竹細工になってしまうと、竹の軽やかさや、しなやかさなど竹の持つ素晴らしい特徴ばかりが出るものなので、素材としての竹にあまり関心を向ける方は少ないかも知れません。一度でも竹を伐った事のある方なら、その大変さは良くお分かりやと思うのですが、乾燥すれば体感だと3分の1くらいにも軽くなる竹材も、山に生えている竹はとにかく重く、伐り倒して山から運び出すのはまっこと重労働ですぞね。
先日にリニューアルしたばかりのワインクーラーは、そんな竹でも特別太いものばかりを選別しちょります。日本最大級の孟宗竹(もうそうだけ)という竹を使いますが、直径が太いだけでなく長さも20メートルを超えて、身も厚いのです。だいたい通常なら1本40キロくらいのものだと言われよります。ええ、そうです、これでも結構な太さと重さです。一人で肩に担いで歩ける方は、まずおりませんろう。しかし、竹ワインクーラーのような極太の竹になると更に重量があって、何と60キロ級のものまであるがです。
力持ちの皆様でも、これは結構手こずるかと思います。なにせ、ただ重いだけではないからですぞね。先端を切り飛ばしたとしても十数メートルもの長さがあるので、バランスを取るのが、こじゃんと(とても)難しいのです。実は竹には、ここを持てば楽々運べるというポイントがありますが、これは身体で覚えるしかないがぜよ。まるで肩の骨が折れたと思うくらい痛く、重たく感じる竹も、毎日やりよりますうちにごく自然に普通に歩くように、むしろ、肩に心地よいくらいに思えてくるきに、まっこと人の熟練度というのは面白いものながです。
近年、里山保全などと言われて、増えすぎた孟宗竹を伐採される団体がいくつかあるのです。このような竹林整備では長い竹のままでは運ぶ事ができず、動かしやすいサイズに短く伐られるのが普通かと思います。ところが、プロの竹伐りは違います。短くすると余計に運ぶ手間がかかると言われて、長いまま肩に軽々と担いで山を下っていくがです。小山のように青々とした孟宗竹が積み込まれちょります。一本、一本見ても、まるまる太っていて立派ぞね。これを、ご夫婦二人して、わずか2~3日で伐られると聞いて、まっこと驚くやら、感激するやら、隠された竹の技はまだまだここにも生きちゅうがです。
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