ケガの功名、スズ竹四ツ目籠

スズ竹四ツ目籠


竹は南方系の植物だと、いつもお話させていただきますけんど、それだけに日本に分布する竹も温かい地方にある竹は太く、背も高く、大きく育つのですが、反対に寒い地方だと同じ種類の竹でも小降りになります。竹のワインクーラーに使うちょります孟宗竹は全国各地に成育していますが、やはり、極太のサイズとなると温かい四国、九州でないとありません。


ところが小降りだから良くないかというと決してそうではなくて、東北地方や高い山々に育つスズ竹という竹は素晴らしい素材ながです。太さはボールペンくらいしかないので、竹というより笹の仲間ですが、これが非常に、しなかやで、堅牢、実用品としての竹細工には最適の素材ぜよ。編まれた籠を両手で押してみますと、力強く押し返してくる弾力は、良質の真竹などにもない、この竹特有のものなのです。


このようなスズ竹の長所が一番活かされちゅうのが、市場籠やお弁当箱など毎日のように持ち運んで使われる竹製品で、耐久性だけを言うならば、日本最強と呼んでもエイですろう。けんど、そんな素材だけに籠としての実力もなかなかのものですぞね。都会と違うて田舎では土のついた野菜をそのまま新聞紙に包んでいただく機会もありますが、土間などに放り込んで置いちょく野菜籠などとしては使い勝手がエイがです。


このスズ竹四ツ目籠は直径が約23センチくらいの少し小降りなものが手頃なサイズかと思うてご紹介しちょりましたけんど、職人さんが間違えて30センチを超えるものを編んで来られました。思っていた大きさと随分違うのでビックリしましたが、これは、これで沢山入るし、エイものだなあ...さすがスズ竹ちや。ゆっくり眺めているうちに気に入ってしもうたものですから、近日ご紹介できたらと思うちゅうがです。


コメントする