雨が多く自然の豊かな高知県には全長196キロにもなる、雄大で日本最後の清流と言われる四万十川がありますが、実は近年「仁淀ブルー」とか言われて注目されている仁淀川という美しい流れの川があるがです。そして、その仁淀川の豊富な水量で、昔から発展してきた土佐和紙は全国的にも有名ぞね。今でも手漉き和紙の職人さんもおられますし、紙関連の会社さん等も多いがです。
竹虎の竹を使った和紙作りも、そんな高知の和紙文化があるからこそ実現しちょります。そもそも日本唯一の虎竹を使った和紙なので、竹を細かくして繊維質にする事が始めるのです。沢山ある和紙メーカーさんの中でもこんな面倒な紙作りに熱心にご協力いただける会社様というのは、そうそうないのではないかと思うて感謝しちょります。
とにかく、材料の竹を水に浸けて1ヶ月もかけてふやかし、繊維質にしていくのは機械でも何でもなく、何と手作業ぜよ!何か薬剤で短時間に溶かしてという事でもなく、時間と手間を惜しげもなく使って作られゆう虎竹和紙作り。拝見しよったら、まっこと昔の紙作りはこうやったがやろうか?と、しみじみ思ってしまうがです。
繊維質になるように細かく叩いていく作業でも、普通ならこのような工程は機械化されちゅうかも知れませんが、こちらの会社様では石臼に杵を使われよりますぞね。まるで知らない方が遠くから見ていたら、お正月でもないのにペッタンペッタン餅つきやろうか?と、不思議に思われそうな製造工程なのです。こうやって虎竹和紙は、自分などが想像する以上に昔ながらの本当の手仕事で素材から作っていただくのです。
竹虎から運んでいった竹材から思えば、まったく見る影もなくなったペースト状になった竹繊維ですが、こうなるまでには和紙職人さんの手間暇がこじゃんと(とても)掛かっています。けんど、実はここからも職人の腕のみせどころ。ひとつ、ひとつ紙に漉いていく作業に続いていくがです。
手漉き和紙の職人さんが漉き桁(すきけた)と呼ばれる長方形の木枠を、原料である竹繊維をいれた水の中で、何度も何度も振りながら和紙に漉いていくのです。木枠の中に細かい竹簾のような簀がはめ込まれちょって、和紙漉きにも実は竹が大切な道具として使われています。この簀に使う竹ヒゴで和紙の種類が違ってくるそうですが、漉く和紙も竹、漉く道具も竹。まっこと、竹が大活躍しゆう現場は嬉しいもんですぜよ。こうやって丁寧な手仕事で一枚一枚作られる虎竹和紙は、名刺やハガキ、便箋などはもろちんですが、以前製作した黒竹の丸竹を使った別注団扇に貼る紙などとしても使っているのです。
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