火縄銃の火縄に最適だったことから持ち込まれたようなのですが、平和な世の中になれば、なったで、今度は防災という面で人の役に大いにたっていた事が、この広がりを見たら一目瞭然で良く分かるのです。


蓬莱竹網代編み


また、蓬莱竹は火縄に使われただけあって、こじゃんと(とても)しなりがあり強い竹でもありますので、前にお話をさせていただいた職人さんは、若い頃にはロープに使っていたとも聞いた事があります。あまり種類は多くはありませんけんど、この竹で作られてきた竹細工もありますが、先日は、めずらしい網代編みになった蓬莱竹を見せてもらいましたぜよ。そんなに太い竹ではないので、これだけ平らな竹ヒゴにするには、さぞ大きな竹ばかりを選んで編まれた籠だと思って手にしながら、この竹の、日本に渡ってきてからの歴史や役割に思いを寄せちょりますと、ただの籠がただの籠には見えなくなってきて面白いがですぞね。


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