スタジオジブリ制作の「かぐや姫の物語」を観ましたぞね。実は自分から観ようと思ったわけでも、何でもなく見始めたのです。ところが、これが手書きのような独特のアニメーションが面白く、目が離せなくなってしまって、話しの筋など知っているはずなのにドキドキして最後まで観てしもうたがぜよ。まっこと(本当に)面白い映画でしたちや。
日本最古の物語とも言われる「かぐや姫」は、こうやって昔も今も人の不思議と掴んで話さない魅力があるように思います。けんど、このお話しに深く関わっちゅうのが「竹」。竹から生まれて、どんどん大きくなりアッという間に大人に成長する姿は、実際の竹の成長スピードと同じと言われちょって、自分など竹に関わる者にとっては単なる昔話以上のものであるがです。そこで、この昔話の舞台となった場所がどこかだろうか?そんな発祥の地を探るロマンある話しも日本各地にあるようで、その中の候補地のひとつである京都市西京区松尾という所に、かぐや姫、竹御殿なるものがあり、たまたまお邪魔する機会があったのです。
近くには世界遺産となった西芳寺(苔寺)や、華厳寺(鈴虫寺)があり、観光のお客様も沢山歩かれちょりますが、さすがに、かぐや姫の舞台となるだけあって、少し山の方に歩くと周りには竹林が広がります。竹工の名人と言われた長野清助という方が、何と27年もの歳月をかけて創り上げた竹御殿だそうですが、入り口から眺めるだけでも、竹ばっかりぞね。建物のアチラコチラ、およそ考えられそうな部分には竹が使われていて、さすがに竹御殿と名前付けられちゅうだけの事はあるがぜよ。そこで、まず目を引くのが竹のパーツを貼り付けた竹の壁。
長方形に切り取った竹を縦横交互に並べてデザインにしちょります。昔、祖父が新しく家を建て増した事がありましたけんど、その家を思い出しますちや。壁も、天井も竹ばっかり、ありとあらゆる竹が使われちゅうのではないか、そう思わせるほど色々な種類の竹を見る事ができましたが、出入りする勝手口の扉には、ちょうどこんな感じで竹が貼り付けられていました。
少し懐かしさも感じながら部屋の天井を見上げたら、当然そこにも竹が使われちゅうがです。編み方に変化をつけられて、それぞれの竹の良さを表現されているのは、さすが名のある熟練の竹職人ならではなのです。
金閣寺を模したと言われる一番奥まった建物の天井には、かぐや姫が帰っていった月を表すかのような照明が作られていて、これが、こじゃんと(とても)印象的でした。
細い竹を隙間無くビッシリと並べたデザイン、竹節がアクセントとなり、まるで中心から目映い光があふれ出しているかのようにも見えますちや。強烈な個性と独特の世界観で統一された竹御殿ですが、この職人さんが竹を愛でた気持ちがヒシヒシと伝わるような気がするがぜよ。
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